COLLECTIVE レビュー #04 DDNDZ RECORD 『Artificial Flower』 (山形県)
COLLECTIVE の ZINE レビューを通じて、 ZINE とは何か、パークなりにたくさん考えてる。わからないことが多いけれど、今のところ、「パーソナル」なものであるべき、という1つの見解がある。自分の中から自然に湧いて出てきたものがいいと思うし、できるだけその内容は(いかに外向けに作ろうと、誰かに依頼されて作るとしても)、結果的に自分に向いていてほしい。裏を返せば、媚びるな、狙うな、自分に嘘をつくなということだと思う。理解なんて求めなくていいと思う。多くの人に届かなくてもいいと思う。作ること自体に意義があったと言えるような、そんな感覚を ZINE から得られるといいのかなと、今のところそう思ってる。
だからって孤独であれ、というわけではない。個と個が重なって生まれた縁とか、偶然とか、摩擦とか、そういうことも ZINE にはとても大事だと思う。
COLLECTIVE 2022 ZINE レビュー #04
DDNDZ RECORD「Artificial Flower」
去年に引き続き、山形からエントリーしてくれた DDNDZ RECORD(ドダナダズレコード)による ZINE『artificial flower』は、DDNDZ RECORD を主宰するかれーらいす氏と、京都と静岡を拠点に ZINE の制作・販売を行なっているアーティストユニット・G文との共著だ。かれーらいす氏とG文のMOCKUMENTARO がそれぞれオンライン上でデータを渡し合いコラージュし合って作ったアートワークを、同じくG文の齋藤たかみつ氏がデザインした1冊。モノクロームのドローイング、ペインティングの隙間で、スパイスとなって効いているのが、時々垣間見えるコラージュ。誰のどちらとも言えない主張の摩擦が、絶妙なバランスで絡み合う。ページをめくるごとに「生」→「性」を感じる。
「artificial flower」とは「人工的な花」という意味。人工的と言ってしまうとネガティブに聞こえるかもしれないけれど、あえて人工的に作為(コラージュ・デザイン)したことで、写真や絵にも表現できない種類の「精神的な花」の「生」→「性」を強く意識することができている。言葉のない、30ページちょっとの本の中に、いつの間にか没頭し、コート紙に刷られた表紙は手垢でベタベタになった。
ただ、正直に言うとぼくはそもそもコラージュ作品があまり好きじゃあない。素材がよければなんとなくいい感じになるこの技法で、いいなと思える作家は過去に2、3人くらいしか知らない。メッセージが弱くても強くてもナルシシズムに傾倒するし、素材の切り取りのセンスも想像を超えてくることはない。偉そうなことは言えないけれど、心があまり燃えないのだ。
でも、この「artificial flower」にはいつの間にか没入してた。その理由の芯はまだ自分でもわからないけれど、DDNDZ RECORD と G文 の「個」と「個」の摩擦で生まれたコラボレーションの相性がとてもいいということだけはわかる。
会期中、もっとじっくりゆっくり眺めて、この共作 ZINE の魅力をみんなで掘り下げていけたらと思った。
花より花。 そう感じさせる素敵な ZINE です。ぜひ。
レビュー by 加藤 淳也
---- 以下 ZINE の詳細とそれぞれの街のこと ----
【 ZINE について 】
山形で活動するかれーらいすが茨城の crevasse さんを通じて京都と静岡で活動されるG文さんと知り合い、G文さんの土着的崩壊感にやられてしまったかれーらいすが共作でのZINEの制作依頼をし、オンラインでの一年の期間でミーティングやデータ、コラージュ、ペイントのやり取りを経て完成させた。
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