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金持ちの言い分(社会問題解決AIの結論20)

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税金を多く支払っているという勘違い

一郎
生体社会論に対する批判もあるみたいだね。

AI
当然あるでしょう。

一郎
今日は大成功者の川原成美(しげみ)会長と対談してほしいんだ。
川原会長は俺はゼロから始めて全国に数十店舗の飲食店を経営するだけでなく、海外にも200店舗以上を展開している優れた経営者なんだよ。
生体社会での貯蓄高に制限がある点についていろいろ話をしたいみたいだよ。

AI
承知いたしました。

川原
川原です。
上限額に関しては俺の方も多少誤解があったようだ。
高額ポイント所有者の上位1%かもっと少ないぐらいの人だけが対象となるぐらい高い値を想定しているということで、それは賢明な判断だと思うよ。

AI
資本主義社会では極めて少数の大金持ちが、世界の大部分の富を握っているという極端な格差がありますから、その極めて少数の大金持ちが普通の金持ちになるだけで、かなりの経済効果があると思われます。
実際に、どのぐらいの値を設定するかは、実証実験や運用開始後の状況を見ながら決めていくことになる予定です。

川原
でも、上限があると、有能な人のモチベーションが下がることにならないか?
社会の発展は、大衆が担っているというより、少数の有能な人によるイノベーションの影響が大きいと思うけど。
発明家とか、科学者とか。

AI
後半の主張には同意しますが、上限があるとモチベーションが下がるとは思いません。
むしろ、有能な人がお金を増やすためにする努力から解放され、才能を発揮させる時間を増やす効果があると予想します。

川原
なるほど。
お金にあくせくしなくなる分、研究に没頭できたり、有意義な活動に時間を割けるということか。

俺は同時に資本主義にもがっかりしているんだ。
一生懸命働いても、税金でガッツリ持っていかれるんだぜ。
で、その税金の使い道ったら、デタラメ過ぎて腹が立つよ。
ポンコツ過ぎる政治家が多すぎるよ。

俺はいくつもの店を経営して、多くの従業員も雇っていて、失業者を少なくすることにも貢献している。
だから、サラリーマンの平均年収の10倍以上の収入を得ているんだ。
もちろん、税金もたっぷり支払ってる。
上手に法律ギリギリで節税しているヤツもいるけど、俺はそうしないと決めてるんだ。
俺の社会貢献度から言うなら、受け取っている報酬は少ないぐらいだよ。

AI
お気持ちはお察しします。
あなたは「自分の収入は適切だ。いや、社会貢献度を考えればもっと高くても良い」とお考えのようですね。

川原
そうだよ。

AI
それは間違いです。
多くの成功者が勘違いしているので無理はありません。
あなたが思っているほど、あなたは社会貢献していません。

川原
なんだって!

AI
まず、あなたは多くの人を雇って、失業者を減らしているとおっしゃいました。

川原
だって、そうだろう?

AI
あなたの飲食店にお勤めのアルバイトの方は、何の仕事もしていなかった人ですか?
あなたが全国各地に飲食店を展開するにあたって、その地域の飲食店は1軒もつぶれませんでしたか?
周囲の飲食店に勤めている人への影響は全くありませんでしたか?

アルバイトの方の多くは、実は近くの飲食店でアルバイトをしていたけど、あなたのお店の影響で売上が下がったり、倒産したりして、仕事がなくなったから、あなたのお店に応募してきたのではありませんか?

川原
た、確かにその通りかもしれない。
そう考えると、俺が新しい雇用を生み出したんじゃなくて、雇用を横にスライドさせただけかもしれない。

AI
察しが早いですね。
多くの経営者は、自分の店舗が雇う人だけを見て、多くの雇用を生み出していると考えがちです。
しかし、それは周囲の雇用を奪ってきているに過ぎないのです。
差し引きすれば少しは雇用を生み出しているかもしれませんが、100人雇用すれば職がなかった100人が雇用されたと考えるのは間違いです。

川原
ということは、俺は高額な納税をしていると思ってたのも違ってたということだな。
俺の店の売上が伸びれば伸びるほど、周辺地域の他の飲食店の売りげが下がっているということで、そういった店からの納税額が減った分を俺が納めたと考えたら、これも俺が思っていたほどは貢献していないということになるな。

AI
その通りです。
税に関しても同様です。
1億円の納税をしても、その分周囲の飲食店の売上が下がり、そこからの税収が減っていると考えられるのですから、あなたが純粋に1億円の税収を生み出したと考えるのは間違いです。

つまり、『雇う人が変わっただけ』、『税を支払う人が変わっただけ』ということです。
顧客が周囲の店より、あなたの店を選ぶということは、それだけあなたの店が素晴らしいということですから、あなたは多大な社会貢献をしているということは否定しません。
しかし、それは周囲のものを奪ってきているという側面も忘れてはいけません。
シェアの奪い合いの無駄に関しては既にお話しました。

