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issue 36 「Tシャツは、感性のアーカイブだ!」 by ivy

おしゃれは足元から、なんて嘘だ。

初めておしゃれをして街に出るとき、靴なんて無難さが命!お金をかけるとしたら、順番的には一番最後じゃないか。

まあ、確かに靴は一番お金をかけている。ある程度手持ちの服に納得がいくようになってからは。小遣いも満足でない中学生、高校生の時についていえば、おしゃれの主役にして入口は、Tシャツじゃない?ってお話。

生まれてはじめて小遣いで買った服は、ジョン・レノンのフォトT だった。中学1年生、夏の宿泊行事へ向けて、H&M で、セールで1000円くらいで買ったやつ。売られている時点で今にも透けそうなペラッペラの生地で、よく持たせていたなあと思うけれど、割と何度も着ていた。

全く同じデザインでもう少しマシな生地のやつがあったら今も欲しい。何よりジョン・レノンは今でも私のヒーローだ。そして、その Tシャツにプリントされていた写真(恐らく、一二を争うくらい有名なヨーコと二人でベッドにいるやつ)が思い入れ深く、部屋に飾っている。

Tシャツって、なんやかんや原点であり、且つその人の趣味嗜好の移り変わりも反映するものだ。試しにクローゼットをひっくり返したら、誰しもあるはず。あんなの着ていたなあ、とか。忘れてたわ、こんなの買ったなあ、とか。

なんといっても安い。旅先、イベント、バンドのライブ … あんまり考えずに買ってしまうことはよくある。だから、Tシャツを見たら、いつかの自分があまり考えずに買い物をした記録になっている。だから、あれこれ考えて、やっとこさ手に入れた渾身の一着よりもリアリティがある、等身大の過去の自分に会える。

さて、Tシャツは、一生物にはならない。なんせ前述のジョン・レノン T なんて一夏で洗濯機の藻屑と消えたし、それ以外も、すでに着られない Tシャツはたくさんある。そもそもペラペラなやつが多いし、比較的厚手だっていつかは寿命がくる。

いつかは着られなくなる、ってわかっていて、そのときに買うもの。これは、何よりも等身大だ。その時好きなもの、衝動的な体験、後先考えずにしてしまうこと。徐々にそういうことは減るけどさ、Tシャツだけはそういう存在のまま変わらないと思うの。

ここまで話して、最後に告知を。5月4日(水)5日(木)で ivy 企画のイベント、「about a Tee」をやるよ!ジャンルを問わず、PARK GALLERY や私の周辺にいる表現者、アーティストたちが出品した、思い出の Tシャツを展示する。

PARK に集まる面々も、私も、私の仲間も、みんな今回話したように、Tシャツを買った体験があるはず。そして、それを見て、昔好きだった音楽、行った旅先、見た映画をきっと思い出す。みんなが今の表現に至るまで、吸収して、すでに過ぎ去ったもの、忘れたもの、そんな感性のアーカイブを引きずり出そう!というイベント。

当日はのんびりコーヒー淹れながら、ジャンルを問わず様々な表現者のTシャツを並べて待ってるよ。GW、予定が開いてる方はぜひ。

イラスト:あんずひつじ


ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。
日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside

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