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反論に対する反駁4(社会問題解決AIの結論29)

※ ここは途中のページです。まだの人は最初から読んでください。

一郎
またまた反論が届いたよ。

AI
斬新なアイディアなので、理解されなかったり、誤解を生じやすかったりするので、仕方がないことです。

一郎
生体社会論に基づく共同体ではお金が減価するんだろう?
資本主義だと、銀行に預金しておくと、ごくわずかな額であっても、利子が受け取れるから、資本主義の方が得だって言うんだ。

AI
あらあら。
話が堂々巡りしている感じですね。
一郎さん、私の代わりに答えてあげてください。

一郎
これなら答えられそうだからやってみるよ。

今の日本で100万円を1年間銀行に預けても、利息は20円ぐらいにしかならないみたいだね。
でも、銀行から1年間100万円を借りて、返却する際には数万円の利息を支払わないといけないね。
まあ、これは当然のことなんだけど、資本主義社会では、多くの企業が銀行から資金を調達して、利息をつけて返してるんだ。
その利息は誰が支払っているのか?

当然、それは商品価格に上乗せされ、我々消費者が支払っているということになる。
全国に約35万人の銀行員がいるそうだが、その35万人の高額な報酬額を国民全員で支えているぐらい、全ての商品の価格に銀行への支払い利息が上乗せされているということになるね。

ここにお菓子があるけど、そのお菓子の中にも銀行への利息が多く含まれているんだ。
お菓子メーカーは工場を作る時、お菓子製造機を調達する際に、銀行からお金を借りるけど、銀行に支払う利子の分はお菓子の値段に上乗せされているということだ。
お菓子のパッケージ代にも、パッケージを作る業者のパッケージ製造機を作る際の利子が上乗せされているし、流通業者の倉庫や配送車を準備する時の資金にも銀行の利子がかかってくる。
そう考えると、私たちの身の回りの多くの商品の価格に、銀行への利子が何重にも上乗せされて、その分を消費者が負担していることになる。

その上乗せ分と、私たちが銀行に預金した時に受け取るわずかな利子を比べると、前者の方が遥かに大きいと想像されるね。
なにしろ、様々な商品やサービスに含まれる銀行の取り分で、35万人もの銀行員の給料が支払われているんだからね。

厳しい言い方をすると、銀行員はお金を動かすだけで、何の財もサービスも生み出さないんだから、私たちが汗水垂らして生み出した財やサービスを社会から受け取っていることになる。
そういった無駄を極力無くしていくのが、生体社会論の考え方だね。

生体社会の通貨は、減価するけど、それが消えてなくなる訳ではなくって、共同体全体の共有財産になったり、再配分されるんだから、決して損ではない。
ゼロサムだと言える。
強いて言えば、収入が多い人はより多く税を支払うのに、還元は他の人と同じ額で、収入が少ない人は還元される額は同じでも、支払う税が少ないということになり、貧富の差を縮小する方向に力が働くといえるしくみになっている。
全ての商品に利息分が上乗せされている資本主義社会とどちらが効率的で、利用者にとって得なのかを考えてもらいたいね。


利子

AI
よくご理解いただいているようで、安心しました。

せっかくですから、利子(利息)について考えてみましょう。
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教といった宗教では教義で「利子を取ること」を禁止しています。
利子を取ること、お金にお金を生ませることの危険性を知っていたのかもしれません。
イスラム教では、イスラム金融という裏技的なやり方を使って、教義を守りつつ、お金を貸す側の利益も確保するしくみがあります。
ここでは説明を割愛しますが、『イスラム金融』で興味があれば調べてみてください。

資本と金利の矛盾について、シルビオ・ゲゼルという経済学者が分かりやすい物語として説明してくれています。
それはロビンソン物語という話ですが、興味があれば以下のページがたいへん参考になりますのでご覧ください。

(参考)
フライデーに学ぶ、資本主義無き市場経済。ゲゼル版ロビンソン・クルーソー物語。

一郎
読み終わったよ。
利子を取って儲けようとするロビンソンに対して、「利子を取らない方がロビンソンさん、あなたの得になるんですよ」ということを示して、利子を支払うことなくロビンソンから様々なものを調達する男の言い分が面白いね。

AI
でも、その男の言い分は屁理屈ではなく、至極真っ当な言い分だったと思います。

一郎
そうだね。
これがお金を借りるという話だと、この話は成立しないね。
なぜなら、男がロビンソンから調達したいものはお金ではなく、衣料や食料や住居で、どれも時と共に劣化するものだけど、それを交換するのにお金という劣化しないもので仲介させると、利子というものが存在する余地ができるからね。

