個展 『ずんずんたわたわ』 | 坂田藍美 インタビュー
—— 坂田さんの絵は、説明的な物語やモチーフの背景よりも、その前にある「ずんずんたわたわ」「ぷにぷにのまにまに」という音や、筆の勢いなど、感覚的なものを大事にしている感じがあります。子どもが絵を描くときに大事にしているようなもの。何か強く意識している感覚はありますか?
わざとらしさとかいやらしさ、作為みたいなものからなるべく離れてたいとは思っています。なにかを作ってそれを見てもらいたいと思っている以上その気持ちをゼロにはできないから矛盾があるけど、できるだけそことは戦っていきたいとは思っています。
—— 普段から新聞の掲載記事から気になるワードなどをキャッチして、作品に活かすことがあると以前お聞きしたのですが、そのきっかけや特に印象に残っている言葉ってありましたか?
昔の少女漫画は単行本の最後に作家の過去作のタイトルが羅列してあるページがあったのですが、小さいときからそのページが好きでそこから好きなものを見つけて丸をつけたりしていました。なのでタイトルとか見出しのようなものは昔から好きなんだと思います。今新聞をたくさん読める環境にあるので記事の中から良いと思った言葉を見つけたらすぐメモするようにして、そのリズムだけをもらったりします。最近ぐっときたのは、ネットニュースで見かけた、裸で寝ちゃった酔っ払いの供述で「私としても知らん」という話し言葉の響きです。
—— 近年、立体作品の制作と展示を行なっていますが、絵画と立体で変わってくる創作感覚がありますか?
粘土を使った立体作品を作り始めたきっかけは、ondo gallery(オンドギャラリー)での展示でした。
絵に比べるとまだ「よし、やるぞ!」といった気合が必要だけど、やり続ければもっともっと馴染んでいくと思います。単純に作業スペースが狭いせいのような気もします。乾燥を数日待つという自分ではどうすることもできない時間があるのも普段の絵とは違うところです。絵は終わりが見えていなくても描き始められるけど、立体はゴールに向かって作っていくというか、どうなっていくかな?という過程を楽しめる段階ではまだないというか結構必死です。今はそれを乗り越えようとしているところで、だんだん楽しくやれるようになってきました。今回の個展でも立体作品をいくつか展示しています。
—— 今後やっていきたい仕事や、描きたいモチーフ、つくりたいものはありますか?
本の表紙とクッキー缶に絵を使ってもらいたいです。
今回フルーツをたくさん描いたので、もういいかなって思うかと思ったら全然まだ描きたいと思えました。ずっと課題なのは人間の絵(イラスト)です。
—— 自分の性格をどう分析しますか? また、その性格が絵に表現されていると思いますか?
そういうのがいちばん怖い質問です(笑)。そういうのを考えることから逃げてきてしまったので ‥. 強いて言うなら、お調子者で結構まじめでミーハーかなと思います。絵を見て感じてほしいです(笑)!
—— 好きなアーティスト、好きな作品などがあれば教えてください。
『SuiseiNoboAz』というバンドが好きです。一番好きなマンガは『コジコジ』です。映画だと、ふと思い浮かんだのは『全然大丈夫』という邦画です。あとは、ヨックム・ノードストリュームの絵が好きです。
—— ハマって続けている事や物、好きな食べ物や趣味などはありますか?
一番難しい質問です!金曜の夜とかに気分が高揚するとポテトを揚げます。趣味はラジオを聞くことだとおもいます。お風呂からあがってドライヤーをするまでの体を拭く数分の間でも再生しています。今回の展示準備期間中は銀シャリの『おトぎばなし』を常に聴いていました。朝も昼も夜もずっと銀シャリ漬けでした。1番お礼を言いたいです!
—— 拠点としている、茨城県のおすすめスポットやグルメを教えてほしいです。
毎年7月ごろに筑波山のキャンプ場で開催されている『つくばロックフェス』が大好きです。出演アーティストもロケーションもご飯も最高だし、山の中なので斜面も急すぎて面白いです。『牛久大仏』は日本一の高さの仏像で、年末のカウントダウンのときにはレインボーに照らされてて結構すごいです。千波湖のすぐそばにある『水戸近代美術館』が好きです。小美玉市の『花木センター』という広〜い園芸屋さんもおすすめです。車で茨城に来たら友部サービスエリアの納豆売り場は強いので行ってみてください。
—— 今回の個展の見所を教えてください。
タイトル通り「ずんずんたわたわ」した、結構堂々とした作品たちになりました。フルーツと動物を描くのが本当に好きで心地よいんだなということは伝わる展示になったかと思います。
ありがとうございました!
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