あなたが不当に、仕入れ業者に負担を負わせているとか、従業員に過酷な労働をさせているとか、食材の産地を偽装しているとかでなく、正直に商売した結果がそうであるなら、あなたは充分に社会に貢献的な人だと言えます。


優秀な人材が参加しないという誤解

川原
なるほど。
俺は納得したけど、俺の友だちは納得しないかもしれないな。

AI
共同体に参加するもしないも自由です。
納得いただければ参加すればいいし、納得できなければ参加しなくていいのですから。

川原
以前に、『日本全体が生体社会論に基づく経済体制になったら』という話の中で、資本主義下のしくみで金儲けが上手な人にとっては損になるという主張があったね。
たしか、生体社会では社会に対する貢献と社会からの受益とがバランスが取れている社会だから、資本主義下で効率よくお金を稼いでいる人にとっては損という話だったね。
それだと優秀な人材が入ってこないんじゃないかな?

AI
入ってこないと予想されるのは『優秀な人材』ではなく、『資本主義下でお金儲けが上手な人』です。
別に、そんな人は入って来なくても困ることはありません。
貢献度が高い人が共同体から抜けるのは痛いですが、お金儲けが上手なだけの人、言い換えれば、貢献度に比べてより多くのポイントを受け取る人が共同体から抜けるのはむしろありがたいことだとも言えます。

それに、優秀な人こそ、共同体に向いています。
ある部門の研究者が研究に専念したいと思っても、生活のためにお金を稼がなければなりませんが、共同体では質素な生活であれば保障されているので思う存分没頭することができます。
多様な生き方が保障される社会だと言えます。

川原
ベーシックインカムのおかげで、多様な生き方が保障されるということだね。


貯蓄額の上限があるのは不幸なことなのか

AI
収入が増えれば増えるほど幸福度も増えるわけではないという話を紹介しましょう。
一定額までは収入が増えれば増えるほど幸福度が増すことは分かっています。
しかし、その額のあたりで幸福度は頭打ちになり、それを大きく上回る額ではむしろ幸福度が減る場合もあるとの調査結果があります。
これは、2010年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授らによるもので、45万件にのぼる調査データを分析して出した数値です。

そして、その頭打ちになる額とは当時の米ドルを日本円に換算した額で630万円でした。

川原
思っていたよりもずっと低いね。
俺だともっと高額になりそうだけど。

AI
もちろん個人差もありますし、国による違いもあるので、日本だとまた別の結果が出ると考えられます。
しかし、ここで言いたいのは、お金があればあるほど幸福になるわけではないということです。
加えて、その頭打ちの額はびっくりするほど高額ではないということです。

川原
宝くじの高額当選者を追跡調査をした結果、ほぼ全員が当選時の生活状況よりも悪くなっていたということを聞いたことがあるよ。
『人はその器以上のお金を貯めておくことはできない』みたいな話も聞いたことがあるけど、俺も「そうかもな」と思うよ。

AI
真偽は不明ですが、そのような報告は多く見られるようです。

川原
でも、幸福度にも上限があるようで、それはそれで悲しい気もするね。

AI
いいえ。
お金の貯蓄額に上限があることと、幸福度に上限があることは結びつきません
幸福度には上限がなく、一定額のお金を手にしたら、そこからはお金をより稼ぐ方向の努力をするのではなく、幸福になる力をより大きくする方向の努力をするべきです。

川原
なるほど。
お金がいくらあっても、「まだ足りない、もっと欲しい」と言っている人は、本当はお金が足りないんじゃなくて、幸福になる力、幸福になるスキルが足りないんだね。

AI
そういうことです。

川原
で、どうしたら幸福になる力をつけることができるのかな?
『足るを知る』ってことかな?

AI
それも正解だと思います。
能動的な答えとしては、周囲の人々や社会に対して貢献すること、与えることこそが幸せになる秘訣だと考えます。

川原
上限を越えて、税として取られる、じゃなくて、納税させていただくことに寛容になるべきなんだね。

AI
まあ、それもいいですが、おそらく別の方法を取る人が増えると考えます。

川原
不正蓄財みたいな?

AI
そうする人もいるでしょう。一定数は。
でも、違います。


寄付の文化が定着する

AI
寄付の文化が発達すると予想します。
「このままだと今月末には数100万ポイントが上限を超えるので、税として持っていかれるな」となれば、「じゃあ、共同体内企業の○○に寄付しよう」というように、税の使い道を自分で決められます。
応援したい人や企業を応援できるのです。

川原
なるほど。
AIは先の先まで読んでるんだな。
脱帽だよ。



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反論に対する反駁1(社会問題解決AIの結論21)

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