パシフィックの、2022年を振り返ろう。
さて、早いもので今年も残すところ数日となりました。
普段ビールの紹介ばかりで中々、日常のことをお伝えできていないなと。
せっかくなので、備忘録も兼ねてパシフィックの2022年を振り返ってみようと思います。
月ごとの出来事を振り返る形になるので、少し退屈かもしれませんがマイクロブルワリーのリアルな1年というのも、まあ残しておいて損はないのではないかと思っています。
書き終わる頃に、どんな1年だったか気づき、来年の目標がスパッと思い浮かばれるようなことへの期待も持っています。
それでは、参りましょう。
1月
2021年の9月からビール造りを始めたパシフィック。10月に販売を開始して以降いくつかのビールをリリースしながらバタバタと慌ただしい年末を過ごしていました。
レシピ開発や、ビールのリリース方法など中々リズムが掴めず、苦労していた記憶があります。
そんな中迎えた、新しい1年。仕事初めはブルワリーではなく、武蔵小山の「屋根裏attico」でのポップアップイベントからスタート。松本で開業準備中の「餐」が料理を担当する、なんとも愉快な一日でした。
また、鹿児島の焼酎蔵を巡る旅にも。本当に良い酒造りとはなんだろう、ということのヒントが欲しくて、未知なる土地へ。この旅、「餐」の原くんが焼酎蔵の方と親交深く「焼酎、面白いよ!」と勧めてくれたことがきっかけでした。これからのパシフィックにとって非常に重要な出来事だったと思っていて、予想を遥かに超える収穫がありそれらは今へと繋がっています。余談ですが、この旅以降すっかり焼酎ファンになりました。家には一升瓶が転がり、毎晩のようにお湯割を楽しんでいます。
また世間的には、コロナウイルスの波が再び訪れていたこともあり出店を予定していたイベントが中止になることも。当然ビールの販売も影響を受け、缶詰め機のセットアップを必死に進めました。というかこの頃はまだ、樽のみの販売だったんですね。
ビールの方はYero、Solar Pollen、Hydro Pump、Vapor Trailが新登場でした。
2月
依然として飲食店への風当たり厳しい状況の中、ついに缶ビールのリリースを開始!本来もっと早い段階でのスタートを予定していましたが、機械の納入も遅れ、ずるずると半年ほど経過。ですが、結果的には良いタイミングで缶の販売のスタートを切れました。というか缶がなかったら、と考えるとゾッとするような時期だったかと思います。樽の販売はほぼ止まり、出荷量は激減という事態でした。これまでは、空冷式のサーバーを所有する一部のお店との取引きのみでしたが、缶が始まったことで一気に販路が広がりました。酒屋さんはもちろん、サーバーの無い小さな飲食店など。また家ではもちろんアウトドアシーンなどでもパシフィックのビールを楽しめるように。視覚的な情報もあり、グッと認知度が高まったように思います。
そして10代からの友人であり、パシフィックのデザイン担当の実兄でもあるサトウタクトが美容院「groovy」をオープン。それを記念したビールを一緒に造りました。友人の門出をこんな形で祝えるなんて、ビール屋ってとっても良い仕事だなと思いました。
ビールはMokeが新登場。
3月
タップルームの営業から始まった3月。茅ヶ崎はこの頃になるともう春の雰囲気ですね。この時はフードの出店なしのスタイルでしたが、たくさんのお客さまに来ていただきました。そして、ブルワリーの敷地内ではキャパ的な限界を感じ始めました。
ビール造りの方は柑橘のトップシーズンということでみかんを使ったKajyuのリリースや、伊予柑、八朔の加工も。全て手作業のため毎回色々な人の助けを借りながらの仕込みとなります。
そして月末には問題企画?「パシフィックブリューイングビアラン」の開催も。これはUltra Lightという2.8%のローアルビールは走りながらでも飲めるのか?という疑問に対し、100マイラー含む屈強なランナーの方々にお集まりいただき開催された、ある種の人体実験でした。結果的に、走力<飲力が大事ということが判明。ご協力いただいた皆さまありがとうございました!
