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<知識論>大事なものは、 すべて身の内にある その4

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

4.知識をお互いに交換し合うことを学習という。

ここで「学習」という言葉を見つめ直してみたいと思います。学習という行為は、本来、知識を顕在化させるエネルギーなのです。これは私の個人的な見解ですが、学習には<確認>するという行為と、<覚える>という行為があると思います。この二つの行為は一見すると同じように聞こえますが、じつは大きく異なります。

<確認>するという行為は、自分が知識として既に持っているものを「そこにもあるよ」という具合に、相互に教えあうことなのです。コミュニケーションし合うことなのです。その結果は「あっ、そうか、気づかなかった。ありがとう」という言葉が飛び交うことなのです。従って<確認>は瞬時に理解できることであり、そのコミュニケーションの結果は、いつも相手に対して感謝の気持ちで終わることが多くなります。コミュニケーションの輪が広がりやすくなり、行動がオープンになると言えます。

かたや<覚える>という行為は、自分が知識として持っていなかったものを教えて貰うことです。持っていなかったものを相手から貰う結果になります。ビジネス関係でいえば、料金を払って購入する行為になります。この場合、お金を払わなければならないわけですから、教えて貰った相手に対して「料金を払っているのだから、ちゃんと教えろ」とか、ときに覚えられないのは「教え方が悪いからだ」という責任転嫁も起こりがちです。

また、<覚える>は<確認>と違って瞬時に理解できない場合があり、時間も苦労もかかります。だから、一度覚えたことを他人に教えることがもったいなくなってしまうことも、ままあります。さらに教えてしまうと、何となく失ってしまったような気がすることも、ままあります。そのコミュニケーションの結果、相手に対しても自分に対しても社交辞令的になりがちです。「ありがとう」とは言っても、心からの感謝ではなくコミュニケーションの輪は狭まっていくのです。つまり、クローズドになっていくケースが多く発生するのです。

確認するということは、時間をかけて、苦労をして、覚える必要がまったくないということなのです。ここが重要です。確認だけをするのだから覚えるのに比べて、それこそ何十倍、何百倍も速くできる。確認していくのだから他人の話が素直に聴ける。聞かれれば、確認したことをすべて、つつみ隠さず話すことができます。確認しなければならないことは山ほどあるのですから、すでに確認したことなど大切にしまっておくほどのことではない、出し惜しみするほどのものではないという意識が満ちます。確認するのだから言い争うことがない。そういう意見もあるのだと納得してしまう。確認するのだから、確認できたら、確認させてくれた人に感謝の気持ちが持てるようになるのです。

つまり、ここでいう確認とは知識を得ることと同じ結果であり、実は、この確認するという行為が、気持ちが真のオープンマインドの意味するところなのです。オープンマインドとは、知識と知識のコミュニケーションに不可欠な条件であり、相手のすべての“現実”を受け入れる行為の連続といえます。“現実”とは、その人が認識している経験知(事実)の集まりなのです。マイワールドなのです。人間とのコミュニケーションによって相手の意見を受け入れるということは、相手のマイワールドである“現実”を受け入れることと同じことなのです。そして、この関係はコミュニケーションにおいて、お互いがお互いに永遠に与え続け合うという行為につながっていくのです。(つづく)

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その5に続く→

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等



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