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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑦ Hayato Tamura 『Record Day One』(東京都足立区)

COLLECTIVE の開催まで1週間切りましたね。昨年よりも多いタイトルで開催を迎えることができそうです。みなさまご協力ありがとうございます。会期中も募集しておりますので、参加するかどうか悩んでいるひとも、これから作ってみようかなというひとも「まだ間に合います」ので、気軽にお申し込みください。特にこれから作ってみる、またはこれを機に作ってみるというひとの参加は大歓迎です。

昨日のレビューにも書いたように、ZINE にはキューブリックの映画『2001年宇宙の旅』における『モノリス』的要素が潜んでいると思っていて『タッチ』することで世界が広がります。デザインができるできないとか、文章が上手だとか下手だとか、センスがあるとかないとかまったく関係がないのです。まず「作ってみる」ことで気づけることがたくさんあるはずです。構成する力、受け取り手、読み手のことを思いやる力、アイデアを出す力、バランスを取る力、完成させる力、反省する力。日々の仕事や生活に必要なスキルとも言えるスキルが総合的に身に付くなと思っています。

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「何か形にして残す」という一歩を踏み出してみました。

ここにいるよ

東京都足立区からエントリー(それにしても今年東京多いな)の Hayato Tamura くんによる ZINE『Recor Day One』はいわゆる ZINE の数あるジャンルの中でも特に ZINE 然としている『日記型』の ZINE。極私欲的な表現が許される小さなメディアだからこそ、この『日記』という表現が生きてくる。日記とは、この世には誰でもない、なんでもないひとなんていないという証明でもある。陳腐な言い方だけれど「人の数だけドラマがある」。ある日、いろいろなタイミングが重なって買った一眼レフのカメラと MacBook でできた、いろんなタイミングが重なってできたこの1冊は、ぼくらは「ここにいるよ」というメッセージのようでもある。(アーティストじゃない、クリエイターじゃない、表現者じゃない、けど、「ここにいるよ」と声をあげるために ZINE が作られてきた歴史もある。)

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・バラバラの時系列並べ直す = 構成する力
・友人や俺が出てくる = 受け取り手を思いやる力
・インパクトのある写真を表紙に持ってくる = アイデアを出す力
・写真の位置や文字の位置を揃える = バランスを取る力
・有言実行させた = 完成する力
・何を撮りたいか漠然としてるけど続ける = 反省する力

もちろん荒削りな部分も多いけれど、「まず作ってみた」というファクトが、人を進化させる。他の動物と比べて人類が進化したのは、手先の器用さと嗜好があったから。目に見える進化はないにしても、嗜好の赴くままに指を動かして、ZINE を作るということは大きな進化の一歩なんだと思う。

誰のか知らない日記を買ってくれとは言わないけれど、このレビューを読んで、少しでも ZINE を作ってみようかなと思ってるひとは、自分の「やる気スイッチ」を買うと思って、手にとってみてはいかがでしょうか。


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


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作家名:Hayato Tamura(東京都足立区)
1985年生まれ。学生時代はドッグトレーナーを志たが紆余曲折し、今は牛の革を染めたり鞣したり売ったりして生計を立てる。
趣味として2年前にカメラを始めてみて、今回初めてZINEとして形に残す作品を作る。「楽しい思い出のため」という記録がメイン。
神奈川県南足柄の耕作放棄地にて大豆を作る「DAYZ.」力仕事担当。
https://note.com/hayatot8
【 地域の魅力 】
魅力ないとか言いながら34年住み着いてる所
【 地域のオススメ 】
① 千住の永見(居酒屋) ... 「千住で酒飲もう!」って言われたら最初に連れて行く居酒屋。ネイティブ下町。
http://www.senju-nagami.com

② 荒川土手 ... 金八先生でおなじみあの土手。
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kusei/profile/kanko/meisho/sonota/1006800.html

③ まるせん ... 焼き鳥1本30円のテイクアウト店。
https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132402/13159314

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