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三嶋さつき 連載 『ひびときめき、きょうてりやき』 〈46〉

2022/06/22
水曜日


何時に起きたかは忘れた。

最近、朝はNHKラジオをかけることが多いのだけれど、そこから宮沢賢治の「やまなし」の朗読が流れてきた。
中学生の頃、たしかこの作品がだいすきな校長先生が居て、直々に授業を受けたような気がする。
くらむぼん、かぷかぷ。この語彙がすごく面白いと思って、でも読解がとてもむずかしかったような。

そんなことを思い出した朝だった。


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2022/06/25
土曜日


朝、4時半に起きる。
今日は5時から展示会の設営です。
今朝は、昨日よりだいぶ暑い気がする。
外に出ると、空気がむわっとした。

昨日の夜、蔵前にあるゲストハウスNui.に到着。
スタッフさんと軽く乾杯をして、朝が早いのですぐに寝た。

Nui.の空間は、天井が高くて空気が良く循環するイメージがあったので
布の作品をつくることにした。
今まで登ったことのないくらい大きな脚立を使わせてもらって
テグスで一枚ずつ吊っていく。
お店の真ん中に大きな木があって、そこを猿のように登ったり。
高いところが苦手なはずなんだけれど、朝早すぎて感覚が麻痺していたみたい。

スタッフのけいかさんに助けてもらいながら、8時のオープンにはなんとか間に合いました。
朝ご飯に、コーヒーと小倉トーストを食べてゆっくりする。
10時に蔵前を出発、車で帰った。
(いつもタクシーで通っていた首都高を運転していることが不思議でたまらなかったし、ジェットコースターみたいで戸塚あたりまでずっと緊張していた)

帰宅すると、また森に吠えられた(わたしを置いてどこ行ってたんだこのやろう!というようなかんじで)。
そしてぐったり、くたびれてしまった。
まだやることをたっぷり残しているので、座らずにそのまま切り替えてがんばる。


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2022/06/28
火曜日


土曜日がんばったあと、日曜の朝、起きあがれなくなりました。
ここ数週間の疲れがぐっと出てしまったみたい。
あと、急に暑くなってしまって、そのせいもありそう。
日曜日はずっと寝続けて、月曜日はももこに今まで乗っていた相棒の車を譲った。
さようならモコちゃん。岐阜でも頑張れよ〜。
その後はすぐ布団に。
身体もだし、なんとなく心が浮かないかんじがつづく。

今日は、あたらしい相棒を迎えにいくので、朝から気合を入れる。
バスや電車を乗り継ぐと、2時間くらいかかった。
ちょっとした旅行みたいな気持ち。
人生ではじめての自分の車です。中古だけど。
ちょっと錆びてるところがあったり、加速をかけようとすると明らかにギアが変わるのがわかったり(笑)
古い車ならではの老いを感じるけれど、森と一緒に、だいじにだいじに乗ろう。


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2022/07/02
土曜日


今日も懲りずに晴れている。
朝、いつも効いているはずの冷房が止まっていて、暑くて目が覚めた。
窓を少し開けていたので、風が心地よかったのだけれど。
もう少しカラッとしてくれるといいなあ。

今日は久しぶりに、と言っても1週間ぶりだけれど、Nui.へ行く。
今週気持ち的にずっとひきこもっていたので、なんとなく世間から離れてしまっているような感覚。
こういう時は、都内に出るだけでものすごくパワーが必要になる。
1時間の電車の中で、少しずつ外モードに切り替わっていくようなかんじ。
ふう、行ってきます!


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2022/07/20
水曜日


すっかり時間が経ってしまいました。
日記は書いていたのだけれど、アップするところまで気持ちがもっていけなくて。
お待ちいただいていた方がいたら、ごめんなさい。


先週は、気圧の変化についていけず体調を崩してしまって、ほぼ引きこもり虫。
昨日からやっと、太陽の下で人に会ったり、仕事の打ち合わせをしたりできるようになりました。
ご心配をおかけしました。

蔵前での展示はあっというまに、ほんとうにあっというまに会期が終わりました。
お越しくださった方、見守ってくださっていた方、そして会場であるNui.のみなさん、ありがとうございました。
最後の数日は体調を崩してお店にも行けず、身体も心もひきこもり気味だったけれど、スタッフさんやお客さん、友人たちからの声はとても励みになりました。

お客さんの層がいつも以上に若く、すごくおしゃれな場所で緊張しっぱなしだったけれど、あまいものもごはんもおいしくて。
久しぶりに会う友人たちと一緒に食べたりすることがほとんどだったから、たのしい時間を過ごさせてもらいました。

布という素材をメインにした、はじめての試み。イラストレーターとして原画を出さないということに、葛藤もそれなりはあったのだけれど、わたし自身がテキスタイルというものに興味があり、たのしんで制作できたので今回はそれで良しとしようと思っています。
テーマでもある"匂い"という感覚は、わたしが制作したり、暮らしたりしていく上でとってもだいじな要素なのだと、鎌倉に住みはじめて再認識しました。
じぶん自身に戻れる軸のようなものというか。
ひとによってだいじなことはちがうけれど、わたしが"匂い"を通じて感じることがあるように、じぶんの作品を通してなにかを感じ取って、なんだったらちょっと心地よくなったり、気持ちがあかるくなったり、そんな存在になるといいなあと思う。

普段、わたしの作品をたいせつにしてくださるみなさまのありがたさを、ひしひしと感じた時間でした。


いま振り返ると、そんな感じ。
ひきこもっていた間、去年の作品をみたりしながら、もっと、純粋に描くことをたのしんでいきたいなあと思ったりもした。

いやっていうくらい、作品からそのエネルギーが出てきてしまっているので。

去年の方がエネルギーつよいじゃーん!がーん。

でも、いま描いている作品たちは、とってもたのしいし、なんなら描きながらじぶんが癒されているようなそんな気持ちにさえなるものたちなので、みてくれる方がどういう気持ちになるのか、また声を聞きたいなあと思っています。





そんな今日は、朝から久しぶりに晴れて、でももすごくむわっと暑く。梅雨の残り香のある夏!という感じ。
早起きをして、森の病院にいく。
今日は、はじめて行く大学病院でCTをとってもらうそう。
わたしですらとったことないのに。
午前中は血液の細かい検査など。
その検査を受けて、CTが取れそうだということになり、いままた待合室で森の帰りを待っているところ。
3時くらいまでかかるみたい(いまはもうすぐお昼の1時)。
おなかがすいたような気もするけれど、出かける気にもなれず、こうやって日記を書いたり、持ってきたパソコンで仕事をしたり、本を読んでみたり。
でもやっぱり落ち着かず、そわそわ。

どうか、無事に帰ってきますように。



三嶋さつき
イラストレーター、絵描き

http://www.satsukim.com/

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