見出し画像

この宇宙はプラズマでできている vol.024

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

4.プラズマ宇宙創造の時代

私たちの銀河系がいつ頃できたのか、それはまだ正確にはわかってはいませんが、私たちの太陽系ができた45億~46億年前よりも、はるか以前だったことは間違いありません。そのことは太陽系には水素やヘリウム以外の重い元素、例えば、炭素やマグネシウムや鉄などが全体の3%程度ですが含まれていることからわかります。

ビッグバン宇宙が終焉したタイミング、つまり宇宙が晴れ上がった時点で宇宙に存在していた多くの元素は水素(約70%)とヘリウム(約27%)でした。その水素とヘリウムが暗黒時代(星や銀河などの天体がまったく存在しない、ダークマターが凝縮した時代)といわれる重力不安定な状態で数億年が経過した後に、ガス星雲となり原始星となり、燃えながら重い元素をつくりだし、爆発して重い元素を宇宙空間にばらまく、というプロセスを何度も繰り返してきました。私たちの太陽系は、そのようにして生じた重い元素を取り込んで生まれたのです。

星の内部の核融合反応によって、軽い元素が重い元素へと進化していくプロセスを、以下に図解してみました。一見すると難しく見えるのですが、紐解いてみると、とてもシンプルな仕組みで元素ができていくことがわかっていただけると思います。始まりは水素(H)、最後は鉄(Fe)なのです。

画像1


4.1.星の内部で起こっている元素合成のプロセス

すべての物質は水素からできる

この言葉は〈元素のふしぎ〉という展覧会に行ったときに観たのですが、その展示会のパネルに書かれていた言葉でした。展覧会の入り口には元素の周期表が大きく掲示されていました。元素番号1は水素、2はヘリウム、3はリチウム・・・と記載され、最後の元素番号が、118といってウンウンオクチウムというややこしい名前の原子だったことを記憶しています。

考えてみれば、私たちの宇宙森羅万象のすべては、陽子と中性子と電子の構成でできているわけです。そして、その陽子と中性子は、クォーク3個でできている(※1)というお話は、本レポートでも繰り返してお話ししてきたとおりです。

ここにきて「すべての物質は水素からできる」という話はなんだと思われるかもしれませんが、私たちが棲む地球という惑星(表面積の約70%は水)、もっといえば私たちの体の組成(60%は水分)の生い立ちをたどっていくと、水素(H)原子に行き着く(※2)という結論は、なかなか含蓄のある話といえるのではないでしょうか。

とにかく、始まりは水素(H)なのです。では、水素はどこから生まれたのか。水素は1個の陽子からなる原子核と、その原子核に電子が取り込まれて生まれました。

では、陽子はどこから生まれたまれたのか。陽子は3個のクォークから生まれました。では、クォークどこから生まれたのか。クォークは、10のマイナス33乗cmの〈ヒモ〉から生まれました。では、〈ヒモ〉はどこから生まれたのか。・・・〈ヒモ〉の起源はわかりません

宇宙森羅万象のお話しは、すべてが始まりは “わからない”のです。人間には不可知、不可解に属することがあるのです(※3)。発生理由を持たない「ゆらぎ」から、突如、ポッと誕生する現象があるのです(※4)。ま、それは自己返照(※5)の領域であるということで折り合っていくしかないようです。

さて、「始まりは水素(H)から」のお話しに戻ります。もういちど上記の図をご覧ください。星の内部で起こっている元素合成のプロセス一覧です。もちろん、これからお話しする元素合成プロセスは、星の内部、それも我々の太陽よりも8倍以上も重い星で起こっている核融合反応(※6)の事象についてです。超高圧・高温の核融合反応の場でいったい何が起きているのか・・・。とにかく、始まりは水素なのです。

※1:陽子(アップ・クォーク2個、ダウン・クォーク1個)、中性子(アップ・クォーク1個、ダウン・クォーク2個)
※2:水素が燃えると水になる〈水素(H)+水素(H)+酸素(O)=水(H2O)〉
※3, 5:参照資料:「新装:言霊百神」
※4:参照資料『ゆらぎの不思議』佐治晴夫/PHP文庫
※6:核融合反応とは、軽い核種同士が融合して重い核種になる核反応を言う。

本レポートでは、軽い元素である水素(H)から重い元素である鉄(Fe)までの元素合成のプロセスを簡素化したカタチで説明します。水素原子の原子核は、陽子1個からなるきわめて根源的な原子なのです。元素合成プロセスの始まりです。

①まず、陽子同士が衝突して重水素ができます。
 ・陽子+陽子⇒重水素
 (本来なら上記式は、
  陽子+陽子⇒重水素〈=陽子+中性子〉+陽電子+ニュートリノ
  ですが本レポートでは簡素化して記述しています。
 以下、②~⑦の各式も簡素化して記述しています)
②重水素ができると、重水素と陽子が融合してヘリウム3が生成されます。
 ・重水素+陽子⇒ヘリウム3
③ヘリウム3が生成されるとヘリウム3同士が融合してヘリウム4が生成されます。
 ・ヘリウム3 + ヘリウム3 ⇒ ヘリウム4
 ※ここの③と、次の④との間に軽い元素だけが存在していた
  暗黒の時代があります。
④ヘリウム4が3つ同時に結合すると炭素(C)が生成されます。
 ・ヘリウム4 + ヘリウム4 + ヘリウム4 ⇒ 炭素
⑤生成された炭素に、さらにヘリウム4が結合すると酸素(O)が生成されます。
 ・炭素 + ヘリウム4 ⇒ 酸素
 ※この酸素が水素と結びついて、
  燃焼して水が生成(H+H+O=H2O)されます。
⑥星の中心部に炭素と酸素からなるとコア(中心核)ができます
 ・コアの周りにヘリウムと水素が残っているという
  階層状の構造ができます。
⑦コアが重力で収縮して温度が上がると炭素や酸素が結合する反応が始まります。
 ⑦-1:炭素 + 炭素 ⇒ ネオン(Ne)、あるいは ⇒ マグネシウム(Mg)
 ⑦-2:酸素 + 酸素 ⇒ 珪素(Si)、あるいは ⇒ 硫黄(S)

このように、さまざまな反応が起こり、最終的には、質量数50台のニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)までの重い原子核が合成されます。

そして、重い原子核は、星の中でコア(中心)に集まり、タマネギ構造が形成されます。タマネギ構造は、入れ子構造と同定できます。また、入れ子構造は、フラクタル構造とも同定できます。


← vol.023はこちら

vol.025はこちら →

・・・・・・・・・・

【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等


この記事は素晴らしい!面白い!と感じましたら、サポートをいただけますと幸いです。いただいたサポートはParoleの活動費に充てさせていただきます。