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考えの5つの機能ヨーガスートラ第1章5~6節

パタンジャリ(पतञ्जलि)先生は考え(वृत्ति ヴルッティ)は5つ(पञ्च パンチャ)の機能があるとヨーガスートラ(योगसूत्र)の初めの方で教えてくれます。なんせこの “考えの機能” が私たちに苦悩や喜びをもたらしているのです。

心の考えを知り、理解すことによって私たちの悩み苦しみをを整理できて、心穏やかに暮らせるかもしれません。


【1-5】 वृत्तयः पञ्चतय्यः क्लिष्टा अक्लिष्टाः॥५॥
ヴルッタヤハ パンチャタイヤハ クリシュタークリシュターハ 
考えはには5つの機能があり、5つはクリシュタ(क्लिष्ट 苦悩になる考え)と
アクリシュタ(अक्लिष्ट 苦悩にならない考え)に分かれます。

【1-6】प्रमाणविपर्ययविकल्पनिद्रास्मृतयः॥६॥
プラマーナ ヴィパルヤヤ ヴィカルパ ニッドラー スムルタヤハ 
プラマーナ(प्रमाण 知覚)、ヴィパルヤヤ(विपर्यय 間違え)、ヴィカルパ
(विकल्प 想像・迷い)、ニッドラー(निद्रा 眠り)、スムルティ(स्मृति 記憶)、この5つがヴルッティ(वृत्ति 考え)です。
訳:やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ 向井田みお先生より


5つの考えを表にしてみました。ヨーガスートラ第1章7〜11節がその解説になります。

プラマーナ(प्रमाण 知覚・認識)

プラマーナには3つのプロセスがあります。
棚に飾った花を見て(五感、視覚)によって“花がある”と認識すること。
玄関に見知らぬ靴があったらお客さんが来ていると推測すること。
聖典や経典に記されている知覚と推測では知れない知識

ヴィパルヤヤ(विपर्यय 間違え)

よくたとえ話で聞くのが、薄暗がりで見たロープを勘違いして「蛇がいる!」と思ってパニックになってしまい、懐中電灯で照らしてみたら「なーんだ、ロープか」といったお話です。
「玄関に置いておいたはずの鍵がない!」散々探して「ポケットにあったわ」なんてしょっちゅうです(笑)新手の偽ネット情報に心がざわついてしまったり、、、いろいろあります。

これを防ぐには冷静になって物事をよく観察すること。
本質は何かを知ることだと言われています。

ヴィカルパ(विकल्प 想像・迷い)

言葉はあるけれど実際には存在しないもののこと。
未来の想像によってネガティブな感情が起ってしまう時など、心が萎縮してしまうことがあります。子供の頃運動会の前日に「明日かけっこでころんだらどうしよう?」なんていらぬ心配をよくしたものです。
友達がそっけない態度だったので「なにか悪いことでもしたのかな?」と感じて、後で聞いたら具合が悪かっただけだったり。

私たちの考えはネガティブに偏りがちなんだそう。確かに。
だからこそ真実は何かを見極めて、想像や迷いによって生じる苦悩から解放されるようにしたいです。そのためにはヨーガの実践を地道に続けることだとパタンジャリ先生は教えてくれています。

ニッドラー(निद्रा 眠り)

五感を休ませて深い眠りについている時、熟睡状態で私たちの本来の状態、苦悩のない状態である時、これも考えの一つと言われています。

スムルティ(स्मृति 記憶)

過去に経験したことが忘れずに残っていること。
楽しかった記憶も、悲しかった記憶も、苦しかったことも含まれます。
そして間違った記憶を正しく改めることをこころの浄化というのだそう。
今思い出すと「なんであんなことで悩んでいたんだろう」と思うことがあるのではないでしょうか。

苦悩の解決方法

ヨーガスートラでは続く 第1章12節 にてその解決方法を教えてくれます。
ヴィパルヤヤ(間違い)とヴィカルパ(想像・迷い)など苦悩の原因となるヴルッティ(वृत्ति 考えの動き)は、アッヴャーサ(अभ्यास 繰り返しの練習)とヴァイラーギャ(वैराग्य 正しい見極め)によって、ニローダ(निरोध ケアすることが)できます。

まとめ

パタンジャリ先生はわたしたちに教えてくれています。
「繰り返しの練習(呼吸法と瞑想)じゃ」と、
そして、
「何が真実か(自分の本質)を見極めることじゃ」と、

ヨーガスートラを読み解いていくのは実に興味深く、
ヨーガオタク(なのかな?)には楽しいひとときであります。
呼吸法、瞑想、聖典・経典の学び、3本柱で引続き実践していきたいと思います。もちろん!カルマヨーガ(कर्म योग 行いのヨーガ)も忘れずにね。


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