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FP1級実技|Part I の傾向と対策(2024年9月受検用)

今回は、2024年6月試験のPart Iの出題内容を振り返りつつ、2024年9月試験に向けての対策ポイントを明らかにします。

2024年6月 Part Iの注目点

◯ ここ1年以内に出題された論点が再び問われた

【2024/6/9 Part I】では、前回2/8 に出題されたマンションの評価法が再び出題されるサプライズがありました。

まさか同じ論点が連続して出題されることはないだろうと、2月試験の設例の学習を軽く流していた方もいたはずです。

▶︎試験当日、伏線回収PDF版を見直した方はラッキーでした。※20ページ(10)タワマン節税


【2024/6/9 Part I】はこの他にも、生前贈与のR5税制改正事項や新NISA(いずれも2023/6/10 に出題)など、ここ1年以内で出題された論点が目白押しでした。

【2024/6/8 Part I】も、設例自体が前々回2023/9/24 Part Iを明らかに下敷きにしたものと思われ、メイン論点は同じく相続発生後の事業承継税制の適用でした。

また、区分所有登記されている場合の小規模宅地等の特例の論点も、前回2024/2/11 Part IIに続く出題でした。

1〜2年以内の既出論点の再出題や、その関連論点の出題が目につく傾向は、すでにこのnoteで以前から指摘していました。

◯ 直近の改正事項は頻出

なぜ直近1〜2年以内の既出論点が再び狙われたのでしょうか?

それは2023〜24年に、相続や土地・建物に関する重要な法制度の改正があったことと無縁ではありません。

前述のマンション評価法や生前贈与(暦年課税と相続時時精算課税)の改正に加えて、【2024/6/16 Part I】では、前回2/18出題の「相続登記の義務化」(2024/4/1施行)の関連論点である「相続土地国庫帰属制度」(2024/4/27施行)が問われました。

いずれも所有者不明土地の発生を予防するための一連の民事法制上の措置に関する論点です。

▶︎FP1級学科基礎編の出題論点は実技面接の「先行指標」。当noteはそこに着目し、上記2論点の出題警戒警報を発出していました。

◯ 出題委員の最大関心領域とは?

出題委員の先生方は税理士などの実務家である可能性が高いと思われます。

当然、業務に係る直近の改正事項(税制に限らない)には大きな関心をお持ちのはずです。

最近の面接体験記を見ると、頻出の税制特例(空き家の3,000万円特別控除、住宅取得等資金の贈与の非課税、教育資金及び結婚・子育て資金の一括贈与の非課税など)についても、直近の税制改正内容が必ずと言っていいほど質問されていることがわかります。

税制特例の概要にとどまらず、改正事項の詳細に至るまで、よく把握しておく必要があります。

【対策ポイント】鮮度の高い設例を入念に学習する

以下、2024年9月試験のPart Iに向けての対策ポイントを示します。

  • 特に、ここ1年以内の鮮度の高い設例(TACの実技面接対策問題集がカバーしていない2023年6月、2023年9月、2024年2月、2024年6月の各設例)を重点的に学習する。

  • 令和5年度・6年度の税制改正事項の詳細をしっかりと押さえる。

  • 2023年6月以降は全く出題されていない医療法人については引き続き警戒が必要。(今回【2024年6月15日 Part I】で医療法人ではない動物病院が出た)

  • 法人版事業承継税制(特例)の適用要件(複数の後継者への承継など、細部の要件にも目を行き届かせる)、 社内承継(配当還元価額)とM&A金庫株、個人版事業承継税制の適用要件などを整理しておく。

年1回刊行の対策書籍を補完する必要性

FP1級実技面接試験は年3回実施されます。

一方で、TACの実技試験対策問題集などの書籍は年1回の刊行にとどまります。

受験者数が限られるFP1級実技面接分野においては、対策書籍が傾向変化に合わせて年に3度も改訂を行うことは、採算上ほぼ不可能と思われます。

しかしながら、あたかもその弱点を突くような形で、直近1年以内の論点リピートが続いているのが最近の傾向と言えます。

最新の出題論点が反映されない書籍の弱点は、常に最新の傾向をキャッチし続ける当noteの記事群を有効活用することにより補完できます。

【2024年6月試験 合格者の方々の声】

2024年6月 Part Iの出題論点まとめ

【2024年6月8日 Part I】

◆ 前回、前々回出題の論点が中心。

  • 相続発生後の事業承継税制(特例)の適用
    →前々回2023/9/24 Part Iで出題(設例内容がよく似ている)

  • 経営に参画しない二男の相続財産(金融資産をいかに捻出するか)

  • 区分所有登記されている場合の小規模宅地等の特例(二世帯住宅における特定居住用宅地等の要件)
    → 前回2024/2/11 Part IIで出題

【2024年6月9日 Part I】

◆ 前回に続きマンション評価法。R5税制改正事項、頻出の住宅取得等資金及び教育資金の贈与の非課税など、対処しやすい論点群。

  • 不動産投資が相続税軽減になる理由

  • マンション評価法の改正
    → 直近2024/1/1改正施行、前回2024/2/10 PartⅠで出題

  • 生前贈与についての令和5年度税制改正事項と新NISA
    2023/6/10 PartⅠで出題

  • 住宅取得等資金の贈与の非課税
    → 毎回頻出の税制特例

  • 教育資金の一括贈与の非課税
    → 毎回頻出の税制特例

  • 一時払終身保険を活用した相続対策

【2024年6月15日 Part I】

◆ 法人化と個人版事業承継税制(3年前に出題)。難問のPart II挽回のためにも、定番論点は確実に答える必要。

  • 個人事業(動物病院)を法人化した場合のメリット・デメリット

  • 個人版事業承継税制の適用と申告後5年以降の現物出資による会社設立の場合の納税猶予の継続
    → 2021/10/9 PartⅠで出題

  • 月極駐車場用地にテナントビルを建築する場合の名義(個人か法人か)

  • 住宅取得等資金の贈与の非課税
    → 毎回頻出の税制特例

  • X社株式を非同族株主から同族株主へ譲渡する場合の譲渡価額と課税関係
    当note記事

【2024年6月16日 Part I】

◆ 前回の「相続登記の義務化」に続き「相続土地国庫帰属制度」。結婚・子育ての贈与の非課税特例は要件に落とし穴あり。

  • 前妻の子の遺留分とその相続財産をなるべく少なくする方法

  • 「相続土地国庫帰属制度」とは?
    →前回2024/6/18 PartⅠで関連論点の「相続登記の義務化」が出題された

  • 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税(受贈者50歳以上は不適用)

  • 住宅取得等資金の贈与の非課税
    →頻出の税制特例

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