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作戦は「いのちだいじに ガンガンいこうぜ」 〜充実した人生のために精神科医が考えるHP・MP論〜


「社会人になってから生きるのがしんどくなった」
 これは新卒の頃にそう思った精神科医が、同じ思いをしている方のために書き始めたnoteです。

 現代社会は公私共にストレスのもとがいっぱいで、ただ生きていくのも大変なことです。世の中が生きやすい社会にどんどん変わっていけばいいのですが、残念ながらその望みは薄いと言わざるを得ません。これからもこの世界で生きていかなきゃならないのなら、生きるのを楽にする武器や防具、呪文や特技を使いこなせるようになるといいのかなと思います。

 このnoteを通じてご自身について理解することで少しでも生きやすくなるお手伝いができるといいなと祈っています。




「お風呂キャンセル界隈」という疲れた人々の"真実"


 先日、X(以下、Twitter)にて「お風呂キャンセル界隈」が話題になりました。
 一日の終わりに疲れ果ててお風呂に入れない人たちのことです。

 現代人の一日は疲れる。
「いやいやお風呂は癒しじゃないか」と別界隈に属する人たちからは疑問の声が上がりました。確かにその主張には一理ある。だけれども、同じくお風呂キャンセル界隈にいるわたしも「そうなんだけど、そうじゃないんだ!!」と主張させていただきたい。

 決してお風呂に入りたくないわけではなくて、日中のあれこれに疲れすぎて、夜、お風呂に入るための体力と気力が残っていないのです。
「お風呂は癒し界隈」からしたら信じられないだろうけど、悲しいかな、これ以上の理由はありません。
 そりゃあお風呂に入った方が気持ちいい。さっぱりして、熟睡もできる。
 だけど、シンプルに「入浴するためのエネルギー」が残っていないのです。

 入浴だけではありません、社会人になってから以前のようにできなくなったことはたくさんあります。
 読書なんかもそのうちの一つでした。

「働いているとどうして本が読めなくなるのか」(三宅香帆)という新書が売れまくっていることを考えると、「学生時代にできていたことができなくなった」というのは誰しもが大なり小なり実感しているところなのだろうと思います。


外科医と精神科医 (HPを消費する仕事、MPを消費する仕事)


 申し遅れましたが、わたしは東京のどこかで働いている社会人歴十数年の精神科医です。最近でこそようやくペースを掴めてきたけれど、社会人なりたての頃は本当に悲惨でした。
 その悲惨な研修医時代の少し前、大学6年生のとき、実習で精神科の病院へ行ったことがあります。そのとき、精神科医の先輩に言われたことは妙に頭に残りました。

「精神科はHPは減らないけど、MPが減る仕事だからね」

 そのときはピンと来なかったのですが、精神科医になってから思い返すとこれほどしっくり来る言葉もありません。マジで真理。

 ロールプレイングゲームをしたことのない方のために簡単に説明すると、HPはヒットポイントの略で、簡単に言えば体力のこと。HPが0になるとゲームオーバー(≒死)となります。MPはマジックポイントの略で、簡単に言えば気力のこと。MPは主に呪文を使う際に消費します。

 それを踏まえて先の先輩の言葉を説明してみたいと思います。
 例えば外科は、HP、つまり体力がゴリゴリに削られる科の筆頭だというのは想像に難くないはずです。深夜に呼び出されて緊急オペ。平日と土日休日に区別はなく、手術の必要な患者様がいれば即仕事。手術したら終わりってわけでもない。オペ後の管理だって必要だから、毎日病院に行かなきゃいけない。
 対照的に、弊科であるところの精神科。机の前に座って患者さんの話を聞くだけ。体力なんて全然使わない。
 確かにHPは減りません。でも、MP、つまり気力はしっかり削られるのです。

 初期研修後、精神科1年目のわたしは仕事が終わって一人暮らしの部屋に帰ってから文字通りなんにもできませんでした。初期研修のときよりも圧倒的に早く帰れたし、呼び出しも基本ない。なのに、アフターファイブも休日も、部屋の隅で体操座りをしてぼんやり壁を見つめるだけでした。
 このとき、どれだけ体力(=HP)が有り余っていても、気力(=MP)がなければ人は行動できないのだと知りました。あのとき先輩が伝えたかったのはこういうことだったのでしょう。
 体操座りして壁を見つめ続ける自分が怖かったので、そのうちスカパーに入って元々好きだった野球を見るようになりました。毎日のようにやってるし、それほど集中しなくてもついていけるし、好きなチームが勝ってくれるとうれしい。今思うと、テレビで野球観戦はMPが枯渇してなにもできないわたしにぴったりでした。

