Nintendo Switchの新型を予想しよう!(2019年5月)

2017年3月に発売されてから2年程度で3474万台を販売しており、2019年になっても勢いの衰えることがないNintendo Switch。ところが2018年末から2019年にかけてWSJやEurogamer、DigiTimes(台湾)などあらゆるメディアで新型が発売されるという報道が頻繁に行われている。公式の情報が一切ないとはいえ、ここまで報道されると何かしらのアクションはありそうなので勝手に妄想してみよう。予想は公式の発表前にしかできない楽しみの一つだ。

任天堂も携帯ゲーム機においてはGB、GBA、DS、3DSの全てで数多くのモデルチェンジを販売してきた。一方で、据置ゲーム機においては日本未発売のWii miniを除きモデルチェンジなし。果たしてNintendo Switchは一体どのようなモデルチェンジを遂げるのだろうか。

現在Nintendo Switchのモデルチェンジには「携帯ゲーム機(廉価版)需要」と「スペックアップ需要」の主に二つの予想がある。報道の中には二つのモデルを同時に展開するという予想もあるが、まずはそれぞれ分けて予想していこう。

1:携帯ゲーム機(廉価版)需要

「ヒット作を出す」以外の方法でゲーム機を普及させるには値下げか廉価版の発売が最も効果的な方法だ。任天堂は携帯ゲーム機では負けなしであり、Nintendo Switchを普及させたいのであれば一番手堅いのが携帯ゲーム機に特化させたモデルを出すことだろう。

1-1:ドックだけを別売りにした廉価版

一番つまらない予想かつ現実的な予想。Nintendo Switchは専用のドックを使ってテレビに接続できるが、ただ単にテレビ接続用パーツを別売りにするという予想。ドック(ACアダプタやHDMIを含む)は単品で1万円するので、これを別売りにすれば1万円近い値下げも可能。ただし面白味がない。
既にスイッチを1台は持っているというゲーマー家庭も増えていて、ポケモンやどうぶつの森など携帯機需要の強いゲーム向けに2台目需要が大きい。

1-2:ドックをなくしてJoy-Conを一体化させた廉価版

携帯ゲーム機特化としては1とほぼ一緒だが、Nintendo Switchの特徴であるJoy-Conを本体に同化させたモデル。Joy-Conはマルチプレイや豊富なセンサーなど多機能性を誇る代わりにお値段も左右セットで7980円と高めなので、Joy-Conを本体に一体化させてHD振動などの機能を削除するという予想。
本当にこの予想通りになるとただのまっとうな携帯ゲーム機になってしまうが、これを実行すれば定価が2万円を下回るのも非現実的ではない。かつて3DSでさえ発売から2年後には目玉機能の立体視を削除したモデル(2DS)が発売される事態に陥っているので、SwitchでもJoy-ConやHD振動が削除される可能性もなくはない。

2:スペックアップ需要

ゲーム機はゲーム会社がいかに面白いゲームソフトを作れるかにかかっているが、任天堂のゲーム機は任天堂がいちばん面白いゲームを作れるのでなんとかなっている。Switchはインディーや中小規模のゲームがにぎわっているが、依然として大手による大作ゲームは参入しづらい状況だ。Switchのスペックが上がれば大作の参入の障壁も少しは下がるかもしれない。

とはいえ、3DSのスペックアップ機であるNewニンテンドー3DSは専用ソフトが「ゼノブレイド」とSFCのバーチャルコンソールしかリリースされず、ロード時間の短縮はあれど性能不足への根本的な解決にはならなかった。加えて、PS4ProやXboxOneXなどの据置ゲーム機のスペックアップモデルも解像度の向上やロード時間の短縮のみで専用ソフトはリリースされていない。性能アップによるソフトの誘致をしたいのであればフルモデルチェンジの方が適切だろう。

2-1:Switchのブーストモードをサードに解禁

かつてPSPの初期モデルは意図的にクロック数が下げられていて、しばらくしてからクロック数が引き上げられた上にPSPの2代目モデルではメモリが増量された(2013年発売のゴッドイーター2は1代目モデル以降のみマルチプレイ非対応だった)。
Switchでは任天堂のゼルダBotWとマリオオデッセイのみブーストモードに対応していたが、Mortal Kombat 11(日本発売未定)ではサードが初めてブーストモードに対応予定と判明。さらに2019年4月のアップデートでゼルダBotWがロード時間のみクロックアップしていたという報告があがった。ロード時間と解像度のみ改善されるというのは、一見地味ながら嬉しい効果である。バッテリーの持ち時間が短くなるのが玉に瑕だが、どうせみんなモバイルバッテリーを持ってるか家の中での使用が多いのではないか。
発売から2年目でスペックアップ機を発売するよりは現実的な選択だが、当然ながら大幅な性能の向上は見込めない。

