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映画「はちどり」について

2020/6/20公開でしたが、全国順次公開のため少し遅れての鑑賞。

映画館での鑑賞の醍醐味、他のお客さんの様子は、泣いている方がちらほら。

びっくりした。

私は、泣くシーンが無かった。

ただひたすらに、ウニの時間が流れていた。映画の中で描かれていることが、私にとっても、当たり前すぎて、いた。2020年に日本を生きている私が、1994年に韓国を生きるウニと同じような世界を生きているというのは、どういうことなのかしら。と思った。

(今を生きる私も、現状を知り、考え、進んでいかなくてはならないね。)

ウニは泣いていなかった、と思う。

中学生のウニは、誰かの死を、理解できていなかったと思う。少なくとも映画のエンドロールまででは、ウニは先生の死に対して泣いていない。

エンドロールのその先で、ウニはきっと泣くだろう。そして映画が終わってその先にあるのが、

「この世界が、気になった」

このコピーをフライヤーにそっと添えた方に何か賞を贈るべきだろう。なぜなら、この台詞は劇中で発せられない。ウニの心の声だから。私達がこの映画を観た後に感じる、思いだから。フライヤーに選んだシーンも、素晴らしい。うわぁ、そこかー!という体験は楽しかった。

日本において、少女漫画の設定はだいたい高校生だ。中学生の心の動きを描いて残している作品は少ない。中学生の恋愛は、恋と認められないのか。高校生は恋愛しなきゃならんのか。

中学生に寄り添いきって、背中まで押してくれる、素晴らしい存在となったはちどりだが、この作品「はちどり」自体も、私達と一緒にこれからの世界を飛び続けるのだから、やっぱりこの世界は、気になる。

追伸

表情、カメラワーク、色彩、小道具の配置まで全てが天才すぎた。この画角はずるい!!カメラ何の上に置いたらこのアングルに辿り着いたんでしょうか?、といったシーン(主にマンション内と部屋の中)が多かった。

素敵な作品を完成させてくださって、ありがとうございます。


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