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怪我を予測するスクリーニングテストが機能しない理由、そしておそらく今後も機能しない理由

▼ 文献情報 と 抄録和訳

怪我を予測するスクリーニングテストが機能しない理由、そしておそらく今後も機能しない理由:批判的レビュー

Roald B: Why screening tests to predict injury do not work-and probably never will…: a critical review, Br J Sports Med (IF: 12.022; Q1). 2016 Jul;50(13):776-80

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[概要] この論文では、定期的な健康診断で傷害の危険因子をスクリーニングすることが、傷害のリスクを軽減するために利用できるかどうか、またどのように利用するかについて述べられている。重要な問題は、スポーツ傷害のリスクがある人を特定するためにスクリーニング検査を使用し、ターゲットを絞った介入プログラムによってその欠陥に対処することが可能かどうかということである。

この論文では、スポーツ傷害を予測・予防するためのスクリーニングテストを検証するには、少なくとも3つのステップが必要であることを示している。

step1
スクリーニング検査のマーカーと傷害リスクとの間に強い関係があることを前向きな研究で証明されている
step2
適切な統計ツールを用いて、関連する集団においてテストの特性を調べられている
step3
スクリーニングプログラムでリスクが高いと判断されたアスリートを対象とした介入プログラムが、すべてのアスリートに同じ介入プログラムを行うよりも有益であることを証明されている

[問題点]
step2:残念ながら現在のところ、スポーツ傷害のスクリーニング検査で十分な検査特性を持つ例はない。潜在的なスクリーニングテストの性質(テスト性能は通常、低いものから高いものへの連続的な尺度で測定される)を考えると、傷害のリスクが高い選手と低い選手の間にはかなりの重複が予想される。したがって、傷害リスクとの間に統計的に有意な関連性があることを示すテストがいくつかあり、原因となる要因の理解には役立つが、そのようなテストでは、傷害を十分な精度で予測することはできないと思われる。
step3:現在までのところ、傷害リスクのスクリーニングを支持する介入研究はない。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

少なくとも、この論文が発表された時点(2016年)では、上記の3stepを満たしたスポーツ傷害のスクリーニング検査はないようだ。今後、スポーツ現場や臨床でスクリーニング検査を行う際は、その検査が上記の3stepを満たしているが確認する必要があるだろう。

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。