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63)居るひとの日記 by いのうえあかね

「光」には目がいく。眩しさのことだけではなくて、ふと、ときめくものだってそう。だれかが大切にしているものにもそう。なにかしらのアンテナがはたらいて、どうしても魅力的に感じる。

昨日からパークギャラリーで始まったエキシビション『PARCHIVE(パーカイブ)』に並ぶ作品も、まさにそう。「光」を察知するアンテナが動く。そしてそれはとっても温かい。

よかったら今回のパーカイブに並ぶ作品ひとつひとつに感じた「光」を書いてみるので、読んでみてもらえたら ... 長くなりますが暇つぶしにでも。



たざきたかなり「友達はみんな用事があるんだってさ」より ーー

家族よりも友達と過ごしていた高校生時代。部活という名目の中、とにかく友達と過ごした。それはそれは『青春』をしていた。しかし365日毎日とはいかないから、ひとりの日だってある。だけれど友達のことを想う時間も大切にしたいと思ったりもする。たざきさんの作品、今回は公園がテーマのものを。タイトル『友達はみんな用事があるんだってさ』という、心情が伺える設定も最高だなと。いつものようにいつもの場所で集える友達も、たまにはそれぞれの都合で会えない日もある。自分だけが孤独な感じ。でもそんな時間も友達を想うための大事な時間で、ひとりの時間は切なかったりするけれどこの画角から見える温かい目線を感じてみてほしい。


taro「ORANGE GIRL」より ーー

均等なバランスの形や線が使われるようなデザイン的な絵は昔から好きで、その中に線の揺らぎを発見したときには喜びにまで変わってしまう。もうフェチといっていいかな。なにフェチと名付けるにはむずかしいのだけど(笑)。taro さんの作品にも出会った時からフェチ作用が働いている。絶妙な線の太さがとにかくなんだけど、その中に突如現れる人間らしい生きている揺らぎをいっしょに体感してほしい。遠目でみただけで満足しちゃいけないよ。


はるやまひろし「DREAMY」より ーー

パークにきたらいつか絶対に会えるイラストレーター・はるやまひろしさん(笑)!パークのこと知ってくれているひとには、絶対に一度は会って話してみてほしいなと思う。人柄もそうなんだけど、愛の追求心がすばらしいひとだから。今回納品してくれた作品も、作りたいものをしっかり作っているのがちゃんと伝わる。そういう形でも作品でたのしませるって才能。まさに「DREAMY」???ありのままの心で(歌詞っぽい)表現できるってすごいな〜。


いしいひろゆき「とうめいにんげん」より ーー

これまた貴重なのでは。いしいひろゆきさんが作家活動初期のころ、いまでは描けない自由な表現がすごいなぁとの、本人のことばでした。その自由な発想と〈自由〉な身になれるような気がする、とうめいにんげんの絵には褪せることない希望や未来を感じる。人生ネガティブばっかりじゃいられないよね。気分はすでに「とうめいにんげん」。いっしょにどうですか?


killdisco「うまといぬ」より ーー

数年前、なんなら上京前に絵を気に入って買ったポストカードがあるのだけれど、当時は作家さんの名前がわからないままでいて、この展示をきっかけにそれが killdisco さんの絵だったことに気づいた。こんな出会いがあるなんて。白と黒ってわかりやすくっていい。ただ色に縛りがあるからこそ、テクニックが必要になると思う。そんな不自由さもなんなくこなす、killdisco さんの絵ってすごいよ。曖昧であるはずなのに、ちゃんとした個性があって、プロの腕を見るがよい ..!


YAOKI TOSHIE「figure#1」より ーー

形、感触、質感。目で見るだけで体感できる YAOKI さんの作品たち。「モノの形を組み合わせる」にはとことんこだわる YAOKI さんの表現は、まるでゲーム感覚のように、パズルのピースが当てはまった感じで気持ちいい。今回は版画(シルクスクリーン)をつかっているので、不透明な部分も魅力の一つ。まだまだ YAOKI さんの形を探ってみよう。


OJIYU「共闘」より ーー

OJIYU さん自身の人間臭い(いい意味)マインドがこの作品でひとめでわかる。「やったるぞー!」って力強さ、こんな時代だからこそ必要だと思うし、自分らしくって本当大事。木材を使うからには木目を感じさせる、素材の大事な部分そのままに。まるで綱引きみたいな感情とリアルを感じさせるパワーがこれにはある。実物の迫力をぜひ。


下司悠太「この小さな世界、美しいものすべて」より ーー

ちょうど今日在廊していて、いろいろと話した。原始的な心を持った大変おもしろいひとだった。展示される作品集は、そんな人間の根本の部分でしっかりたのしませるといった、下司さんなりの親切マインドで作られていて、紛れもない美しいもので溢れていた。「生きてる」ってかんじ。


Hana Kobori「Moon」より ーー

たわいもない日常の風景を、作品として切り取って発表するのってかなり頭を使っている気がする。いかにそれを魅力的にみせるのか、個性を出すのか。だから『写真』っておもしろいし難しい。Kobori さんのその瞬時な判断力がこの一瞬に見えてくると思う。それにみんなが感じたことには、間違いはないとおもう。きれいだな。


小泉綾子「デモ」より ーー

小泉さんって、ほんとうに奇才だ。やることやることに意味がありすぎて、会う度、話す度になにかを放出してくれる。「これをああしたい」その角度がいつもみんなとは違っているように感じる。真似したくても真似できない。今回は自分で書いた文章をさらに解読していくといった見せ方で、わたしたちをたのしませる。「これはああ」なのだ。


むらいゆうか「買い物中雨に気づいたショックな女の子」より ーー

むらいさんの作品は、むらいさん自身がまるで鑑賞者に話しかけてくるかのような表現に思える。「絵」で、そのくらいの距離感を感じさせることってできるんだな。至近距離で近づきたくなる。その結果、マニアックなところをいうと、むらいさんの描く髪型が本当に好き(笑)。わたし好み。そんなマニアックなファンをも作らせる、むらいさんの絵に近づいてみて見てほしい。


WOWs™「Native Heroes」より ーー

まさに新進気鋭なアーティストとの出会い。まるで2時間の映画でも見ているかのよう。確定されたモチーフだって、WOWs™(ワウ)さんのアドリブ力にかかればこれ以上ない。奇抜さも美しく魅せてしまう。制作活動を始めて1年足らず、今回特に注目してもらいたい作家さん。

この期間、紹介した作家さんもそれぞれ在廊していると思うので、あなたが感じた「光」も伝えてみてください。きっとお互いに大切な時間となりますから。


パークギャラリーに居るひと・いのうえあかね

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