2-2:Tegra X2を採用した新型モデル

Nintendo SwitchはNVIDIAが開発したSoC(チップ)「Tegra X1」を搭載している。しかし、発売前は「Tegra X1の性能はゲーム機としては貧弱なのでTegra X2を採用するのではないか」という予測が多かった。Tegra X2はTegra X1と消費電力がほぼ同じで1.5倍の性能らしいので、仮としてスイッチのスペックを1.5倍にした数値を用意してみた。携帯モードは据置モードの40%。

Nintendo Switch(現行機およびTegra X1)
携帯モード:0.157 TFLOPS
据置モード:0.393 TFLOPS

Nintendo Switch (Tegra X2版の推測)
携帯モード:0.236 TFLOPS
据置モード:0.590 TFLOPS

XboxOne:1.3 TFLOPS
PS4:1.84 TFLOPS

しかし、これでもあまり大幅なスペック向上とはいえない。メモリの増量なども加えればもう少し向上するかもしれないが、それでも据置モードでXboxOneの45%程度の性能だ。発売から2年目でこのスペックアップなら最初からTegra X2搭載してくれよと正直思うし、この程度ならTegra X1のクロックアップやブーストモードの解禁でいいのでは。言っておくとこれはただの予想記事だから憤っても得られるものはないぞ。

※余談
Tegraシリーズは元々はスマートフォン向けに作られたSoCだったが、スマホではほとんど採用されなかったのでNintendo Switchが出るまでは車載コンピュータや開発用ガジェットとして利用されてきた。そのため、既存のスマートフォンとSwitchの性能を比較したり予想することが難しい。

2-3:Tegra Xavierを採用した新型モデル

Tegra Xavierはまだ車や医療以外の採用例が見当たらない高級SoC。最大でおおよそ1.5TFLOPS(FP32)が出るいう推測があり、本当であればXboxOneとPS4の中間ぐらいのスペックになる。Switchに採用されるともう少しスペックは下がりそうだが、それでも携帯機としては十分な性能が得られるだろう。

問題点としては、完全にBtoB用途が中心なのでモバイル用途向けの価格がユーザーから検討が付かないことだ。2018年に発売されたiPad ProはXboxOneS(1.4TFLOPS)と同程度の性能と自称しているものの価格は最低でも12万円超えであり、新型Switchは任天堂の客層を考えてもせめて3万円であってほしい。Xavier採用モデルは2019年にリリースされることはないだろうが、2021年ぐらいならあり得るかも。

ちなみに、Tegraの開発元であるNVIDIAは独自のゲーム機「SHIELD」シリーズを発売していて、2017年に発売されたSHIELD TVもTegra X1なので「SHIELDとSwitchは腹違いの兄弟」と言われるほど構成が似ている。先月にはなんとTegra Xavierが搭載されたSHIELDが開発されているという報道が出てきた。今度NVIDIAが新型SHIELDを発表したらSwitchの新型も近いと考えてよいだろう。

言いたいことは色々あるけれど

Nintendo Switchは売上も好調だし筆者も好きではあるけれど、ライバルのゲーム機たちは2020年には世代交代で性能を大きく引き離してしまうし、ライバルのスマートフォンたちも性能の進化が目覚ましい。そのため、筆者はNintendo Switchは互換性を維持した上で早めに代替わりすると考えている。その時に目玉になるのは任天堂の期待作はもちろん、VRやARといった要素も搭載するかもしれない。いずれにせよ我々が注目すべきは任天堂とNVIDIAの公式の情報であり、E3の時期もそう遠くないので焦らずに待つことが肝要だ。

また、SwitchにしろPS4にしろ新型の噂があるからといって買い控えをするのは非常にもったいないことで、今プレイしたいゲームはプレイ意欲のある今のうちにさっさと買ってさっさとプレイしてしまおう。自分の想像や憶測のせいで素晴らしい体験の機会を逃してしまうのは非常にもったいないことだから。

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