見出し画像

ivy の IVY LOOK | issue 63 | 神田祭が帰ってきたよ!

どうしても条件反射してしまうリズムとかフレーズってあると思う。マックのポテトが揚がった音とか、地元の夕方五時のチャイムとか、アラームに設定していたことがある曲とか。それでいうと、神田に住んでいる人間にとって、5月の13日と14日は身体がピクッとなることが間違いない。アップテンポな太鼓と笛の音、地鳴りのような掛声と複雑に入り混じったリズム …。間違いない、『神田祭』の音だ。

2年にたった一度なのに、期間中、周囲に「例の音」が鳴ると自然に身体が動く。不思議で仕方がないけれど、その日は金曜、土曜でも早く寝なきゃなって思うし、翌朝もすっきり目が覚める。重いものを持つことも、大きな声を出すこともほとんどない生活を送っているけれど、誰よりも声を張って神輿を担いでいる。これはどう考えても正常じゃない。何かに憑りつかれているんじゃないかとすら思えてくる。

神田生まれの神田育ち。特に神田祭が盛り上がりを見せる外神田だからこそ、物心ついたときから半纏を着て祭りに参加していた。母親が趣味を「祭」と公言するほどの神輿フリークだから、必然ともいえる英才教育だ。
さて、今年の神田祭はコロナ禍の自粛を経て、実に4年ぶり。どうやったって正気でいられない。友だちも呼んで、新しい祭り装束に身を包んだら、気分は最高潮。他の神輿を担いでいる大人たちも心なしか例年以上に多幸感を湛えた表情をしていた。まるで童心に帰ったかのように神輿ではしゃぐ PARK の加藤さんに遭遇したのも印象深い。一方の私も一瞬担いだ様子をインスタのストーリーに載せたら結構な反応があるくらい、普段の様子からすると意外性があるらしい。

来年はないけれど、再来年が早くも楽しみ。終わってみたら、期待していた以上に燃え上がるような強烈な快楽を味わえるこの祝祭は、いくつになってもやめられない。きっと。


イラスト:あんずひつじ

ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside


🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️