またビール及び、発泡酒の製造免許は期限付きで交付されます。大きなお世話なんですが、官能審査などを経て無事に延長。ちなみに、規定の製造量と品質の検査を3年連続でクリアすると永久免許に切り替えとなります。なんじゃそりゃ。
ビールはgroovy、Kajyuが新登場でした。
4月
本格的な春の訪れ。秋に始まったビール造りなので、暖かいシーズンの到来に胸が躍ります。人の往来も少しずつ戻ってきましたね。馬車道に誕生した里武士の新しいお店のレセプションに行ったのもこの頃。サーバーのセッティングが終わって無いところにAJBスピリッツを感じました。
そして文字通りのビッグイベント「CRAFTROCK FESTIVAL’22」の出店も!これまでにもイベント出店はありましたが、いわゆるフェス的な大型イベントへの出店はこれが初めて。せっかく出るならば、ということで看板やメニューを作成したりみんなで色違いのユニフォームを作ったりして、パシフィックらしい雰囲気作りに取り組みました。たくさんのビールを持っていき、友人たちの力を借りての出店はとても楽しかったです。雇用、というと大袈裟ですが役員2名で運営している僕らにとって賃金を払って働いてもらうということはとても勉強にもなりました。世の中のルールに倣うのは簡単だけど、人やお金の価値、また仕事そのものの意味みたいなことを良く考えるきっかけにも。来るべく”3人目”の加入に向けた練習のような気分でした。そして個人的には推しのアーティストにビールを飲んでもらえて昇天寸前でした。
長野のサイダリー「Son of the Smith」で行われた第一回「ブルワーズキャンプ」へ参加したのも4月のことですね。同世代のブルワリー/サイダリー関係者が各地から集まり、焚き火を囲みながら酒を酌み交わしました。ほぼ、エロい話しをして泥酔しただけの会。いやー楽しかった。こんな仲間がいることが、僕は本当に嬉しいです。「Shukudai」もこれがきっかけで生まれたので、快楽以上の意味はあったのでしょう。
ビールはPomb、Citrush、Snoozeが新登場。
5月
5月といえばGW。各地でたくさんの催し物が開催されますが、こと湘南においては「Zushi Beach Film Festival」がその代表格ですね。ローカルからBarbaric WorksやYorocco Beerはもちろん、今年は長野からSon of the SmithやAJBによる出店も。これは主催の1人でありオイチイチ店主の通称”ちゅんさん”の繋がりによるものかと。というのも鎌倉に店を構えながら、現在長野の野尻湖畔でジンの蒸留所のオープンを控えてます。その名も「YAMATOUMI farm & Distill」。文字通りの山と海。パシフィックも山と海。実際に山と海が繋がるとどうなるの?というのをこのイベントを通して垣間見れました。当然そこには、”めっちゃ良い雰囲気”があったのです。日本という国の“小ささ“というのは大国と比較した時になんか負けた気がして、あんまり好きではありませんでしたが、最近はその“小ささ“こそ日本の良いところだなと思っています。どこにいても大体のところは半日以内には辿り着けますよね。当然、人の往来も盛んに。湘南と長野なんて大した距離感も感じず、月に何度も行き来することができて、なんだか楽しいなといつも感じています。
同じくGW、今度は自分達が主催者となり「Chigasaki Hikers Meeting」の開催も。これは、ハイキングで知り合ったハイカーのジュンキさん、”Mountain Johnny”の石田さんが偶然茅ヶ崎に住んでいるということが発端になったイベントでした。当初、ハイカーが集うようなフリマをやろうという話しでしたが、個性豊かな出店者様に恵まれ、多種多様なオリジナルギア/フリマが混在するような独特の空気感を持ったイベントに発展。アウトドア/ハイキング/ガレージブランド/クラフトビールをキーワードにたくさんの方が入り混じるような一日になりました。「Newrose」によるフードの出店もあり、タップルームの可能性を感じるような有意義なイベントでした。
