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韓国ドラマ「私の解放日誌」

キム・ジウォン主演ということで前から気になっていた「私の解放日誌」。
満を持して完走しましたので感想を綴ります。

あらすじ

京畿道の田舎町に暮らす3兄弟。
誰かを愛し愛されたい長女ヨム・ギジョン(イ・エル)、
お金や地位が欲しい長男ヨム・チャンヒ(イ・ミンギ)、
人生で一度も満たされたことがない末っ子ヨム・ミジョン(キム・ジウォン)。

性格の全く異なる3人ですが、それぞれ日々の生活を窮屈に感じ、変化を求めています。

物語を通して、この3人がそれぞれ「解放」されていく様を丁寧に、静かに描いた作品です。

ポイント6つ、いってみましょう!(多い)

閉塞感すごい

もうとにかく始まりから暗い。
映像もなんか暗いし、何より主要な登場人物全員が憂鬱そうで暗い。

3人とも口を開けば、家が遠くて疲れる、毎日の仕事がうんざり、楽しいことがない、人間関係も労働のよう…

・・・暗すぎるやろ!!!

三者三様に鬱屈していて、ずっと顔が死んでます。
この3兄弟だけではなく、両親もまあまあキツい。

母親は常に農作業と家事に追われて不機嫌。
常時しかめっ面して、子どもたちが帰ってくると必ず何か小言を言います。
もうちょっと楽しそうに暮らされへんもんかね?

父親は寡黙すぎてほぼセリフなし。
何考えてるんかさっぱりわからん。
力仕事を永遠として、妻がつくった食事を黙って食べる。

家族の食事シーンがけっこう登場しますが、
基本だーれも発言せずもくもくと食べるだけ。
何これ、お通夜?

チャンヒが何かしゃべろうとすると、母親は父親の顔色ばっかり窺うし、父親は「黙って食べろ」とか言うし。
なんでなん?怖すぎるでこの家族。

とにかく家族全員が暗い!

ミジョンという主人公

3兄弟それぞれの解放の過程が描かれるドラマですが、主人公は末っ子のミジョンです。

内向的かつ無口な性格で、これまで一度も満たされたことがない。
このミジョンが、職場でも家でも、ほんっまに思ってることを言わないんです。
暗いヨム一家の中でも特に暗い。
何を聞かれても、ちょっと微笑んで終わり、とか、ちょっと視線を向けて終わり、とかのシーンが多すぎて、
ちょちょちょ何か言うて?となります。

リアルでこんなやつおったらイライラしすぎて死にそう。
毎日がしんどいのは分かりますが、反応悪すぎるて…

このミジョンが、徐々にどういう考え方の持ち主なのか、
どういう風に解放されていくのか、
それがこのドラマの主軸になっています。

解放クラブの結成

タイトルにもなっている「解放日誌」は、ミジョンが会社で同好会「解放クラブ」を始めて書き出したのがきっかけ。

どの同好会にも入りたくない3人が集まって、何かしらからの「解放」を目指すクラブです。

ミジョンはおそらく「人間から」「退屈な日常から」の解放、
みたいな感じなんですが、

具体的に何からの解放なのか、手段やゴールは何なのか、
ドラマタイトルのわりに解放日誌の存在意義がいまいち明言されへんのが、ちょっともやもやを残します。
はっきりせい(でもそれが味といえば味)

ク氏の登場

ミジョンに大きな変化をもたらすのが、ある日から隣の家に住み、父親の力仕事を手伝うようになった謎の男、ク。

仕事が終わると毎日焼酎を飲み続けていて、誰がどうみてもアル中です。

どこから来たのか、なんでここにいるのか、何の仕事をしていたのか、何も情報がないほんまに謎すぎる男。

父親の仕事は黙々と丁寧に手伝っていますが、誰ともほとんど口を利かない。

この正体不明で無口なクに惹かれたミジョンは、
彼に対し「私をあがめて、満たしてほしい」と突然の謎発言をかまします。
この「あがめる」というセリフが物語全体のキーワード。

「愛ではだめ、あがめてほしい」らしいです。

そこから少しずつ、二人は会話を交わすようになり、なんとも不思議で、静かで、異様な恋人関係に発展していきます。

しかし、私の情緒が足らんのかもしれないんですが、なんで「愛してほしい」ではなく「あがめてほしい」のか最後までピンとこず。

「あがめる」という行為が具体的に何を指すのかも、最後まで明確にはわかりませんでした。
急に「私をあがめて」とか言われたら怖すぎる。

兄と姉の方がリアル

個人的にはミジョンが一番こじらせてて、兄と姉の解放の過程は割と理解できます。

兄のチャンヒは、長男として父親に頼りにされたい、出世したい、車が欲しい、ソウルに住みたい、という欲望に縛られている。

なんでそんな借金あるん?というところが描かれないのもこのドラマのクセ。

姉のギジョンはとにかくいい男に出会って愛されたい恋愛こじらせ系のアラフォー。

この姉がほんまギャーギャーうるさいねん…

兄も姉も、叫び出したいほど憂鬱な人生から、物語を通して解放されていきます。

セリフで勝負

ほぼ悪口みたいな感想を書いてきましたが、このドラマの見どころはセリフ!

大きな事件が起きない代わりに、平凡でどこまでもリアルな人間の内面を、丁寧に表現しようとしているのが伝わります。

事象そのものは深追いせず、それに伴う登場人物たちの感情、心境の変化に焦点を当てる。

でも兄が物語の中で何回か言った、
「世界人口の数だけ1ウォン効果を積み上げるとあの山の高さになるんだ」
からの、

物語終盤、
「僕は1ウォン硬貨ではなくで、山そのものだったんだ」…

ちょっと何言ってるかわからん(また悪口)


以上、グッときたようなきてないような、
不思議なドラマでした。

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