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臨床研究に用いる統計学②リハビリ関連の研究によく用いられる統計手法の概要

今回は統計手法の選択方法と、用語の解説が中心となります。統計手法を学ぶ前に最低限知っておきたい用語に関しては、下記の記事を参考にして下さい。

上記の記事と同様、この記事は辞書代わり使ってもらえればと思います。「自分が調べたい統計手法は何だっけ?」と思った時に、スマホやPCで、サクッと調べられるための記事なので、詳しい理論やデータ入力の方法などは成書に委ねます。

正規分布になっているか調べたい!

統計手法を選択する前に、自分の調べたいデータが、正規分布に従っているかどうか必ず調べて下さい。何故なら、正規分布に従っているかどうかで扱う統計手法が異なるからです。
まず、正規分布に関して知ってほしい用語は、

正規分布に従う=パラメトリック
正規分布に従わない=ノンパラメトリック

正規分布を調べるための統計手法は、一般的には、

Shapiro-Wilk (シャピロ・ウィルク) 検定

となります。

相関関係を調べたい!

相関は、 2つの変数に関係があるかどうかを調べるときに選択します。 一方の変数が大きくなる(小さくなる)と、他方の変数も大きくなる(小さくなる)という関係を、「相関関係がある」 といいます(下図)。

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相関関係を調べるための統計手法は、

正規分布に従う(パラメトリック)=Pearsonの相関係数
正規分布に従わない(ノンパラメトリック)=Spearmanの順位相関係数

となります。

2群の差を調べたい!ー差の検定ー

差の検定とは、男性と女性のグループ間の握力に違いがあるかどうかを知りたいときや、治療前と治療後で治療に効果がみられたかどうかを比較したいときに用いる手法です。
あと、同一の被験者に対して異なる検査・介入などを行った場合の2群は、「対応のあるデータ」といい、男性・女性など、別々被験者で2群に分けた場合は、「独立した2群のデータ」といって、統計手法が異なります。

2群の差を調べるための統計手法は、

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となります。

3群以上の差を調べたい!

ここからは少々複雑になっていきます。冒頭でも述べたように、各検定の詳細は成書に委ねるとして、全体の流れと注意点を述べていきます。まず、注意点としては、

・3群以上を比較する際、上記のt検定を用いてはいけない
・群全体で有意な差があることを確認してから
多重比較により各2群間の差を検証していく

全体の流れとして、めっちゃざっくりフローチャートで示すと、

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ただ、この辺は色々な考えや論争があります。今のところ、医療の分野では慣例的にだいたいこのような手順で行われていますが、「分散分析はしないで、いきなり多重比較するのが正解じゃ!!」という意見もあります。

詳しくは上記の対馬先生の解説をご参照ください。

さいごに

今回説明した内容は本当に初歩の部分です。これ以外にも当然、信頼性の検討や回帰分析、多変量解析など、様々な統計手法があります。この辺に関しても、機会があればまた記事にしたいと思います。

また、統計に関して説明したブログは様々ありますが、個人的には下記のブログが本にもなっていますし分かりやすいと感じます。

少しでも皆さまの統計に対する苦手意識が少なくなれば幸いです!

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。