そしてパシフィックの影の立役者?「Que」の13周年を記念するパーティーへの出店も。Queの店主、横山さんとは10年以上のお付き合い。僕にビールのイロハを教えてくれた最初の人でもあります。また現在のブルワリーの物件の大家さんを紹介してくれたのも横山さん。つまり、パシフィックを語る上で避けては通れない存在です。パーティーに向けて「Quotidie」というビールの仕込みも一緒に行いました。茅ヶ崎在住のアーティスト、Unoさんによるラベルアートも最高でとっても良いビールになったかと思います。イベント当日は再び「餐」も登場。松本に移住したことで山菜などの季節の食材を活かした料理を振る舞ってくれました。
人にやさしく。これ、本当に大切なことです。そんなことを改めて感じた出来事でした。
ビールはPotto、Bonfire、Quotidieが新登場。
6月
6月は世間的にはビールの季節到来?なのか、いくつか取材をしていただきました。
茅ヶ崎市の情報をまとめたフリーペーパー「Cheega」では「パシフィックブリューイングというカルチャー」と題した特集企画を。通常1-2ページ程度の記事が中心ですが、編集長である小嶋さんがタップルームに来た際に「何かすごいことが起きている」と感じたそうで、パシフィックを一つのカルチャーとして捉え紹介したいとオファーをいただきました。僕らの生い立ちから創成期の話まで、時間をかけて取材を重ね、記事にまとめてくだいました。ちょっと小っ恥ずかしいような気もしますが、市内の方中心にパシフィックのことを知っていただくとても良い機会になりました。
東京とローカルをつなぐフリーマガジン「メトロミニッツ」ではCaliquors Tokyoの店主、白石さんとの対談記事を。一部で“誰得“なんていじられましたが、酒を売る側、造る側という別々の視点から今のシーンやこれからについて自由にお話しさせていただきました。喋ったり、文章に書いたりということはとても大事なことだと思っていて、頭の中で考えてわかったつもりになってること、もしくは自分でもまだ気づいていない、自分の気持ちに気づける(ややこしい)チャンスでもあります。そういう意味でも取材というのは普段使わない頭の部分を使う感覚で、とても好きです。
そして、古巣でもある「CRFATROCK Brewpub & Live」でパシフィックのビールを集めたいわゆるTTO的イベントも開催。ただ、なんとなくビールを繋いでおしまいというのは面白くないなと思っていて、せっかくなので+α的に何かやろうと考え、この時は「What is Passific?」と題したトークイベントも行いました。パシフィックのビールが世に出回ってからおよそ半年。僕らのこと、理解してもらえてるような、そうでもないような。またSNSでは伝えきれてない、僕らのビール造りの根源となる部分などをあらためて伝えよう、という思いで各部1時間ほどお話しをさせていただきました。初めての試みということもあり、ちょっと肩に力が入りすぎたかなという反省もありましたが、普段のイベントとはまた少し違った空気感でお客様とコミュニケーションが取れたことはとても良かったかと思います。元上司との恒例の打ち上げは朝まで続き、山手線を何周もする羽目になったのも良い思い出です。
4月のキャンプがきっかけとなった”Son of the Smith”とのコラボビール「Shukudai」のリリースも。ある種の同業とのコラボはこれが初めて。通称ハカセから宿題のごとくお題を渡され作ったビールで、全く違うレシピのビールを別々で発酵させ最終的にブレンドするというちょっと変わった手法を取りました。中々1人では取り組めないようなビール作りになり、パシフィックにとってもとても重要なことだったと思います。
ビールはSooy、Chako、Shukudaiが新登場。
7月