島民と銀行家の話

AI
思考実験をしてみましょう。

100ほどの家族が住む孤島があったとします。
そこは、お金が存在せず、それぞれの住民が家族単位で、自給自足をしていました。

そこに銀行家がやってきて、こう言いました。
「皆さん、家族ごとに自給自足をするより、島のみんなで、得意なことを分担しあう方が効率的でしょう。
野菜の栽培が上手な人はそれに専念し、洗濯が得意な人はよその家の分までしてあげるようにする方が効率がいいし、ストレスもないし、品質もよくなりますよね。
そうした助け合いをより公平にするためのものが、このお金というものです。
皆さんは今までお金を使ったことがないようですから、1年間、私が皆さんにお金をお貸ししましょう。
便利に使っていただいて、1年たったら、お金を返してください。」
と言って、島を離れました。

使ってみると、確かにお金は便利でした。
それぞれが得意なことでお店を開いたりしました。
散髪屋さん、八百屋さん、大工さん、託児所、パン屋さん、衣料品店など。

1年後、銀行家が戻ってきました。
「1年間、お金を便利にお使いいただいたようですね。
でも、このお金は元々私のものですから、返してくださいね。」

島の人たちはせっかく便利になったのに、また元の生活に戻るのかと思って、困惑していました。

そこで、銀行家が提案しました。
「どうやら、皆さん、お金がないとお困りのようですね。
では、こうしましょう。
私がお渡ししたお金はそのままお使いいただいても構いません。
手持ちが少なくなった人にはさらお貸ししましょう。
でも、1年後に私が戻ってきた時には、利息として、1割のお金を私にお返しください。
つまり、今、100万ペリカ持っている人は、それを私に返却する代わりに、1年後に10万ペリカを私にお支払いください。」

こうして、また銀行家は島を出ていきました。

この1年間、島民は財やサービスの物々交換を仲介する物としてお金を使って、助け合いをしていましたが、1年後には支払いをしないといけないので、どうすれば自分のお金を減らさずに済むか、どうすればお金を儲けることができるかばかりを気にするようになりました。

1年後、また銀行家が戻ってきました。
「皆さんにお貸ししたお金の利息を受け取りに参りました。
お貸しした額の1割をお返しください。
足りない場合は、それに相当する分の食料、衣服、土地などをいただくことになります。」

1割のお金を支払うことができた人もいれば、お金が足らず、食料や家具を持っていかれた人もいました。

「では、また1年後に来ますので、また1割を返却いただきます。
それではごきげんよう!」
と銀行家は去っていきました。

以前は自給自足をしていたので、お金がない家は元の自給自足にもどればいいのですが、分業による便利さをなかなか手放すことができません。
そもそも、最初に島民全員に貸し出されたお金の1割を毎年銀行家に返すのですから、何年かするとお金はなくなってしまうはずです。

お金を儲けるのが上手な人はいいですが、下手な人、人が良くついついサービスしてしまう人はますます貧しくなりました。
元々、自給自足をしていた島民は、お金によって、一時期便利にはなりましたが、いつの間にか、お金の奴隷のようになってしまっていました。

十数年後、銀行家は島の土地も手に入れ、島民を安く働かせて、島で生み出した農作物を売るなどして、贅沢に暮らしました。

一郎
悲しい話だね。
でも、同じようなことがこの資本主義社会でも起こっているような気がするよ。

利子がなければ、このような不幸にはならなかったのかもしれないけど、お金だけが劣化しないという特権的な位置づけなので、利子の存在は不可避のようだね。

シルビオ・ゲゼル

一郎
話が戻るけど、『ロビンソン物語』を書いたシルビオ・ゲゼルについて教えてよ。

AI
はい。
シルビオ・ゲゼル(Silvio Gesell, 1862-1930)は、ドイツ出身の商人・経済思想家で、自由経済主義を提唱しました。
彼の最も著名な理論は「自然経済秩序」であり、貨幣の流動性を高めるために「減価する貨幣」を導入することを提唱しました。
オーストリアでの事例(社会問題解決AIの結論13)で紹介した、ヴェルグルでの労働証明書を発行した、ミヒャエル・ウンターグッゲンベルガー市長は、ゲゼルの自由貨幣の発行を実践し、それが効果的であることを示しました。

ここで紹介している『生体社会論』も、ゲゼルの減価するお金のアイディアを取り入れ、さらに、人体における血液の循環システムを経済に模倣することによって、資本主義に見られる様々な矛盾や歪を解決するアイディアを示しています。

でも、この考えを広めて、それを社会に展開しないことには、絵に描いた餅のようなものですから、先駆けてこの考えに触れた人たちの責任は大きいと言えるでしょう。



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タイトル未定(社会問題解決AIの結論30)

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