見出し画像

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー (64) セレーナ美花 『ゆらゆらするすきま』(東京都渋谷区)

COLLECTIVE ついに最終日。天気は快晴。よかった。体育館に並ぶ卒業生を見るような面持ちで、壁にずらっとならんだ、また、吊るされた、ZINE たちを眺めています。それぞれの個性が際立っていて、その表情(表紙)から、強い意思を感じます。COLLECTIVE 3期生のみんな、卒業、おめでとう! みたいな気持ちです。このタイトル1つ1つの、ひとりひとりに暮らしがあって、思考があって、未来があるんだと思うとなんだか不思議な気持ちになりますね。長い ZINE 生の中で、パークという場所を選んでくれてありがとう、と言いたいです。本当に。

それにしても1ヶ月あっという間でした。最初は20エントリーくらいしかなくて、その中で実際に届いていたのは15冊くらいで、心配だったんですけど、その後、口コミや SNS 、会場で ZINE に感化されて、これを機に作ったと言うひともいて、どんどん増えていったように思います。地域こそ東京が多かったけれど、世代も、10代〜60代までまんべんなく。全員に会えてないのが残念ですが、ぜひこれを一過性のものにせずに、今後も、COLLECTIVE をきっかけに、グループ展や、個展、イベントなどでご一緒できたらと思います。今後の活動、SNS でしっかりフォローしていきたいし、下支えしていきたい。パークにできることがあればできることはしたい。です。むしろそっちが本来の目的なので、

つい作家さん向けの文章になってしまってますが、レビューを楽しみに読んでくれたみなさん、そして会場にわざわざ足を運んでくれたみなさん、本当にありがとう!私は今日!卒業します!

さて、前置きが長くなってしまってますが、残り2冊のレビューが残ってます。今日で書き切ります、最後までお楽しみください。

画像2

私と世界のすきまで、ゆらゆらしているもの

全65タイトル目の64冊目。東京からエントリー。モデル活動をしながら、アクセサリー作りや、イラスト、映像表現など、幅広く活動するセレーナ美花さんによる ZINE『ゆらゆらするすきま』を紹介。表現活動するなかでいつか ZINE を作ってみたかったという中、COLLECTIVE がきっかけとなって創作を開始、無事会期中に間に合った!という一冊です(お疲れ様!)。「私と世界のすきまで、ゆらゆらしているもの。それはかわいい洋服だったり、写真だったり、イラストだったり。」。モデルとして活動するセレーナさん自身が被写体となって、撮影してきた今までの写真作品が中心の構成になっています。友人と、2人で、自分の「好き」をカタチにして身にまとい、思い思いに撮影。何より、彼女たちが一番楽しんでいて

「最強の2人」

感がすごい。岡崎京子の漫画みたいな。「いま、私たち、無敵」、という時間。こうしたものづくりのいいところって、その世界の中で、自分が主人公になれたり、誰にも介入できない世界ができたりするという点。絵であれ写真や映像、服作りであれ。それをロジカルに(あるいはロジックを立てずとも自分の中にバランスを置いて)磨いていくという作業の連続だと思うので、クリエイターや表現者を目指したいって人はまず「これやってるうちは私がいちばん無敵で最高」っていう環境づくりをするのがおすすめ。キャンバスに向かってる時の私、最強、誰にも止められない、とか、カメラを持って街を歩いてる時の私、最強とか、純喫茶でクリームソーダを目の前にしてる時の私、最強。とか、なんだっていい。クリエイティブって言うのは「自分が最強」と思える時間と空間と、ツールと、仲間と、を揃えるゲームなんです。あとはそれを代わりに説明してくれるひとが現れたり(こういう存在重要)、お金で買ってくれるひとが現れたり、「あなたの最強を私に分けてください」と、注文をしてくれる人が増えてきたりするんです。

画像2

話が飛びました。20代前半を駆け抜けるその若さ(時間)と、私たちが私たちらしくいられる場所(空間)、写真や服(ツール)、一緒に楽しめる友達(仲間)、それに『私の好き』が掛け算されて爆発しているセレーナ美花 ZINE。現実の『私』と、モデルとしての『私』、表現者としての『私』、きっとこのいろんな色の世界のはざまで、行ったり来たり、楽しかったり、うまく伝えられなかったり、大変なんだろうなと思う。無邪気に楽しんでいる瞬間もあれば、演出が加わったような物憂げな表情に、ぐっと胸を掴まれたりする。これに関してはさすがモデルというだけあって、絵に力がある。

画像3

誰かの「好き」を見てるとこっちも笑顔になれるなと思う。かわいい『お守り』みたいな感じで1冊、手にしてみるのもいいかもしれないです。同じく20代を駆け抜けるガールズたち、ぜひ。


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


画像4

作家名:セレーナ美花(東京都渋谷区)
モデル活動をしながら、アクセサリーを作ったりイラストを描いたり、映像を作ったり、表現で遊んでいます。曖昧で、不確かで、ちょっとおかしなかわいいものたち。
https://instagram.com/micah_sele
【 街の魅力 】
良い意味で敷居が低い。
【 街のオススメ 】
青山ブックセンター ... メジャーな本だけでなく、アートやファッション系のコアな本や海外の雑誌も多くあって、見てるだけで面白い。
http://www.aoyamabc.jp


🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️