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【前編】鹿児島、焼酎の旅。


鹿児島、焼酎の旅。

鹿児島市内を起点に6つの焼酎蔵を巡る旅に行ってきました。

「なぜビールではなく、焼酎?」
という話は、こちら↓


まとめ編では個々の蔵についてあまり触れられなかったので、そちらをメインに書いていこうと思います。
今回、酒が生まれた背景を伝えることの大切さを改めて実感したので、自分が感じたことや聞いた話を共有できればと思ってます。

ちなみに、旅のナビゲータはさつま町の「杉本酒店」のゆうげん氏です。
僕らより歳は下ですが、酒に対する思い、知識は折り紙つきです。


小牧醸造


1件目は小牧醸造さん。
杉本酒店さんからほど近く、さつま町にある蔵です。


蔵の裏手には川内川が流れます。

芋焼酎の作り方を現場で丁寧に教えてもらいました。
焼酎の作り方は少し勉強していきましたが、現場で見ながらだとより理解が深まります。

製麴に使う機材と、麹のサンプル。

芋切り場。
コンベアで流れてくる芋を洗い、腐敗している所を切り落とします。
焼酎の品質にも直結する作業で、とても大事な工程です。

常圧蒸留機と発酵用の土甕。
焼酎作りでは、発酵を土中に埋めた土甕の中で行うことが多いようです。
甕の蓄熱性+土に埋まっているので寒い時期でも発酵に適した温度を維持することができます。

この甕は創業当初(1909年)から使っているそうです。
それだけでも驚きなのですが、2006年には裏手を流れる川内川が氾濫し、蔵も大きな被害を受けています。
タンクは水に流され、発酵・貯蔵中の酒の大多数も失ったようです。

ですが、この甕たちは大きな被害を受けることはなかったと。

水害直後は多くの方が復興作業に協力してくれたそうで、失ったものも多いが、得たものも多いと語ってくれました。
水害が大きな転機となり、人との繋がりを見直し、お世話になった方々、地域への恩返しをとても大切にしている様子が伺えました。

この日の夜に焼酎も何種類か飲みましたが、どれもバランスが良く誠実な酒という印象がしてとても美味しかったです。


白石酒造

2件目はさつま町の隣、いちき串木野市にある「白石酒造」さん。

天狗櫻などの銘柄をつくっている蔵です。

蔵を見学する前に事務所でお茶を飲みながら焼酎作りについて話しを色々伺いました。

白石酒造さんは原料となる芋の栽培から焼酎作りをおこなっています。
長年取り組んでいく中で、現在は無農薬かつほぼ無肥料で栽培しているそうです。
無農薬が当たり前に感じる時代になってきた気がしますが、現場の苦労は想像に及びません。
いつまでも終わらない草取り、病気への恐れ、上がらない収量などなど。

「僕の焼酎作りは“芋ありき“」と白石さん。

ワインの世界ではもはやスタンダートになりつつある、酒とは農の延長線上という考え方。
やはり酒つくりの帰結点はここなのかと、改めて気付かされました。

蔵の中も案内していただきました。
たくさんある甕の中にはまだ発酵中の醪も。
芋ならではの色ともったり感は初めての体験。
白石酒造さんでは、自然に取り付く酵母のみでの発酵も行なっているそうです。

蒸留機はなんと3種類。
木、錫、ステンレスがあり、酒質に合わせて選んだり、組み合わせたりしています。

ちょうど蒸留中で、蒸留直後のものの香りを嗅がせてもらいました。
硫黄系のガス感のある香りが特徴で、発酵中の醪との違いは歴然。
熟成を重ねるごとに硫黄系の香りは揮発していき、その奥にある香りが前にでてきます。

木樽を用いた熟成も。
焼酎は「色規制」というものがあり、あまり長い時間木樽での貯蔵はできないようです。
焼酎という文化を守っているという側面もありますが、その先にある未だ見ぬ焼酎を飲んでみたいとも思いました。

芋の収穫、貯蔵に使う農業用コンテナ。
僕らも麦芽粕の運搬に同じものを使ってるのですが、その量の多さにびっくり。
しかもたった数人でこの量を収穫するのだというから驚きでした。



夜の部


蔵見学を終え、鹿児島市内の天文館という繁華街に向かいました。
白石酒造の白石さんも交えて焼酎の取り扱いも豊富なみかんさんへ。

白石さん持参の新酒を飲みながら鶏料理を堪能。
甘めの醤油をつけて食べる鶏刺しが焼酎との相性抜群でした。


酒を飲み出せば話も弾むもの。夜はこうして更けていくのでした。



つづく↓

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