 今は患者さんとの距離の取り方などを学んだので、体操座りよりももう少しアクティブに過ごすことができているけども、重症な患者さんとしっかり向き合った日には帰宅後やっぱり体操座りしてしまう日もあります。さすがに壁は見つめる時間はなくなりましたが、この頃はひたすらTwitterを見ています。わたしにとってTwitterは野球と並んでMPを消耗しない行為の一つです。

 精神科に進めば時間ができるし、好きだった読書をまたできるようになるんじゃないかと思っていたけど、最初の一年は本屋さんにすら行けませんでした。今思うと本屋さんに行くためのMPも残ってなかったんだと思います。
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」では余暇の時間の無さを読めない理由として議論は進められていたけれど、わたしとしては時間のみならず、HPならびにMPも必要であると主張したい。

 人間はどれだけ時間があろうと、HPもMPもある程度残っていないと行動できないのです。

(補足させてください。精神科との対比で外科をHPしか消費しない科のように書いてしまいましたが、外科がMPを消費しないかというとそんなことは全くありません! むしろその逆です! どこを切るか、何の道具を使うかなど、手術中は重要な判断を瞬時にし続けなければなりません。つまり、HPのみならずMPも必要な科です。特に外科医になりたての頃はMPもかなり消費するものと思います。本当にタフなお仕事です、外科の先生方には頭が上がりません)


現代社会におけるHPとMP


 HPとMPという概念を浸透させた日本のRPGってすごいなって思います。プレーしたことのある人なら、HPとMPって言っただけで体力と気力をイメージできるじゃないですか。そして主要パラメータがその二つなのもものすごくよくできてます。ほんとそう、生きていくためには体力も気力も必要です。

 最初に触れた「お風呂キャンセル界隈」。同界隈のみなさまは入浴呪文(?)の分のMPがなくなってるんだろうと思います。日中に使いすぎてMPが足りなくなっちゃうんですよね。

 RPGと違って現実世界のおそろしいのはMPを削るのは戦い(≒学校や仕事)だけではないところです。
 人間関係だって立派にMPを削ってきやがります。むしろそっちの方がしんどいまである。おまけに現代はSNSというものも存在しています。昔は顔見知りとの関係でしか悩むことはなかったけれど、現代では会ったこともない人との関係にも悩まされるのです。なんてこった!!

 治療初期のうつ病の患者さんが「気分転換にお友達と会う予定」と教えてくれたとき、会うのに反対することがあります。うつ病というのはHPもMPも真っ黄色になっている状態なので、気分転換が命取りになりかねません。
 仲がいいからといってMP消費はゼロかというと、そんなことはありません。親しき仲にも礼儀ありということわざがあるように、好きな相手だからこそ気を遣っているはずなのです。

 これまで書いてきたように、仕事や学校だろうが、楽しい予定だろうが、お風呂だろうが、人間の行動すべてにMPは必要だと思っています。
 というのも、意思決定が必要な場面では大なり小なりMPを消費するはずだからです。

 たとえば、夏の日のこんな一場面。

暑いし、喉が渇いたからビールを飲もう
  ↓
そういえば健康診断が近いからお茶にするか
  ↓
冷たいお茶がないからコンビニに行こうかな
  ↓
いや、これは暑すぎる! 外に出たら死ぬわ!
  ↓
やっぱりビール飲んじゃおう

 数秒のうちにいくつもの意思決定をしています。この場合、結果的に当初思いついた通りにビールを飲んだだけですが、その行為に至るまでいくつもの検討事項があり、自分なりの理由で判断しています。
 検討や判断には気力を要します。たったこれだけの思考回路でもMPを消費しているはずです。うつ病の人が「どうしたらいいかわからない、夕飯に何を食べるかすら決められない」というのはMPが枯渇しているからでしょう。

 人生は選択の連続です。よりよい選択をするには考えねばなりません。考えるときに必要な力がMPなのだと思います。
 MPがなければ考えられないし、行動もできないのです。


 ではMPさえあればいいのかというと、そうでもありません。
 言うまでもありませんが、HPが黄色になるくらいに消耗した状態で行動するのは避けた方がいいでしょう。シンプルに死ぬ恐れがある。
 RPGでは移動の際にHP消費はありませんが、現実では移動にもHPを消費するはずです。なんなら満員電車での消費は普通に歩くよりもエグいかもしれない。
 あと、最近の夏ってめっちゃ暑いじゃないですか。ただ存在するだけでHP奪われますよね……暑さ、寒さ、雨、雪、風など、気候も十分にHPを奪うものだと思います。


