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喜ばしくも、不意を突かれる

次は半年後にMRI検査をしましょう。
放射線科の主治医が私にそう告げる。次は11月と思っていた私は不意を突かれた。

先生と最初に出会ってから7年が過ぎた。
確定診断がついた後。ここで治療を受けたいと考えて紹介状を携えて赴き、不安の渦の真っ只中にお会いした先生は、とても穏やかで丁寧に説明をしてくださる方だった。

次は来年の2月。
ずっと3か月おきだった放射線科の診察が半年おきになる。経過良好ということは、こういうことなんだ。喜んでいいハズ。

再発がわかったときには「力及ばず、申し訳ない」と言って下さった。
お医者様がそんな言葉を口にするとは思ってもみなかった。それに、再発は先生のせいではない。誰のせいでもない。
いつも診察のときには、病状以外の話もして下さる。
3分診療なんて、先生には無縁の言葉だ。スタッフからの信頼も厚い。

がんになって良かったと思ったことは一度もないが、この病を得て出会った方々からたくさんのものを受け取った。医療者が正しい知見を広めようと、手弁当で尽力されている姿も知った。
この状況にならなければ知る由もなかったことをたくさん知った。
おそらく、キャンサーギフトとはそういうことなのだろう。
知らずに済めば幸せだったのだろうか? 今の私はそうは思わない。

がんになったことは不運ではあったかも知れないけど、不幸ではないと思っている。
何人かの仲間を見送ったし、再発もしたけれど…それでも。

来年の2月に、先生と笑顔で会えますように。


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