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クールだけど情け知らずでない

田辺聖子さんの小説の中に、こんなセリフがあった。
確か、独身の50代の女性という設定だった。
いわゆるキャリアウーマンで係累はほとんどなし。唯我独尊のような彼女が、遠縁の高齢女性に毎月現金書留で仕送りをしている…という事実を主人公が知った。

一人で誰にも頼らず生きている彼女のそんな一面を意外に思った主人公に、
『クールだけど、情け知らずでない、という女になりたいの』と告げたのだった。
現金書留の封筒をペタペタと貼るという作業がいいと言っていた。
銀行振込ではなく、そのひと手間をかけることで、きちんと送金してるという実感があるらしかった。

小説の名前も内容もよく覚えていない。
だけど、「クールだけど情け知らずでない」という言葉はずっと心に残っている。そんな女性になれたら、理想だな。

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