『スマートウエア』で日常生活動作の筋活動をリアルタイムにフィードバックできる時代も近いか?
▼ 文献情報 と 抄録和訳
スクリーン印刷された伸縮自在の繊維電極を用いた動的表面筋電図
A Spanu, A Botter, A Zedda, et al.: Dynamic Surface Electromyography Using Stretchable Screen-Printed Textile Electrodes. IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng (IF: 3.34; Q1). 2021;29:1661-1668.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
[目的] ウェアラブルデバイスは、目立たないように生理信号をモニターすることで、ヘルスケアやスポーツ科学に新たな可能性をもたらしている。テキスタイルポリマーベースの電極は、電気生理学的電位の検出に有効であることがわかっているが、機械的に壊れやすく、耐伸縮性も低い。本研究の目的は、十分な堅牢性と信号品質を備えた、費用対効果が高く、製造が容易な電極を開発し、動的な条件で検証することである。
[方法] 本研究では、PEDOT:PSSベースの繊維電極を、表面筋電図(sEMG)アプリケーション用の伸縮可能な衣服に直接製造するための、最適化されたスクリーン印刷技術を提案する。リハビリテーションやスポーツ科学の分野で注目されている5つの筋肉を対象に、センサー付きの伸縮可能なレッグスリーブを開発した。実験的検証を行い、sit-to-stand、脚伸展、カーフレイズ、ウォーキング,サイクリングなどの動的運動中の信号検出の精度を評価した。
[結果] 電極は最大500回のストレッチサイクルに耐えることができた。5人の被験者を対象とした実験では、優れた接触インピーダンスが得られ、繊維電極とAg/AgCl電極によって脚の筋肉から同時に検出されたsEMGエンベロープ間の相互相関は概ね0.9以上であり、使い捨て電極と同等の性能で良質な信号を得ることが可能であることが証明された。
[結論] 今回得られた成果は、導電性ポリマーのスクリーン印刷によって得られた目立たない電極を、リハビリテーションやスポーツモニタリングのためのテクニカルファブリックに組み込む道を開くものであり、一般的に動的な条件でのsEMGの検出が必要な場合に有効である。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
経験上、動作中に表面筋電図を測定するのは割と手前がかかる。最近では筋電図でも安価なものを発売されており、徐々に研究室だけでなく臨床現場での応用も可能になってきている。
『スマートウォッチ』で脈や血圧管理ができるように、『スマートウエア』が開発され筋活動のフィードバックができるようになると、国民のヘルスリテラシーも高まりそうだ。
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