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さいじゃくのぶき

「ひのきのぼう」はドラゴンクエストに登場する武器である。とちゃんと認識したのは大学に入ってからかもしれない。
大学入学後、アニメやゲームという方向へ少しずつ興味を伸ばし、好きなもののフィールドはまた一つ大きくなった。

なぜだかわからないけど、突然思い出したのだ。クリスマスイブに。
「ひのきのぼう」というワードを。そしてその出会いを辿った。
たくさんの情報が詰め込まれたシンプルなつくりのホームページに、今、何が更新されているのか。なんとかURLを思い出して、また会うことができた。
やっぱり時は経っていて、その間にいろいろなことがあった。

きっと、根本的に伝えたいことは、じぶんのアタマで考えよう、その一歩目を前に出そう、ということなのだと思う。冒険に向けた最初の装備、その先どんな物語があるかはわからないけれど。ただそれだけ、だけど。

もしかしたら、冒険しようという意志かもしれない。それを武器として使うにはあまりにも弱くて、売ったとしても安いが、確実に手に持っている。

強い武器を手に入れてモンスターを倒しながら目的を果たすことだけが冒険の全部ではないだろうし、大人になったからといって正しさも自動でレベルアップするなんてことはない。 

似たような筋立ての物語は人間の歴史の中でたくさん生まれてきた。
モノとして保存されるから、でもあるだろうけれど、
人間が大体100年くらいの命の中で見つけ、伝えたいメッセージには、
これまでの誰かの中にも、これからの誰かの中にも、共通する部分があって、
それを表現しようとした同じような物語が、
人間の生き死にの周期で生み出され続けてきたからだと思う。

人間は死ぬ、けれど、物語は残る。
人間が死ぬからこそ物語に永遠性がある、
と、夏ごろに思い至ったことを今更に書いている。

一回の人生では経験できないこと、普通は覗けない他の世界を知ることが叶う。
一回しかない人生なのに心折れそうな時を支えるメッセージが既に書かれている。

物語をのこすって、人生の中で出会った
好きな物語を集めてのこしておくって、タイムカプセルでたからばこみたいだ。

やはり物語も、現実世界で振りかざすことは不可能だけど、
行動するはじめのはじめに少しだけ支えになるところがあるのだろうな。

さいじゃくのぶきは、必要だと思われている、と思う。




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