高齢イッヌとわたしの深夜の攻防
実家に帰省中である。
高齢イッヌがいつも寝ている客間を我々母子が布団をひいてお借りしている。
納得いかないのは高齢イッヌ。
そんな事聞いちゃいないとばかりに、襖の前で「あけんか」と待機している。
現在深夜2時05分。
高齢イッヌは16歳のビークルである。
ビーグルの太くて長い鼻先から漏れる「ぐぅ~」という鼻息がする。ふすま一枚隔てた、2m先の冷えた深夜の廊下から、ふぅ~、と鼻息が聞こえてくる。
一度リビングに戻っては、また廊下を歩いてこちらへ向かってくるカツカツという爪音がする。我慢ならず鼻先で扉をぐいと押し、室内の暗闇の空気が揺れる。
ちょっとした、いや、かなりのスリリングを感じる。すごい圧なのである。
息を潜めて(はやくあきらめておくれ)と祈るわたし。
見えない圧により、全然眠れない。両脇で子どもたちがすやすやと寝息を立てているのが救いである。
反面、イッヌの強い圧に全く眠れないわたしは、なんなら遡ること一時間前、深夜1時に一度起き、庭に出て高齢イッヌにトイレも済まさせた。めっちゃ冷え切ってた寒い。(う◯ちも出た、えらい)
そろそろ、そろそろ諦めてくれまいか。
リビングで一緒に寝る担当の父が、高齢イッヌを呼んでいる。あぁ救世主。
イッヌ、どうか諦めて、寝てくれますように。
しばしの間、客間をお借りしております。
高齢イッヌ、ごめんよ。また明日たくさんナデナデさせてくださいね。
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