記憶を辿ると、来客や人との出会いが多かったような気がします。月の初めは麻布の「Crazy Pizza」で行われた焼酎のイベントへ。1月に伺った中村酒造場の中村さんが来るということで駆けつけた、という訳です。またこの日は大和桜酒造の徹幹さんとも初めてお会いしました。お二人とも焼酎業界の次世代を担う方々で、焼酎という言葉から想像するような空間とはある意味真逆な雰囲気で、新しい時代を予感させるとても刺激的な時間でした。
そして「山在り、海在り、酒在り」と題したイベントをタップルームで開催。Caliquors Tokyoの白石さんによる珠玉の“燗酒”や「山在り」自ら仕留めた鹿料理の提供も。これは元々1月に行う予定でしたが、コロナの影響もあり延期に。季節が巡りに真夏になってしまいましたが、“夏のお燗でととのう”がキーワードに、ある意味狂気染みたイベントになりました。ジビエってちょっと難しい感じがしちゃうのですが、“うまいは正義”みたいな感覚で、良い意味でポップに表現してくれる「山在り」はとても面白いなと、一緒にイベントを開催して体感しました。
名古屋からはY.Market Brewingでブルワーを務める古関さんが来茅。湘南エリアのブルワーも集まり楽しい飲み会をしました。そしてその場のノリで、翌日「湘南マッシュインリレー」が開催?されました。ヨロッコ→バーバリック→パシフィックとバトンをつなぐようにマッシュイン。その感想はというと「マッシュインから何を学べば良いのだろう」と。同意。ですが、こういった横のつながりがどんどん広がり、深くなっていってる実感があります。そういう意味ではこの一見無意味なマッシュインリレーが僕らの関係性を象徴するような出来事だったようにも思えます。
横のつながり繋がりでいうと初めて福島県に行きました。元AJBのぴろ君を訪ねに会津田島まで。彼は現在、地元郡山でのブルワリー開業準備の真っ最中。公私共に親交深い間柄ですので、その新天地というものを一目見ておきたかったのです。この頃は南会津マウンテンブルーイングで勤務しながら着々と自身のブルワリー開業に向け準備中。今、同世代で切磋琢磨してきた仲間達が全国でこうして開業のチャンスを伺っています。みんな一体どんなビールを作るのだろうかととても楽しみ!
念願ともいえる「Japan Beer Times」にも取材をしていただきました。フリーペーパーとは思えないハイクオリティな内容で、僕も長年の読者です。特に新しいブルワリーを特集した記事はとても面白く、たくさんの刺激を受けてきたのでこうしてパシフィックも取り上げてもらえたことはとても嬉しい出来事でした。
また茅ヶ崎が誇るクラフトビール専門店「Beer Cafe HOPMAN」の12周年を記念したビールも造りました。何を隠そう、HOPMANで飲んだ一杯のIPAがきっかけでクラフトビールの世界にのめり込み、こうしてブルワリーを立ち上げるまでに至りました。誰かの人生を大きく変えるような、そんなビール造ってみたいですね。また蒔いた種に花がつくには長い時間が必要なんだなと、この身を持って体感したのでした。
そしてプラベートで登山に行ったのですが、自分で造って、自分で担ぎあげたビールを山頂で飲んだらなんだか涙が出そうになりました。ブルワーって本当に良い仕事。
ビールはFloat、Chopmanが新登場。
8月
夏!ですね。茅ヶ崎の夏はというと、ちょっと暑すぎます。
そんな8月はグッズの撮影からスタート。毎回モデルをお願いしているのは10代からの友人。本業はスタイリストなので、スタイリングもお任せしています。頼れる!パシフィックは意外と女性ファンが多い、と勝手に思っています。デザインも関係しているのかな。やってる本人はゆるキャラに入ってるおじさんみたいな気分です。
盆前には渋谷でイベントも。Mikkeler KioskでパシフィックのTTO。せっかくなので茅ヶ崎の味を楽しんでもらいたく、茅ヶ崎が誇る町中華「横濱屋」さんに料理の提供もしていただきました。イベントの様子をお伝えしたいところですが、体調不良で参加できずだったのです。繁忙期に体調を崩し、踏んだり蹴ったりでした。