 また、各行動のHP・MP消費量は人によって違うというのも念頭に置いておいた方がよいかと思います。
 賢者になると呪文を唱えるときのMP消費量が減るように、得意分野や慣れていることの方がMP消費は少ないはずです。
 逆もまた然りで、苦手なことをしようとするとMPを大量に消耗します。体を動かすのが得意な人はMPをほとんど消費せずに取り掛かれるし、終わったときもHPはそこまで消費しないでしょうが、運動の苦手な人がジムに通おうと思ったとき莫大なHPとMPが必要となるのは想像に難くありません。(そして幽霊会員へ……)

 疲れているときでも取れる行動というのがHPやMPを消費せずにできることなのでしょう。
 仕事で気力(=MP)を使い果たして帰ってきた社会人が家でスマホのゲームしかできない、YouTubeをぼんやり眺めるしかできない、わたしで言えばテレビで野球観戦しかできない、Twitterのタイムラインを流すしかできないというのは、それがその人にとって一番MPを消費せずにできる行動なのだと思います。


「やりたいことがあっても体が動かない悲劇」を避けたい!!


 帰宅中には「帰ったらあれをして、これをして、早めに寝るぞ!」と頭の中で考えていたのに、家に着いた途端、さっきまで考えたことが嘘みたいに何もできず、無駄に夜更かししてしまった……という悲しみを味わったことのある人も多いと思います。帰宅時点でMPが枯渇してしまったため、MPを消費しない行動を取らざるを得なかったのでしょう。

 やりたい気持ちはあってもできない。お風呂に入りたくても入れない。なんとなくダラダラしてしまった。
 本当は〇〇がしたいという思いを抱きながら取る不本意な行動ほど悲しいものはありません。

「転職して好きなことを仕事にする」など、抜本的に生活を変えられたらいいのかもしれませんが、そもそも環境を変えるための行動をするのに必要なHP・MPが残っていないことも多いです。
 でも、生活は続く。時間は過ぎていく。
 どうしたらHPもMPもそれほど消費せずに「やりたいこと」に近づけるかを考えてみたいと思います。


作戦その① 自分のパラメータを把握して "攻略本" を作ろう!


 まずは自分の限界や能力値を自覚することが大事だと思います。
 各種パラメータを把握する、つまり、RPGでいうところの攻略本を作る感じです。自分オリジナルの攻略本。
 だいぶ前にトリセツという曲が物議を醸したけれど、トリセツの内容はともかく、方向性としては素晴らしいと思います。自分のことを把握してないと相手にも伝えられないわけですからね。

 自分のことを誰よりも理解する。
 自分はどういうパラメーターが秀でていて、何が弱点で、どういう呪文だとMPを多く消費して、最大HPと最大MPはどのくらいなのか。
 朝型か夜型かというのもHP・MP消費には大きく関わっていると思います。朝型の人は夜できなかったことも朝ならすんなりできることが多々ありますし、逆もまた然りです。

 たとえば、わたし自身について考えてみます。

 体力が全然ない。HPは赤ちゃんレベル。バスケ観戦で遠征した週末明けの月曜日は毎度地獄を見てる。MPはぼちぼちある気がする、精神科医をやって鍛えられました。
 圧倒的に朝型です。辛い仕事は朝イチで終わらせたい派。
 MPを多めに消費する仕事は患者様のご家族への病状説明。急変時の対応。講演会は結構得意だからそんなに消費しない。外来は患者さんの診察そのものよりも患者さんを待たせてる罪悪感の方が苦手かも、MPめっちゃ減る。
 1時間くらい歩くのとライブハウスで踊るのはHPもMPもそこまで消費しないけど、それ以外の運動はマジでムリ。FEELCYCLE(暗闇爆音の中で自転車を漕ぐジム的なもの)はいけるかと思ったのに、2ヶ月目から謎の発熱が続いて結局行かなくなってしまった……やっぱりストレスだったのかな、体は正直だね……

 このように、得意と苦手を自覚するのはとても効果的だと思います。
 避けられない苦手な予定が近付いていればHPやMPを温存しようなど、作戦が立てやすくなります。丸腰で臨むのはとても危険です。致命傷を負ったとき、回復するには時間がかかります。最小限のダメージになるよう工夫するために、まずは自分のパラメータを把握することが肝心です。

 また、世間ではHPやMPを消費するとされていることでも自分は意外と平気だったり、逆にお風呂のように、世間では大したことのないイベントとされていても自分にとってはとてつもなくしんどいことである可能性もあります。ここを正確に把握できると一気に生きやすくなるはずです。
 ぜひ一度腰を据えて、ご自身の得意、不得意と向き合ってみてください。


作戦その② 効果的な回復方法を把握しよう!


