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【ドイツ編-2】ヨーロッパ、ビールへの旅

4/17(月) 6日目

SaunaとBrauerei Päffgen

朝はゆっくりと2度寝をして10時前に起床。この日泊まっていたのはサウナ併設のホテル。旅の疲れを癒せるのでは無いかと予約の時から楽しみにしていたのですが、一つだけ懸念事項が。それは、”どこまで裸でいいのか問題”です。と言うのも、サウナ内は混浴が基本。前日に、フロントの人にも確認しましたがこちらの英語力の問題もありいまいちどんなルールか理解できてなかったのです。
全裸で恥をかくというのは、恥ずかしさ業界の極みですよね。そんなこんなで、結構緊張しながら更衣室へと向かいました。水着を持っていなかったので、ナイロンの長ズボンを膝まで捲って、借りたバスローブを見に纏い、いざ出陣。
中に入ると、まず大きなプールがありその周りにリクライニングシートやサウナ室がありました。着衣のルールもよく分からぬまま、こそこそとシャワーを浴びて、サウナ室へ。全部で5-6つほどありましたが、それぞれ温度帯が違うようです。サウナ室内は水着禁止のマークがありましたので、恐る恐る全裸になり入室しました。最初に入ったところは低温のアロマ系。外を眺めながら、引き続き着衣のルールのチェックをしてましたが、全裸でプールに入る人多数。少し安心して、汗もかいたところで水風呂代わりにプールへ。
場内を見渡してみましたが、リクライニングシートなどを利用する時以外は割と全裸で大丈夫なようです。屋外の温水プールでは裸のおばあちゃんが泳いでいたりと、なんだかリラックスした良い空間でした。
休憩スペースが豊富なので、ゆっくりと本を読んでいる人なんかもいました。時間の関係で、まだ空いてないサウナ室が多かったのですが、それでもここまでシャワー暮らしだった体にはとても心地良い時間だったのです。

2時間ほど滞在し、お腹も空いてきたので再び街に繰り出します。
昨晩の不完全燃焼を払拭するため、満場一致でBrauerei Päffgenへと向かいます。
いわゆる“サ飯”的にいただくシュニッツェルとケルシュ、それはそれは最高です。夜の賑わいとは裏腹にお客さんもまばらだったのでビールのコンディションは若干心配してましたが杞憂でしたね。夜は70L程度の大樽からの提供でしたが、昼は10L程度の小樽からの提供に切り替わってました。このこだわり、さすがです。
スタッフの方も余裕がありそうだったので、「ブルワリー見れます?」と声をかけてみたら二つ返事でレストランの奥にある醸造スペースまで連れて行ってくれました。
ちょうど仕込みをしているところで、釜の中では、麦汁が凄い勢いで沸騰していました。かなりの年季の入った銅釜で大きさは3000-4000L程度でした。少し気になったのが、発酵用のタンクが見当たらないこと。その代わりに謎の石蔵が。これはもしかしたら、De Dolleよろしく角形オープンファメンターか?と思わず妄想をしてしまいます。地下にタンクスペースがあるのかなとも思いますが、設備の年代からしてかなり伝統的な造りを今でもしていることが想像できます。

そんなこんなで、6-7杯のケルシュを流し込み、次の目的地へと向かいました。

Düsseldorfへ

駅へと向かう道中、ケルン大聖堂に立ち寄りました。中に入ると”荘厳”という言葉はまさにこの事と言わんばかりの雰囲気で、圧倒的な畏怖のようなものを感じました。
今でこそ、大型の建造物は珍しくもありませんが、数百年も前の人からしたら驚きだったのだろうなと。神々しいなんて言ったらあれですが、こんな僕でも神の存在を信じたくなりました。
15:49発の私鉄に乗って、いざデュッセルドルフへ。30分ほどで到着するので、隣町のような感覚ですね。駅の近くの宿でチェックインを済ませ今後のスケジュールを相談しつつ、18時頃には街へと向かったのでした。

