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この宇宙はプラズマでできている 【最終回】

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰


4.6.生命誕生のエネルギーは、プラズマエネルギーだった

いよいよ最後の締めくくりです。

大野乾博士が述べている、「宇宙の大気には分子酸素は存在しない。わが地球の大気に充満する分子酸素は、植物が過去10億年間の光合成によって蓄積してくれたものである。したがって、酸素を呼吸しないと生きていけない我々動物は、すべて植物の寄生生物ということになる」という、この一文の裏には、じつはプラズマの役割が大きく関わっているのでした。

ご存知のように、私たち人類をはじめ、この地球に棲むすべての生命は太陽から放出されるプラズマエネルギー、太陽風によって育まれてきたのです。ここの経緯は前回Vol.26でも言及してきましたが、さらに言及するカタチとして、圀手會分科会で放送された「プラズマとは何か?」から引用させていただきます。

そして、この宇宙において、我々の太陽系における「恒星」である太陽が果たしてきた生命誕生のエネルギーの伝導・放射・輻射は、プラズマエネルギーそのものだった。46億年前に地球が形成され、地球上において生命が誕生し、進化してきたと信じられてきた。事実、地球誕生当時、超高温で灼熱の大地であり、有機物は存在できないほどであった。もちろん生命も生存できなかった。その後、原始の大気と海をつらぬく稲妻による放電プラズマによって、無機分子から生命に必要なアミノ酸が生成されることをスタンリー・ミラー(Stanley Miller)が実験によって明らかにした。原始地球で頻繁に発生したと考えられる雷、稲妻(放電プラズマ)をアミノ酸生成のエネルギー源とするものだという。プラズマ状態で「無機的な生命」が誕生したというのだ。生命は有機的とは限らない。持続する組織とエネルギー流のパターンこそが生物の本質なのかもしれない。無機塵をプラズマ状態にすることで、自己組織型のらせん構造体が形成されるという研究が行なわれている。自律的、再生産性、進化することなどの特質を持っており、「無機生命体」と呼びうるものだという

大野乾博士が言及されている現象とまったく同じ論旨なのです。

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4.7.私たちを照らし出す太陽は巨大なプラズマの塊である

太陽から放出される高速のプラズマは惑星空間を通り抜けて地球に達し、オーロラ、北極光、磁気嵐、電波障害などを引き起こすのです。一般に真空と言われる宇宙空間が、このようなプラズマに満ち、プラズマ・ダイナミクスが支配する空間であり、常に休みなく変化を見せているのです。惑星、太陽系、銀河系、星間ガス、星雲、銀河団、彗星などなど、宇宙にあるすべての物質はプラズマの影響を受けているのです。

スウェーデンの地球物理学者アルベーン(※1)は、「宇宙についての理論」として、次のように述べています。

我々が観測や実験で確かめた事実の延長上に打ち立てられなければならない。我々は、ビッグバン理論のように、最初に宇宙誕生の姿を想像して、そこから現在の宇宙に進化するまでを推測して理論にするのではなく、まず今の宇宙の姿を調べ、それを元にしてより遠い過去へ、より不明瞭な時代へと遡っていくべきである。

この宇宙には、我々人類が存在する太陽系と同じものが10の25乗個(約2兆個✕約2000億個)存在しています。そして、その10の25乗個の太陽系の核となる「恒星」から膨大な量のプラズマエネルギーが全宇宙に伝導・放射・輻射されているというのです。この事実こそが、宇宙に存在する全物質の99.9%はプラズマであるとする根拠ともなっているのです。

「この宇宙はプラズマでできている」も、Vol.1~Vol.27にいたって最終回を迎えることができました。パローレの読者の皆様には、たいへん我慢強くこの連載を読んでいただいたことをに感謝申し上げます。

ありがとうございました。

※8. ハンネス・アルヴェーン:スウェーデンの地球物理学者・物理学者。プラズマ物理学のひとつの基盤である磁気流体力学の基礎を築いた。1970年にノーベル物理学賞を受賞。


← Vol.026はこちら

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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