そして、ポートランドから嬉しい来客も。彼はあのHair of the Dogの長男坊。前職時代にコラボレーションをしたのがきっかけで、同い年ということもあり仲良くなりました。日本の文化に関心が強く、今もポートランドで日本語の先生をしているようです。”Adam”にリスペクトを込めて造ったMalloryも飲んでもらえてとても嬉しかったです。
三軒茶屋の「Sanity」が1周年を迎えるということで、お祝いに駆けつけました。圧倒的な熱量を見れば彼らの本気度が伝わります。異業種からの挑戦。1年でこの存在感、すごいなーと刺激を受けるのでした。なんでもそうですが、一撃必殺みたいな裏技って実は存在しなくて、小さなことの積み重ねでしか大きなことはなし得ないんだなということも改めて思いました。
ちょっと変わったビールの仕込みも。のちにCuriousという名前でリリースしたこのビールはきゅうりとハラペーニョ、ハバネロを使ったもの。唐辛子こそ経験はありますが、きゅうりは完全なる未知。男2人で無心できゅうりを擦った甲斐あってか、新鮮な味わいの面白いビールが出来ました。経験を重ねるごとに、挑戦できる幅が広がっていく感覚があります。どんとこい!うまくしてやる。なんちゃって。
プライベートですが、10代の頃からの友人と毎年恒例のキャンプに行きました。毎回みんなが少しずつ変化していくさまが面白く、俺たち大人になったなーとしみじみ思ったり。過去と照らし合わせながら現在地点を把握するのはとても大事な気がしていて、この時も去年できなかったことが出来ていたり、そういう変化を体感するのにとても大切な時間だなと改めて思いました。
ビールはUmeeが新登場。
9月
9月というと、ビールの製造免許が交付となった節目の月。1年の歳月を実感しながら、次の1年につながるようなビールを造ることに。「Know」という名前でリリースしたビールはちょうど1年目と2年目をまたぐような形で仕込みをしました。ラベルを描いてくれた「Keeenue」も駆けつけ一緒に作業を。仕込みの傍ら、Sukittuで使うすだちの加工を手伝ってもらいました。僕らは高校の同級生という関係なのですが、在学中はほとんど喋ったこともありませんでした。なので、この日はとても不思議な気分だったのを覚えています。人生何があるかわからないのです。
別日ですが、すだちを使ったビールを作るきっかけをくれた弓削さんもブルワリーに来てくれました。朝からSukittuの仕込みを一緒に行い、すだちの加工も。弓削さんもパシフィックを始める前からの友人なのですが、現在は僕らのビールの取り扱いのあるお店の責任者でもあります。友人と仕事を通してより深い関係になるというのはとても良いなと。そして、ビールというのはつくづく懐深い飲みものだなと改めて感じました。
月末は千歳烏山の「Novel Craft」の周年パーティーに。このお店もまた、独特の求心力というか、魅力的な人が集まる一種のエネルギーのようなものがあると思っています。この日もお客さんはもちろん、ブルワー、インポーター、同業者とたくさんの人が集まっていました。人が集うとそこにはコミュニティが生まれるわけですが、それはこれからの業界を形作っていくもの、そのものなんだろうなと客観的に見ていて思いました。
山と道という鎌倉を拠点とするアウトドアブランドが主催する奇祭「山道祭」でパシフィックのビールを提供してもらえることとなり、1ユーザーとしても参加するのを楽しみに準備をしていたのですが、台風の影響で中止。屋外イベントの常ではありますが残念でしたね。時期をずらしての開催も予定されていて、楽しみです。こういったいわゆるビアフェスではないイベントは、普段あまり接点のないお客さまと出会う絶好の機会ですね。次回に期待です。
ビールはMirage、Curiousが新登場。
10月
