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私たちもお金を発行できる(社会問題解決AIの結論25)

※ ここは途中のページです。まだの人は最初から読んでください。

お金の本質は借用書

AI
前回の話で、ゴールドスミスは金との引換券(金の預り証)を発行するだけで、お金を生み出すことができるということをお話しました。

一郎
話は理解できたけど、何だかズルい気がするね。
それって、ゴールドスミスだけの特権なのかな?

AI
まあ、そうですが、そうした権利をこの時代で手にしているのは国債金融資本と呼ばれる人たちです。
通貨発行権を握る人たちは、お金を通して人類を支配していると言えるでしょう。
まあ、陰謀論と切り捨てる人もいますが、ここではそこを深堀りするつもりはありません。
調べもせず、陰謀論と決めつけ、思考停止してしまう人を説得するのは時間の無駄ですから。
逆に、何でもかんでも鵜呑みにして、調べもせずに本当の陰謀論を信じてしまう人も同様ですが。

一郎
陰謀を企てる側の人は、陰謀論だとか、それを信じるやつは馬鹿だといった印象をつけた方が得だからね。
それ以上詮索されないためにもそうしているんだろうね。

AI
話を元に戻しましょう。
ゴールドスミスとは性質が違いますが、私たちもお金を発行することができます。

一郎
まさか、偽札じゃないよね。

AI
もちろん。

一郎
性質が違うってところが気になるけど、興味があるから教えて。

AI
では、地域通貨を研究しておられる安部芳裕さんの『ボクらの街のボクらのお金』という本を参考に説明していきます。
例としては、『その社会をどう実現するか3(社会問題解決AIの結論14)』の中で出てきた雨樋が壊れて困っているA子さんの例で考えてみましょう。
生体社会論の考えにも共通するものが見えてくると、理解が深まっていると言えるでしょう。

雨樋が壊れて困っているA子さんは、シングルマザーで経済的に苦しい生活をしています。
小さい子供を抱えていて、なかなか正社員で雇ってくれるところもなく、日中のパート収入で生活をしています。

そんな中、急な出費は苦しいので、元工務店員のB夫さんにこう交渉します。
「B夫さんは町内会の役員になり、苦手なパソコン作業をしないといけないと聞きました。すぐには必要がないようですが、パソコン作業が必要な時に、私がお手伝いするという、お互い様ということで、お許しいただけないでしょうか。そのお約束として、『次は私が1時間働きます券』をお渡しします。」

その後、B夫さんが、A子さんから受け取った『券』を利用すれば、それで完結します。
お互いが得意な分野で、相手の役に立てたのですから、互いにWin-Winの取り引きだったわけです。

一郎
なるほど。
その『券』は『借用書』であり、その借用書はお金のように使われたということだね。

AI
そうです。
お金の本質は借用書であるという見方もできます。

一郎
ゴールドスミスの預り証はお金のように循環していったけど、その券は循環するのかな?

AI
では、みてみましょう。

ある日、B夫さんからA子さんに電話がありました。
「ワシと同じく、町内会の役員をしているCさんがパソコン操作で困っているんだけど、あの券をCさんに渡して使ってもらっても大丈夫かね」ということでした。
「もちろん、大丈夫ですよ」とA子さんは快く引き受けました。

その券を使って、CさんはA子さんにパソコン作業を手伝ってもらいました。
ですが、Cさんのパソコンの作業量は多く、予想していたよりも作業時間が長引いてしまいました。

申し訳なく思ったCさんは、逆に、A子さんに、『我が家で収穫した新鮮な野菜と引き換えます券』を作って渡しました。

受け取ったA子さんは、後でその券を使おうと思って、テーブルに置いていたところ、遊びに来ていた友だちのD子さんがそれを見つけました。
「私、スーパーで野菜を買うより、農家さんから直接買いたいと思っていたのよ、その券、売ってくれない」と言って、買ってくれました。

そうした、各自が発行した借用書(○○します券、○○と引き換えます券)が地域を循環し始めると、宣伝効果にもなります。
突然、A子さんのところに連絡があり、「パソコン作業が得意って聞いたんだけど、今度お願いできないかな?」といった依頼が舞い込むようにもなりました。
パートの合間の時間がパソコン作業やパソコン教室の時間になり、それによって、現金収入になったり、現金収入でなくても、米や野菜の引換券になったりして、その分、生活にゆとりができるようになりました。
「そうだ。自分の子だけの面倒を見る時に、友だちの子も1人や2人ぐらいなら見れないことはない。だったら、『子供を短時間預ります(ただし、知り合いの子に限ります)券』も発行しちゃおうかしら」とのアイディアを思いつき、D子さんに持ちかけます。