Uerige

ケルシュの街、ケルンから程近いデュッセルドルフへと降り立ちましたが、この街にはケルシュのケの字もありません。代わりにアルトというビールがそこにはあるのです。
ライン川沿いに位置するこの街ですが、ケルンとも構造がそっくりで、徒歩圏内にいくつも醸造所やレストランが点在するので、アルトの飲み歩きをするのがこの日の目的でした。

まずは、中心地から少し離れたところにあるUerigeへ。日本にも輸入されている、アルトの代表格とも言えるブルワリーです。
工業都市故に、日系企業も多くあることからか日本人の団体とも遭遇しました。
ここでも、入り口付近に大きな木樽が置かれ、そこからビールが注がれていました。カリーブルストをつまみにしながら、アルトをいただきます。グラスの形状はややケルシュにも似た細長く小ぶりなもの。木樽注ぎの割には温度は冷たく、色の通りモルトの甘い風味の奥に長めに続く苦味がありましたが、サクッと4杯くらい飲めてしまうような絶妙なバランスです。
アルトとは古いという意味なんですが、まさに黄金色のピルスナーが世界を席巻するまではこんな褐色のエールが各地に点在してたんだろうなと感じさせる一杯でした。
こうして陸路で旅をしていたからか気になったのは、ケルンとデュッセルドルフでどうしてここまでビールに違いが出たのかということ。
どちらもエールという点では同じですが、ケルシュの方はおそらくピルスナーなどの下面発酵ビールに影響を受けて生まれた、当時で言う”モダン”なビール。あとで調べてみると、ドイツ北部ですが降雪量も少ないのでラガービールの醸造が難しかったのでは無いかと想像できます。
対して、アルトはピルスナー誕生以前のビール。何故黄金のビールに浮気せずここまで残ったか?
なんて話しを、みんなでしながらビールを飲みました。真相はわかりませんが、日本人らしい例えをするならば「これって京都と大阪の違いに似てるんじゃない?」というところに落ち着きました。なるほどな。

Zum Schiffchen/Kürzer/Zum Schlüssel

続いて、Zum Schiffchenへ。こちらは比較的な小綺麗なレストランスタイルで、近代的なサーバーからビールは注がれていました。ビールの方はクリーンな見た目で、ナッツ感が特に印象的、苦味は穏やかで、やや甘やかなフィニッシュ。バランスはすごく良いのですが、綺麗すぎるとも言える味わいでちょっと物足りないなさも感じてしまいました。
季節物ということで楽しみにしていた白アスパラを食べながら2杯程飲んで、Kürzerという店に向かいました。
前の2軒と比べると、かなりヤングな雰囲気。スタッフもお客さん30代前後の若い層が多かったように思います。品川から渋谷に行ったような、そんな雰囲気。
店内奥にはブルワリーもありました。上階へ突き出すようにタンクが設置されていたり、パブスペースに熟成タンクが配置されていたりとモダンな造り。ステンレスバレルなんて言って、仕込み釜の一部を改造したタンクからビールを注いでいました。
味わいの方は、クリーンで、カラメル感を特に強く感じました。どことなくクラフトビールにも通ずるような味つくり。日本では見向きもされない?アルトというスタイルでありながら若い人たちの話題のスポットのような立ち位置なのは、文化の違いを感じる面白い光景でした。
帰り道にはもう一軒、Zum Schlüsselへ。レストランこそ綺麗なものの、店内奥のブルワリーは銅釜仕様で、ビールも大きな木樽からの提供でした。
その割にはかなり綺麗な造りで、甘味が強いからか、ちょっとすすまない感じの味わいでした。条件的にはUerigeにも近いと思いましたが、これほど味が違うのはとても面白かったですね。

アルト飲み歩きにも満足したので、大人しくホテルへと戻り、1時過ぎには就寝したのでした。

つづき

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