 自分の強みや弱みを把握すると見えてくるのが好みや傾向。
 それを踏まえて、自分はどうすればより回復できるのかを理解しておくとよいでしょう。

 この頃、自分の機嫌をとる「コーピングリスト」についてよく見かけるようになりました。コーピングリストとはいわば辛い時に自分の機嫌をとれる行動(=MPを回復させる行動)一覧です。これもある種の"攻略本"ですよね。MP回復の方法をいくつか把握しておくと人生というRPGの攻略がぐっとしやすくなるはずです。

 ただ、コーピングリストに書いたことをいつでもできるかというとそうでもありません。たとえば、リストに「ケーキを食べる」と挙げていても、HPがなくて買いにいけなかったり、ダイエット中だったり、金欠でピンチだったり、行動することで余計にMPを消費する可能性があります。こういったときはしない方が賢明かも知れません。

 コーピングリストに書いてあることもできないとき、一番手っ取り早いのは寝ることです。やっぱり寝るのは万能薬。
 どうしたらいいかわからないときはまず寝ましょう。筋トレは全てを解決するという風潮がありますが、筋トレをする元気がないときはひたすら寝てみてください。寝るのに飽きたときが動き出すべきタイミングです。

 厄介なのは、現実では「宿屋で寝たら即HP・MP全回復!」とはならないところです。睡眠によって回復する量はまちまちですし、回復するために必要な睡眠時間は人それぞれです。
 そして、残念ながら歳をとるとHPもMPも回復に時間がかかるようになります
 いや〜〜〜、わたくし、こちら日々実感してます。ゲームの中ではレベルが上がれば最大HPは増えるしいつだって宿屋で一晩眠れば全回復だけど、現実世界で歳をとるごとに最大HPはむしろ減るし、HP・MP共に翌朝の回復の度合いも落ちる。なんて世知辛いんだ!!

 また、MPがあまりに低い状態だとHPが回復しづらいというのも実感としてあります。全ての精神科医が診察室で患者さんに伝えているであろう「心と体は繋がっている」というのはやっぱり事実で、心が元気じゃないのに体だけは元気になるわけがないのです。

 RPGには「バフ」という概念があります。ステータスを強化するのがバフで、弱体化させるのがデバフ。
 現実はバフとデバフだらけです。好きな人と会えた、美味しいものを食べた、ボーナスが出たというバフもあれば、失恋した、風邪ひいた、推しのライブのチケットに外れた、病気になった、などのデバフもある。一瞬しか効力のないバフもあれば、いつまでたっても消えてくれないデバフもある。
 バフがかかっていればHP・MP共に回復しやすいし、デバフがかかっているとHPもMPも一生回復しない、というのはあるはずです。
 自分にはどんなバフが効果的かを把握しておいて勝負どころでブーストをかけたり、逆にどんなデバフに弱いのかを把握してなるべく避けるのもよいかと思います。


作戦その③ 時には諦めも肝心! 納得のいく選択をしよう!


 残念ながら、日中どれだけHP・MPを節約しても夜には残らないことがあります。なんならしょっちゅうかもしれません。
 やりたかったことを諦めざるを得ないという事態はどうしても起こります。

 全てを手に入れることは難しいのが現実です
 時にはより大きい目標のために小さいことを諦めることもあるでしょう。
 だからこそ、何をどう選ぶかが非常に重要になると思います。

 たとえば、お風呂の件で考えてみます。
 お風呂に入りたい。けど、どう考えても入るためのMPが足りない。そんなときは、諦めて寝てしまうのも一手です。
「入らなきゃ、でも入れない」と何時間も悩んで夜中の2時になんとか入浴して寝るのが3時になるよりは、23時にスパッと諦めて寝てしまい早めに起きて入浴した方がトータルのMP消費量が少なく、また睡眠による回復量が多いでしょう。
 お風呂キャンセル界隈を自覚して「自分は朝風呂派なんだ」と割り切ってしまうのはアリだと思います。

