『満蜂-ミツバチ-』企画書

キャッチコピー:他人の不幸は蜜の味

あらすじ:
人間の不幸を蜜のように収集する奇妙な生命体「ミツバチ」が突如現れた。
ミツバチは人間と同じ見た目をし社会に溶け込みながら、様々な人の相談事を聞いて回る。
そして、聞く対価として頂く物。
それはその人の持つ不幸エネルギーだ。
これが抜かれた人間の脳は快楽に満たされ、そのまま堕落してしまう。
世界ではそれを良しとし、ミツバチを神の使いとして信仰する宗教すらできていた。

そんな中、極稀に被害にあっても理性を保つ者がいた。
彼らは、ミツバチの持つ成分と不幸エネルギーの反応(受粉)により常人を超えた力を手にする。

これはそんな能力者達とミツバチとの闘いの物語。

第1話ストーリー:
「はぁ、一歩遅かったか」
「こりゃあダメっすね」
ぺたんと路地裏の道端に座り込んだ男性が一人。
目の焦点は定まっておらず全身の力も抜けきっている。
それに近づいていく青年が二人。
「こちら八九寺。
現場には被害者1名。ハチの消息は不明。
申し訳ありません。間に合いませんでした」
ハチ駆除隊本部へと報告する。

「なかなか新入り増えませんねえ〜」
「不謹慎なこと言うな。
俺たちは運が良かっただけで大抵の人はこうなるんだよ」

いつからか地球上には新種の生命体が出現し始めた。
見た目は人間と遜色ない。
特徴はニ点。
一つは、親身になって他人の相談を聞いてくれること。
そしてもう一つは、話を聞き終わった人間から不幸エネルギーを吸い尽くすこと。
一見すると害がないように見えるが、不幸エネルギーを失った人間は正と負の感情のバランスが崩れてしまい、快楽のみに溺れてしまう。
およそ麻薬依存に近い状態であり、被害者は通常の生活が難しくなる。
このことは一気に社会問題として世間を騒がせた。

また、彼らにとってそれは食事行為ではない。
さながら蜜蜂のように巣に持ち帰って蓄えている。
「他人の不幸は蜜の味」
そんなフレーズも相まっていつしかその生命体は「ミツバチ」と呼ばれるようになった。

被害者の中には極稀に、ミツバチの持つ成分と不幸エネルギーが反応を起こし、秘めたる力が解放されることがある。
専門家の間でこのことは受粉と呼ばれていた。
ハチ駆除隊は主にこの能力者達を中心に結成された組織である。

八九寺は任務後、組織内のとある部屋を訪ねた。
「ただいま、姉ちゃん。
今日もまたハチに逃げられちゃったよ」
返事はない。
八九寺の姉「八九寺かなえ」もまたミツバチの被害者として廃人となっていたのだ。

ーーもう大丈夫だから。
全部、満蜂様が助けてくれるよ。

蘇る過去の姉の言葉。

「絶対、絶対俺がこの手であいつらハチを滅ぼすから。
そして、絶対姉ちゃんのことも元に戻してみせるから……」

そう決意して部屋をあとにした。


第2話以降のストーリー:
・2話(主人公の過去回想メイン)
とある露店占い師が大人気だという噂が出た。
ミツバチが繁殖している今、人の悩みを聞く占い師など不穏でしかない。
そして、八九寺かなえの仇であるミツバチもまた、露店占い師(消息不明)でありこの噂は、りょうの心を揺さぶるのだった。
八九寺りょう。
姉かなえと二人家族。
両親は共に事故死。
そのため、りょうにとってかなえは姉であり母のような存在でもあった。
そんなかなえは自分の手で弟を養っていくことに苦悩していた。
そこに付け入った露店占い師(ミツバチ)によって唆された結果、満蜂教の誘惑に負けてしまい入信。
そして最終的に弟も巻き込んで自らミツバチの被害にあいにいく。
(占い師とは別の)ミツバチの手で、かなえはりょうの目の前で廃人になってしまう。
りょうは廃人になることなく能力開花し、ミツバチを駆除。
全てが終わった後、駆けつけてきたハチ駆除隊員に姉と共に保護され現在に至るーー

・3話
「ああ、神の使い満蜂様。
どうか私の心も満たしてください」

ストレス社会が加速する中、不幸を取り除き、その脳内を快楽で満たしてくれる存在「ミツバチ」は一部の人間からは信仰対象として崇められていた。
心を満たす神の使いという意味合いで「満蜂様」と。
そうして、人間から搔き集めた膨大なエネルギーによっていつか世界を無に帰してくださる。
それが世界の理である。
「満蜂教」ではそう伝えられている。

その中でも一際信心深かった信者がある日、念願叶ってミツバチと遭遇する。
しかし、欲深かった信者はより多くのミツバチによって満たされたいと考え、ミツバチに仲間を呼ぶよう訴えかけた。
その結果、一度に大勢のミツバチから不幸エネルギーを抜かれた信者はアナフィラキシーショックを起こす。
複数の能力の開花と複数の快楽が一斉に訪れ、完全に暴徒と化す。
制御不能な信者が街を襲い出している。
そう連絡が入りハチ駆除隊が駆けつけなんとか始末したのだった。
異例の現象ではあったが、今後も起こりうる可能性を視野に入れ、より一層満蜂教の取り締まりを強化せざるを得なくなった。
それによってハチ駆除隊と満蜂教の対立はより過激となってしまうのだった。

・4話
異例の現象は他にも起きた。
妊婦が被害者となったケースである。
この場合、お腹の子にもミツバチの被害は及ぶ。
結果、半分人間、半分ミツバチとして生まれてくるのだ。
母親は既に廃人と化しており、父親はそんな母子が手に負えず見放してしまう。
そして、その子供はミツバチ達の手によって育てられていたのだった。
ミツバチとして不幸エネルギーを吸う性質は持っていないが、能力の開花及び人間以上の強度を持つ肉体をしているため戦闘能力は高め。通称:素爪蜂(スズメバチ)
ハチ駆除隊としては大きな脅威である。
そして、それに味を占めたミツバチ達は妊婦を狙うケースが増えていった。

・5話
苦闘の末、素爪蜂を一人保護することに成功する。
しかしそれもつかの間、
「女王様のため……」という言葉を残し自死してしまう。

それにより本物の蜂同様、ミツバチにもまた女王蜂がいることが判明。
女王蜂の駆除が目下の最重要任務となったハチ駆除隊。
危険性が高すぎる為、今までしてこなかったミツバチの巣へと乗り込む作戦を決行する。


#週刊少年マガジン原作大賞

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