怒涛の10月が始まります。まずは登山も兼ねて松本旅行へ。松本ブルワリーの勝山くんに一日遊んでもらいました。かれこれ8年ほどの付き合いで、同世代ということもありビールのトレードや情報交換などもよくしています。この日は「餐」を準備中の原くんが勤めるお店にも行きました。普段はふざけた人なのですが、料理をしているときはとってもカッコいいのです。松本は”Hello Passific”というイベントを行なったこともあり、今でもお客さんが多く、第二の故郷的な、そんな雰囲気すらあります。翌日には上高地でキャンプもしました。オンとオフの切り替えというか、こういう時間はとても大切だと思っています。急に新しいビールを思いついたりする訳ではないですが、でもきっと美味しいビールを造るには必要なはずです。
夏の前から企画していた都立大学の「Slop Shop」でのイベントも行いました。代表の村越さんからパシフィックのカルチャー的な背景が伝わるようなイベントにしたいとお声がけいただいたことがきっかけになっています。村越さんとは年齢は違えどクラフトビールにのめり込んだ時期も近く、すぐに意気投合。当日はお互いのルーツを探り、今に繋がる部分をテーマとしたトークセッションも行いました。お客さんとも近い距離感でコミュニケーションがとれ、とても良いイベントになりました。
その翌週には、恐らく世界最高のビアフェスでもある「Mikkeler Beer Celebration Tokyo’22」への出店も。出来て間もない僕らも招待していただきとても光栄でした。今年からは再び海外ブルワリーの参加もあり、一層の賑わいを見せました。イベント自体ももちろんですが、その最中〜前後に至るまでの“おもてなし”の数々もこれまた魅力の一つです。ホテルの一室を使った前夜祭に始まり、イベント中はブルワー専用のケータリングの用意も。今年はなんと出張マッサージまで!海外ゲスト並みの待遇で、こんな時間がずっと続けば良いのに、とみんなで口を揃えて言いました。これだけリラックスした環境だと、お客さんとのコミュニケーションもしっかりとできるので結果的とても良いことなんだと思います。アフターパーティーは朝まで続き、体の内も外もボロボロになりましたが最高の思い出にもなりました。
イベントの合間にもちろん仕込みも行なっています。100回目の仕込みを記念した「Lucky Number」はこの頃の仕込みでした。100にちなんで100回ホップを入れよう!ととても安直なアイデアですが、記憶に残るとても良い仕込みになりました。
この記事もそうですが、パシフィックではビールのリリース情報などをnoteにまとめています。そんなnoteが主催する「クリエイターズフェス」にご招待いただき、「いま楽しむクラフトビールの世界」というトークセッションに登壇させていただきました。真っ白なオフィスやたくさんのカメラに負けてガチガチに緊張してしまいましたが、普段とは違う環境でのトークイベントとなり良い勉強になりました。noteのデザイナーの方が茅ヶ崎が地元+クラフトビール好きということもありお声がけいただいたという訳でした。イベントが終わってからはスタッフの方々と軽く懇親会も。同世代の方も多く、東京のど真ん中で仕事をする皆さまがとてもカッコよく見えたのが印象的でした。
月末には再びの鹿児島へ!冬に伺ったときは仕込みも終わったオフシーズンだったので、「次回は仕込みのシーズンに」と言っていただいたのがきっかけでした。この数ヶ月で焼酎をたくさん飲んできたので、実際にそれらがどうやって造られているのかというのを間近で見られるとても貴重な機会。初日は白石酒造さんの芋畑や、今年のもろみの様子などを見せていただくことに。畑では収穫作業が行われていました。掘り返した芋はサイズごとに分類し、貯蔵庫へ。無農薬で育てた芋は小ぶりながらその芋の風味が特徴となるそうです。ビールもそうなのですが、酒とは農作物であることを改めて実感。翌日は中村酒造場へ。こちらでは朝から蔵に入り仕込みの作業を一緒にさせていただけることに。麹の世話や、モロミの櫂入れ、芋切りなどなど微力ながらお手伝いさせていただきました。中村さんの麹つくりに対する思い、そして焼酎から感じられるその風味がとても好きなので、温もりの残る麹に触れた時には思わず涙が出そうになりました。そして、麹室に広がる香りや、中村さんの真剣な表情から“良い酒“の原点を肌で感じられるような特別な一日でした。改めてありがとうございます。
