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[閉店店舗の記録]奇妙な経歴のダイエー赤羽北本通り店(~2016.2)

東京メトロ南北線の志茂駅から少し歩いたところに、GMS業態のダイエーが存在していました。


 それが「ダイエー北本通り店」です。読みは「きたもと/どおり」ではなく、「きた/ほんどおり」です。埼玉要素なし。

ダイエー北本通り店(1982.3~2016.2)
店舗番号0577


一見すると何の変哲もないダイエーのように見えますが、この店舗の特殊さは経歴にあり。開店当初の82年は「忠実屋」の「赤羽店」として開業し、途中から同社のディスカウント業態「DISPA」に転換されます。

 94年のダイエーによる忠実屋合併を迎えると、そのまま「ダイエー」に転換…と言いたいところですが、そのままディスカウント業態を引き継ぎ、ダイエーの「Dマート」に名称変更。


 ここで問題となってくるのが店舗名です。赤羽の街には、苛烈を極めた価格競争・通称"赤羽戦争"を勝ち抜いたダイエー「赤羽店」が既に存在していました。吸収された関係で新参者となった元・忠実屋赤羽店は、本家ダイエーに遠慮をする形で「Dマート北本通り店」を名乗ることになりました。


 しかし、当のDマートも業態再編の一貫で姿を消し、「ダイエー」に転換されることとなります。この段階で「ダイエー北本通り店」となりました。

階段の装飾はシンプルながら大胆なデザイン
これが忠実屋時代から付いている物かは不明だが年季は入ってそう。


 これで終われば良かったのですが、今度は忠実屋を吸収したダイエーが、イオンリテールの傘下入りすることが確定します。その後、一部のダイエーが「イオン」に名称変更することに。


 第一弾として選定された店舗は、碑文谷・新浦安・横須賀・南越谷など旗艦クラスの店舗が名前を連ねましたが、何と「赤羽北本通り店」も例外ではなく、2016年3月に店名はそのままにイオンに転換されました。

裏手にある駐輪場はなかなか質素ながらしっかりとした作り。
ここまでお金掛かってそうな駐輪場っていまはあまり見ないですね


しかし、「イオン赤羽北本通り店」として再スタートを切った同店も、2020年5月に老朽化によって休業。そのまま同じ場所に建て替えとなり、現在はその姿を見ることはできません。


 ただ、ここで終わらないのが同店の面白いところ。建て替え後の店舗の仮称は、業態を再度改めて「イオンスタイル赤羽北本通り」としておりましたが、蓋を開けてみれば開店した店舗は「イオンスタイル赤羽」。またしても名称が無冠の赤羽に戻されたのです。


 確かに、ダイエーの業態であれば赤羽に二店舗存在(現在は両者ともに閉店し、新規で赤羽スズラン通り店が開店)していたため、名称被りが問題になるものの、イオンであればその心配はありません。よりシンプルな物が選択されたと見て良いでしょう。


 故に、この店舗は

・建て替え1回
・業態変更5回
・名称変更は仮称含めて6回


 …という、なかなかお目に掛かれない奇妙な経歴を持っていることになります。話に付いて来られましたか。


 写真の訪問はイオン転換直前の2015年に来店。閉店が発表されている店舗であれば、内装などもガツガツ撮ってきたのですが、この段階ではあくまで「転換」だったので、あまり堂々と記録できなかったのが悔やまれます。

 イオンスタイル建て替え後には訪問できていないものの、ダイエー時代から入居していたドムドムハンバーガー(旧・ダイエー傘下)などは、新しい建物でも引き続き営業しているようです。


 発祥は忠実屋、テナントからは仄かにダイエー系の香り、屋号はイオンスタイルとなかなか面白い状態になっているようなので、近いうちに見に行きたいものですね。それでは。



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