issue 38 「溜まった鬱憤と忘れた記憶。カラオケで吐き出そう!」 by ivy
AV 男優のしみけんは言った。
「衝動買い、やけ食い … 何かを『入れる』ストレス解消法は根本的な解決にならない。ストレスは溜まるものだから、声出したり、運動したり、『出す』ストレス解消をしなきゃ」
うん。すさまじい説得力だ。プロの言葉は重みが違うね。
つい先週のこと。ストレスが溜まるに溜まった25歳の男三人組が平日の夜に集まった。いつも集まるおなじみのメンバーだ。やけ酒、やけ食いも悪くはないけれどたまには「出す」ストレス解消を!
向かった先は、カラオケ。あまり運動をしない文系体質の我々には、これくらいが丁度いい。懐かしの歌を絶唱して、一目も憚らず歌い踊れば、きっと日頃の鬱憤だって吐き出せるはず。
同年代でカラオケに行ったら、好きな曲だって近いはず。何より普段から色んな場所へ一緒に遊びに行く仲だ。ある程度の趣味は共有しているはず …。
いざ、運命の一曲目!これがびっくり、ラルク、小比類巻かおる、BAD HOP … テンで被らない。
ドライブのときには全然かけないような曲がラインナップを埋め尽くすんだ。2時間で取ったけれど、全然知らない曲が度々、出るわ出るわ …。
今でこそある程度同じ曲を聴いたり、同じような場所で遊んで、似たようなメンツとつるむけれど、当然そこまでの人生はみんなバラバラ。
体育祭の応援歌、親の車でかかった曲、昔の彼女がハマっていたバンド、反抗期の酸っぱい思い出 … 選曲には青臭いストーリーが詰まっているんだ。
ストレスを吐き出すだけじゃなく、過去の自分をさらけ出すようでなんだか恥ずかしい。今の自分からはかけ離れた選曲をしたとき、そのエピソードに話がなるわけだ。
こんな私も、必ずカラオケではラルクアンシエルの『Driver's High』を歌う。刹那な歌詞と、ポップなメロディ …。思春期のギザギザハートに染み渡った世界観が、未だに忘れられない。人生初彼女とのカラオケでも歌い上げた思い出の曲。
すべてのヒトに歴史があるのと同じように、歌う曲にも背景がある!恥ずかしいけれど、なんだか満たされた感覚になれる。これはやっぱり、ヘタな自分語りよりもよっぽど内面を吐き出して、共有した充足感じゃないか。
普段見せない顔を見せて、物理的に声を出すストレス発散!コロナ禍も落ちついたことだし、これからは定期的にカラオケでも行こうかな
イラスト:あんずひつじ
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