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島のアンビエント


アンビエント【ambient】
《原義は「環境の、周囲の」》「アンビエントミュージック」の略。

アンビエント・ミュージックとは日本語で「環境音楽」
ブライアン・イーノが入院中の病室で、友人が持ってきた音が小さすぎる古いレコードを流しているうちに「音楽もまた環境の一部」と気付かされたことが発端とされています。


“聴くこともできるし、無視することもできる音”
これがいわゆるアンビエント・ミュージック = 環境音楽です。
でも皆さん、「アンビエント」って言葉を聞くとどんな印象を受けますか?
僕はちょっと気難しくて難解で取っつき難い印象を受けてしまいます。
“聴くこともできるし、無視することもできる音” ???
意味は理解できるけれど、よく分からないっていう方も多いのではないでしょうか。

家族で沖縄の石垣島と竹富島に行ってきました。

本州にはない独特ののんびりとした空気感、温かい人々、見たこともない南国の植物。

ゆったりと流れる時間にとても癒やされました。


竹富島で水牛が引く牛車に乗った時のことです。

同乗のガイドさんが三線(さんしん)で島の民謡 “安里屋ユンタ” を歌ってくれました。

琉球の原風景が残る町並みを、時折止まりながらもゆっくりと進む牛車。

それに揺られながら心地よく紡がれる島の民謡。

まるで風の音のような、波の音のような、鳥のさえずりのような、それはまさにアンビエントのそれ。“聴くこともできるし、無視することもできる音”だったのです。

イーノが入院中に聴いたのは、18世紀のハープ音楽。
退屈な病室ではそれが最適な環境音楽だったのでしょう。

空港では「Ambient 1 (Music For Airports)」

竹富島では”安里屋ユンタ”こそがアンビエント・ミュージックなのです。

(感じ方は人それぞれですが・・・)

そんなわけで完全に虜になってしまった島のアンビエントこと “安里屋ユンタ”
この曲、いわゆるオキナワン・スタンダードな楽曲で、沖縄のみならず国内外の多くのミュージシャンによってカヴァーされております。

もちろん竹富島に行って実際におじいおばあの歌声を聴くのが一番ですが、なかなかそんな機会もないと思うので、個人的にお気に入りのヴァージョンをいくつか紹介しようと思います。

まずは、折坂悠太さんのミニアルバム「朝顔」に収録されている “安里屋ユンタ”

アコースティック・ギターとピアノのシンプルな演奏に、折坂悠太さんの素朴な歌声が素晴らしい名演でございます。

お次は、寺尾紗穂さんの「北へ向かう」という2020年のアルバムに収録されている “安里屋ユンタ”

よりアンビエントっぽい印象のピアノ演奏に、凛と透き通った寺尾紗穂さんの歌声が、こちらも素晴らしいの一言です。


折坂悠太ver.が優しい日差しが差し込む温かな縁側なら、寺尾紗穂ver.はひんやりと気持ちいい夏のフローリングみたいなイメージでしょうか。

(例えが悪い)

最後はご存知 細野晴臣アニキの名盤「はらいそ」に収録の “安里屋ユンタ” です。
前述の2つとは明らかに異なる、細野節炸裂のヘンテコ・ヴァージョンです。(褒)
レゲエやニューウェイヴ~ファンク、音頭や昭和歌謡なんかの要素が絶妙に混ざりあっていますが、でも歌っているのはちゃんと “安里屋ユンタ”

ミュージシャンによって様々な良さがありますね。
“安里屋ユンタ” 最高です。

ちなみに、印象的な

「マタハーリヌ チンダラ カヌシャマヨ」

という一節。

「また会いましょう 愛しき人よ」

という意味のようです。

素敵すぎますね!

元々の由来とは異なりますが、島ならではの出会いと別れを連想しちゃいます。


皆さんもぜひ石垣島に行ってみてくださ、、、違うわ
ぜひ島のアンビエントこと “安里屋ユンタ” 、聴いてみてくださいね!

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