 逆に、「睡眠よりもお風呂を優先したい!」という人や「夜しっかりお肌の手入れをしないと耐えられない」という人もいるでしょう。それはその人の個性、好みであり、もちろん優先すべきことです。「疲れている人は全員お風呂キャンセルしなきゃいけない」ということはありません。ご自身の傾向に合わせて行動するのが重要です。

 不本意な選択ほど心がすり減る(=MPが減る)ことはありません。
 大事なのは、自分にとって何が優先されるべきかを把握することなのだと思います。


さくせん 「いのちだいじに ガンガンいこうぜ」


 ドラゴンクエストをプレーしたことのある人には馴染み深いであろう「さくせん」。知らない方のために簡単に説明すると、戦闘中の仲間の行動の傾向を決めるのが「さくせん」です。「めいれいさせろ」を選べば仲間一人一人の全ての行動を主人公(=プレーヤー)が決めることができます。

 わたしが好きだったのはバランスが取れて安定感のある「みんながんばれ」。ボス戦の前は「じゅもんせつやく」でMPを温存していました。

 このnoteのタイトルにある二つの「さくせん」。
「いのちだいじに ガンガンいこうぜ」は、「HPとMPを普段は温存して、使いたい時に思い切り使おう!」という思いを込めています。

 実際にドラクエをプレーしたことのある人には「いやいやいや、どっちのさくせんもMP浪費しまくりじゃん!」と思われるかも知れません。はい、それはそうです(笑)
 ただ、現実世界ではHPのみならず、MPも併せての「いのち」だと思ってます。上でも述べたように、人間は行動するのにMPが必要です。ドラクエと違って、MPがゼロになったら何もできません。
「いのち」を大事にするということは、HPだけでなく、MPの消費や残量にも気をつけること。さまざまなストレスが存在しうる現代社会では、HPのみならずMPにも気をつけるのがより楽に生きる方法なのだと考えています。

 肝心なところで「ガンガンいこうぜ」を選べるように、普段はMPも含めた「いのち」を「だいじに」してほしい。そう思っています。

(※ドラクエをプレーしたことのない方のために補足させていただくと、「いのちだいじに」はとにかくHP回復が最優先。少しでもHPが減ろうもんなら即回復呪文。MPがどんだけ減ろうがお構いなし。「ガンガンいこうぜ」はとにかく攻撃が最優先。味方が多少ダメージを受けていようが、回復よりも攻撃。攻撃魔法もガンガン唱えます。MPがどんだけ減ろうがお構いなし。どちらもある意味「攻めたさくせん」なのです)


使ってこそのHP・MP! 充実した人生を送るために


 充実した人生とは何かを考えたとき、自分の希望が叶っていることが大事なのだと思います。
 やりたいことができた、そう思えたときこそ充実した人生を送っているといえるのではないでしょうか。

 仕事から家に帰って、TwitterやYouTubeを見て何時間も無為に過ごしてしまったというのも、たまのことならばいいでしょう。でも、毎日がそれでは悲しすぎます。「本当なら〇〇がしたいのに」という思いを抱えながら生きていってほしくないのです。人生は有限ですからね。

 お金持ちの人は普段はケチだけど使う時は使うっていうじゃないですか。みなさまには是非HPとMPでそういう生活を送ってほしいなと思っています。「ここぞ!」というところで大盤振る舞いしてやりたいことをするのは気持ちのいいことです。

 もし、行動した結果、思うようにいかず後悔したとしても、その後悔も人生においては必要なことだと思います。「やってみた」という経験が手に入ったのは紛れも無い事実です。「やらない後悔よりもやる後悔」という言葉がある通り、「やりたかったのにできなかった」という悔いは大きく残ることが多いです。やってみたからこそ、貴重なHPとMPをどう使うかの今後の判断に活かせるとも思います。
 そして何より、たとえ不本意な結果だったとしても、「自分がやりたいと思ったことをできた」という満足感は得られます。「自分の希望を叶えてあげる」というのは一番早く幸せになる方法だと思っています。

 でも、それもこれも、使えるHPとMPがなければ始まらない。
 このnoteではHPとMPを使いこなすためのアイデアをいくつか紹介させていただきました。

 ザコ戦であるところの日常生活ではなるべくHP、MP共に温存し、大事なボス戦であるところの「やりたいこと」でHPもMPも思いっきり使う。
 人生はRPGと一緒なのかもしれません。

 より充実した生活を送れるように、このnoteが少しでもお手伝いできたならこの上ない幸せです。



#創作大賞2024 #エッセイ部門

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