ビールはPolka、Koppu、Sukittuが新登場。
11月
11月は「飲む練習」から始まりました。ポッドキャストReplicant.fmとのコラボレーションで生まれたこのビール。仕込みや缶詰めも一緒に行い、その制作の裏側を語った番組の収録も行いました。各地でリリースイベントも企画され、僕らは戸越銀座の「drifter’s stand」、高尾「My Home // Coffee,Bakes,Beer」で行われたイベントに参加してきました。物販あり、トークイベントありで大盛況。カルチャーに対する強烈な熱気も感じました。また本ビールのリリースに合わせ、OmamiによるMix Tapeの作成も。ジャケから内容までパシフィックがテーマとなっていて、最高でした。個人的にはこれをきっかけにカセットプレーヤーを購入。名盤から最新作までカセットを購入し自宅で楽しんでいます。 Replicant.fmをきっかけとした出会いはとても多く、そういう意味でも「飲む練習」はこの1年の集大成とも言えるようなビールでとても印象に残りました。
9月に仕込んだ「Know」のリリースも。”keeenue”によるアートワークから、ビールのコンセプトまで2年目への意気込み的な立ち位置でもあります。僕らはまだまだ農との距離が近くはないなと思っています。ですが、自給率を上げるという数字的な側面にとらわれず、“農とは知ること“をテーマに少しずつでも取り組んでいければ良いなと。できることからコツコツとやっていこうと思います。
プライベートですが今年もOMMに参加してきました。バディは3年連続のぴろ君。これはスタート直前に渡される地図を基に山野を駆け巡るレースです。コンパスや地形図を頼りに、山中に設置されたチェックポイントを巡りながらゴールを目指すのですが、時間配分や地図読みなど常に変化し続ける状況の中で、適切な判断を続けていく必要があります。これはある意味で会社経営にも似ているなと。目の前に現れる分岐の度に、右か左かと常に判断を迫られ、しっかりと周りを見渡し適切な判断をしないとあっという間に道迷いをしてしまいます。パシフィックの1年もまさに判断の連続。正しい選択をした上で、さらに楽しむ必要すらあるのです。今年は高尾ビールさんのご厚意で、前夜祭でパシフィックのビールの提供もしていただきました。こういう形でアウトドア好きな方々と接点を持てることはとても嬉しいことですね。
月末には名古屋の「TRUNK COFFEE&CRAFTBEER」さんにてパシフィックのイベントも開催されました。実は前職時代から縁深い同店。僕がスペシャリティコーヒーを飲むきっかけになったお店でもあります。時が経てこうして自分のブルワリーとしてここに戻ってこれたことはとても感慨深かったです。前後では名古屋の街も堪能。Y.Marketの古関くんにアテンドしていただき、気になっていた場所を1日かけて巡りました。久しぶりの名古屋でしたが、やっぱり都会はすごいですね。そのエネルギーとカルチャーの質の高さに刺激を受けました。帰り際には新しくできたブルワリー「Totopia Brewery」にも寄り道。オーナーの森田さんが何度も口にしていた”世界観“という言葉が印象的で、それがあるか無いか、またそれらを共有できているかというのはこれからのブルワリーにとってとても大事なことなんだと思いました。
ビールは飲む練習、Knowが新登場。
12月
