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【「戸籍」は一人の人を消滅させちゃう?お話】

戸籍って、実に思いやりの無い制度だと思います。
苗字が変わるだけで、その人の存在が無いものとして扱われるんですね。
今日は戸籍のお話です。

ペーパー離婚

聞いたことありますか?

日本では2人とも自分の氏名を名乗ったまま婚姻することができません。
必ずどちらかが苗字を変えなければ法律上の夫婦と認めてもらうことができませんよね。これは、「戸籍」という制度を元にした「常識」です。

仕事上、アイデンティティ上、自分の氏名を公私ともに名乗るため、「離婚手続き」をすることが「ペーパー離婚」です。


さて、日本人はこんなことがアタリマエだと思っていますよね↓↓

結婚すると姓が変わる。
基本、女性が変わる。

ある国では、夫婦ともども苗字は生来のものを名乗ることができ、それぞれを一人の独立した人としてとらえる文化があります。
結婚しないと一人前じゃない…みたいな話をされる日本では目ウロコです。

「家族形態」などの戸籍に固執して個人の生き方を制限するのではなく、生来の自分の名前を変わらずに名乗ることができるのが、多くの国の常識。
そのような感覚が備わらない日本は、世界でも稀だそうです。

ストーリーで考える戸籍


私が生業とする精神科業界は、
「病歴」
というものを追いかけることが石です。
お医者さんを変えたり引っ越したりした際は、
昔の治療を参考にするんですね。


<例>
Aさん 女性 関東在住
10年前にうつ病のため、西日本の精神科病院に入院。
5年前に入籍、苗字がK・GからZ・Gに。関東へ転居。
現在、夫とは不仲で音信不通。子どもなし。
両親は他界。きょうだいとは音信不通。
1ヶ月前からうつ病が再発、入院することになりました。
本人は急激に病状が悪化したため、明瞭な会話が難しい状態です。

?さて、このような例で何が起きるんでしょうか?


>Dr. W
「診察の中で、10年前に●●病院に入院したことがわかった。
そのころの病状や処方内容が知りたいな」

>ソーシャルワーカーP
「なんとか情報取り寄せます!」

>Pは●●病院に問い合わせました。
P 「Z・Gさんという人ですが」

●●病院「そんな人はいません」

P 「Zは結婚後の苗字なので、
生年月日が同じ、Gさんという方いらっしゃいませんか。
今の本人は疎通が難しいのですが」

●●病院「個人情報のため答えられません」

P 「本人は一言も話せない状態なんです。
本人の代わりに問い合わせができるのは
私だけなんですが」

●●病院「ご家族でなければ無理です」


名前が無いから存在も認めない


精神科の治療は、生まれてから今までの生活も参考にします。
過去に治療歴があれば、ほぼ100%の率で情報を過去の病院から取り寄せます。

このZ・Gさんは、名前が変わってしまったがために「そんな人いない」と言われたのです。本来の彼女の名前がこの世に無かったもののように扱われたのです。
●●病院ももう少しできることはあるかもしれませんが…珍しい対応ではありません。

この例は私の体験談なのですが…(細かい設定は変えています)
当時の私は情報が取り寄せられないことに本当にり、一人の人間を事実上消させる戸籍に憤慨しましたね。


日本の戸籍は、非常に拘束力が強い


〓例えば、配偶者になった途端、互いの生き死にの責任を互いに取り合うよう強制されます。入院時、アパート契約時、マイホーム購入時、保証人として配偶者氏名を用いるのは、この価値観や戸籍制度のためです。

〓また、籍を入れて苗字を変えると、住民票などの公的文書は自分の名前に取り消し線が引かれます。失礼ですよねぇ…

もちろん、「名前が変わって嬉しい」という方もいらっしゃいますから、要は、ある程度、望の生き方ができるような仕組みづくりを進めれば良いだけなのでは…と、思うのでした(´-ω-`)


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ぱれぱれ