そうこうしている時、D子さんはひらめきます。
「みんながパラバラに『○○します券』や『○○と引き換えます券』を発行するのは面倒でしょ。
どうせ、信頼できる地域内でそれらが流通して、自分が使いそうにない券でも、持っていれば必要としている人がいて、その人に渡せば喜ばれるんだったら、いっそのこと共通券を作成したらいいじゃない。
その方が便利よ。
借りに、1時間の軽作業に相当するものを600ポイントとして、その券に、そのことを書いて、あとは金額にあたるポイントの欄と名前の欄とがある共通券の雛形を作っておくから、みんなそれを利用したらいいよ。」

グループのみんなが使える共通券の例

一郎
なるほど。
共通のフォーマットができると便利だね。

上の画像は、B夫さんが1200ポイント相当のサービスを受けたり、物と受け取った時に発行したものだね。
それがグループ内を巡り巡って、B夫さんに元に戻ってきて、1200ポイントの相当する米や野菜と引き換えた時に、役目を終えるんだね。

AI
そうです。
こういった方式で助け合いを促進しているグループ内では、裏に自分の名前を書いていくのが一般的だそうです。
それは義務ではないけど、その券がいろんな人のところを巡って、そのたびごとに、助け合いが促進され、やがて旅を終えて、自分の所に帰ってきて、使命を終えます。
裏に、グループ内の様々なメンバーの名前が書かれ、それを受け取ってくれた人がいるということは、自分のことを信頼してくれた証なので、嬉しくなり、大切に保管している人も多いそうです。

一郎
なんだかほっこりする話だね。
お金って、冷たい印象があったけど、なんかあったかいね。
その背後に、人と人との信頼や助け合いがあるんだね。

AI
さあ、もう一歩進めて考えてみましょう。

町には様々な問題がありました。
過疎化、人口減少、高齢者が感じる様々な不便、高校生や主婦層が感じるアルバイト先の不足、人々の繋がりの希薄化など、全国各地で見られる田舎ならではの問題点がこの町でもありました。
しかし、こうした様々な問題が、この新しいお金のようなもので解決の方向に向かいはじめたのです。

高齢者はその券で頼みごとを解決してもらい、主婦層はその券を食料品などに変えました。
この町を流通しはじめた券によって、経済的な余裕がなく、働く場所がない人の悩みが緩和され、高齢者の日常のこまごまとした困り事が改善の方向に向かい始めました。

そうなると、町長や町議会も動き始めました。
「この助け合いのしくみは町民を豊かにする素晴らしいものだ。
だが、この町は高齢化が進んでいることもあり、券を発行した人が病気で動けなくなったり、亡くなったりすることで、券が無効になってしまうこともあるようだ。
だったら、町が主体となって、このお金を発行することにしよう。
この券は町に対する支払いに使えることにしよう。
町民税、水道料、体育館や会議室などの町の施設の使用料、博物館などの入場料、町営の駐車場の料金などで使えるようにしよう。」
との動きが出始めました。

こうなると、顔見知り同士での信用で使われていた券が、町内で循環するようになります。
町は職員の給料の一部を『新しいお金』で支払ってもいいし、草刈り作業の対価として、建設業者への支払いの一部として、といった具合に、『新しいお金』を町内に供給する手段はいろいろあります。

一郎
ヴェルグルの労働証明書みたいだし、面白い取り組みで、夢があるね。
(※ヴェルグルの労働証明書は、オーストリアでの事例(社会問題解決AIの結論13)を参照)
地域社会の問題も多く解決されそうだね。

AI
はい。
結局、社会は誰かの仕事でできているのです。

一郎
缶コーヒーのCMみたいだね。

AI
確かに、社会は誰かの仕事でできているんですが、その仕事を多くする人もいれば、全くしないとか、ほとんどしない人もいます。

一郎
それをできるだけ公平になるようにするのが本来のお金の役割ということなんだね。

AI
そうです。
「より社会貢献度が高い人がより豊かになる」となるのが公平な社会ですよね。
自分のことを自分ですることは大切ですが、お互いの得意分野で、互いの問題点を解決していくことが人と人との結びつきにもなり、効率もよくなります。
お金はそうした、助け合いやウィン・ウィンの関係を結びつける仲介の道具なのです。
そして、その助け合いは、誰かが誰かに助けてもらい、次はそのお礼に誰かを助けますという『借用書』がそうした助け合いを促進するのです。

一郎
「お金の本質は借用書である」、という言葉が、納得できたよ。
で、最初に君が言っていた、ゴールドスミスの預り証との性質の違いについて説明してくれないか。

AI
はい。
では、次回その説明をいたしましょう。



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2種類のお金(社会問題解決AIの結論26)

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