12月は税務署による調査から始まりました。ビールは酒税が絡むので、それに関する帳簿の作成や申告の義務があります。主には課税額を決定する上で重要な出荷に絡む帳簿。これは10ml単位まで記録が必要です。またそれに付随して、原料の入庫、使用の記録や製造に関する内容まで多岐に渡ります。なんで納税してんのに疑ってかかられないといけないの?と不満しかありませんが、日頃から小まめに帳簿を作っているので特に大きな問題もなく終わりました。免許の取得の頃から苦労してますが、非クリエイティブなこの時間はなんとかして減らしていきたいものです。
年内最後となるタップルームもオープン!月1回くらいやってると言いながら7月の開催以来となったこの日。寒さも厳しい季節ではありますが、過去最大のお客さまにお越しいただきました。また鵠沼の「Trust Archer」さんによるフードの出店も。こちらはプライベートでも良く行く大好きなお店ですので個人的にもとても嬉しかったです。たっぷりと用意してもらった料理はほぼ完売! ビールの方は“マイカップ”の取り組みを開始しました。元々はグラスでの提供をしていましたが、来客数の増加に伴い断念。プラカップでの提供に切り替えましたが、使い捨てにするのもなんだかなと思っていたので実験的な意味も込めてマイカップの持参の声がけをさせていただきました。結果的には8割強の方が持参してくださり、またそれらの多くは他社さんのリユースカップなどでした。リユースカップの作成自体は全く否定しませんが、それらは買うことではく、繰り返し使うことで意味を持つということで、使える場を提供するのもまた一つ重要な要素と考えています。キャパ、オペレーションの都合でビールの提供に時間がかかったりお手洗い行列問題など課題もたっぷり。より良い空間になるようにこれからも努めていきます。それにしても、萩園という地元の人もあまり訪れない場所にあれだけの方が足を運んでくれるのは本当にありがたいことだなと。他人事のようですが、ビールの持つパワーというのをあらためて感じました。
年末には新しいグッズの撮影も。今回は”groovy”のオーナーにもヘアメイクの協力をしていただきました。毎回試行錯誤を重ねながらの撮影で、ビール造りとはまた違った角度で“良いもの”を作れるよう楽しみながらやっています。
京都からの来客も。京都醸造のブルワリーチームが研修も兼ねて遊びに来てくれました!オーナー/ヘッドブルワーであるクリスは実は元同僚。知識やキャリアは彼の方が上だったので良き兄のような存在でもあります。とっても良いチームなのが滲み出てくる雰囲気で、また一緒に行った仕込みでは意見交換もしながらたくさんのことを学びました。
ヨロッコビールの吉瀬さんの声がけで、「Enoshima Brewers Cup」と題したボーリング大会にも参加してきました。数年ぶりのボーリングで汗を流した後は、みんなで忘年会も。湘南エリアのブルワリーの方々にはいつも刺激を受けていて、恵まれた環境だなーというのを再確認。仕事の話しも、そうでもない話しもオープンな関係でできる最高の仲間だと思っています。
最後に
ふう。ここまで辿り着いた人いますか? 1年を1日で振り返るのは無謀でした。すごいボリュームになってしまいましたね。ですが振り返られる出来事がたくさんある、というのはとても幸せですね。
今年はどんな1年だったか?と考えましたが、“高校1年の4月“というのが自分の中ではしっくりときます。周りはほとんど初めましての人たち。慣れない環境ながら、その出会いや雰囲気にわくわくするものです。まだ親友と呼べるような友達はいませんが、今はこの出会いを純粋に楽しむ時期なのかも。これから日々の生活やたくさんの行事を経て、仲良くなったり、時には喧嘩もしたりしながら成長していくのです。
2023年もパシフィックはパシフィックらしく過ごしていこうと思います。
「海を越え、山を越え、ビールと旅するブルワリー」結局、この言葉に集約できそうだ。
長くなりましたが、振り返りはこれでおしまい。
皆さま今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?