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言霊量子論 その8

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

量子場脳理論、その4

今回の量子場脳理論は、量子場脳理論の最後の章として「言霊精義」に記載されている【中今】の概念と、【記憶の素過程】の概念をアナロジー的に重ね合わせて言及してみたいと思います。なお【中今】についての言及はとても奥が深く、量子場脳理論のこの場をお借りしてとはいえ、私自身が言及することはとてもハードルが高く、無知が故の暴挙とお含みおきいただければありがたく存じます。 

さて、「言霊精義」13頁の後段には、

過去のすべては自覚無自覚、意識無意識を問わず中今の生命の中に包蔵されて存在している。中今のうちに過去のすべてが記憶されている。この記憶を呼び戻せば千年前、五千年昔の歴史が帰って来る。この文字を以てせざる記憶をアカシック・レコード(閼伽宮歴史)と云う。一度世界に起こった事は中今の生命に刻み込まれて消える事がない

と記載されています。

実はこの事象は、量子場脳理論における【記憶の素過程】ときわめて類似的でもあるのです。人間は、本人の自覚無自覚、意識無意識にかかわらず、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感で捉えた言葉や映像などの森羅万象のすべてを電波・光波・音波等に置換して大脳皮質場に電磁波エネルギーとして取り込んでしまいます。そして大脳皮質場に取り込まれた電磁波エネルギーは、ある種の記憶素子(コーティコン)に変換されて蓄積されますが、大部分の記憶素子は時間の経過と共に減衰し続け、やがて感知できなくなるほどの最低エネルギー(零点振動エネルギー)として、いわば記憶の種子(しゅうじ)として大脳皮質場に蓄積されていきます

このように記憶の種子が生成され、蓄積されていく素過程こそが量子場脳理論の根幹をなしている「場の量子論」による「真空のゆらぎ」としての事象でもあるのです。「真空」とは、空気はもとより、あらゆる物質やエネルギーが取り除かれ、完全に空っぽになった空間と定義されていますが、「場の量子論」においては、この真空が記憶のゆらぎの舞台になっています

一見すると私たちの脳内のどこに真空の場があるのかと思われるのですが、私たちの身体の70%近くは水でできています。とりわけ大脳皮質は、その90%近くが水でできていると言われています。水は、水素原子2つと酸素原子1つが結合した分子構造体です。量子力学的スケールで眺めてみれば、水素・酸素原子の内部構造、さらには水の分子と分子の間隙は広大な真空の場そのものなのです。

では、この真空の場で、いったい何が行われているのでしょうか? 時間の経過と共に減衰し続け、やがて感知できなくなるほどの最低エネルギーと化した記憶の種子が、記憶を想起しようとして意識を働かせたときに脳内で発生する記憶想起エネルギーと相互作用し、あたかも種子が再び芽吹くように、過去に蓄積された記憶が、この真空の場で再生されるのです。量子力学において真空のゆらぎの場で、光子と粒子、そして粒子と反粒子の対消滅・対生成がダイナミックに繰り返され、新たな物質を生成していく事象が、私たちの脳内においても、記憶の対消滅(記憶の種子となる)と対生成(記憶の種子が芽吹く)が瞬間・瞬間のタイミングでダイナミックに繰り返されているのです。

「一度世界に起こった事は中今の生命に刻み込まれて消える事がない」と「言霊精義」に記載されている事象は、私たちの脳内においても原子の内部の広大な真空のゆらぎの場に刻み込まれ、消えることがない記憶の種子として、「生命の中に包蔵されて存在している」といえます。量子場脳理論として最後の章の内容が、思った以上に難解になってしまいました。「場の量子論」による真空のゆらぎの場は、実に摩訶不思議なふるまいを見せるのです。ご勘弁願いたいと存じます。(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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