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satsukim 連載 『ひびときめき、きょうてりやき』〈1〉

2021年5月のある日曜日。
快晴、夏のような雲があり、すこし風がつよい。
昨夜の嵐の余韻か。


朝は9時ごろ目が覚めた。
4月から会社の仕事を休ませてもらって1ヶ月、朝はかなり早起きが続いていたのだけれど。月末にポケモンスナップをゲットしてから夜はポケモンをスナップしまくっているおかげで、朝は眠たい。まあでも、日曜日だからいっか。ついでにゴールデンウィークだし。

そんなかんじで、じぶんを甘やかしてきた1ヶ月。おかげですこしふとった。そういえば少しからだが重たい気がする、と思って、そう、今日から朝においしいプロテインのドリンクを飲むことにしてみたのだ(お昼と夜はちゃんと食べるつもり)。成果があったら、またどこかで。


そのドリンクをささっと作って飲み、天気がいいので洗濯機をまわす。
空気のにおいが、完全に夏のものになっている!

ただすこし風が冷たそうなので、冬物セールで安くなっていた赤いスウェットと、ユニクロの歩きやすいズボンを履いて散歩に出かける。今日はかんたんなフィルムカメラを持って(愛称かんたんカメラ)。

すごく風がつよくて、森がざわざわ、びゅんびゅん鳴っている。北鎌倉あたりまであるいてぐるぐるするつもりだったけれど、家のちかくに気になっていた森への道があったので、思いきってそこに入ってみると、ちゃんとつくられた道ができていた。「切通し(きりどおし)」というらしい。鎌倉あたりにはこういう道が多くて、古い歴史が垣間見えてたのしい。しっかり山道だったが、近くのコンビニでいくような服装で来てしまった。靴もスニーカーだし。岩の道もあったので、すべらないようにしながらゆっくり歩いた。

時折吹く風によって森の影と光がきらきらうごいてみえる。だれもいなかったので、マスクをすこしはずして思いっきり息を吸い込んだ。

〜〜〜〜〜〜!


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前にも一度、早朝にあるいてみたコースに入っていくと、あたらしい紫陽花などが植樹されていた。紫陽花が綺麗に咲くといいなあという思いと、整備されすぎてなくて野花ばかりのこの感じもすごくすきなのになあと、すこし複雑なきもちになる。

展望台につくと、きもちのいい景色がひろがった。海も街も、木々のあいだからすこし富士山も見えた。

先にベンチに座って、遠くの街を眺めていたおじいさんが、「風がつよいねえ。でもこの時期、富士山がこんなに綺麗に見えるのはめずらしいんだよー。1月2月くらいはよく見えるんだけどね」と、教えてくれた。

このちいさな山は、すれちがうのはだいたい近くのおじいちゃんおばあちゃんが多い。そこがすき。


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PARK で買った SUNDAY STEAK のショルダーバッグがすっかり散歩のおともです。

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久しぶりに持ってきた "かんたんカメラ" でシャッターをたくさん切った。あとで現像してもらってこよう(載せてあるのが、現像したてほやほやの写真です、写したい野花には一切ピントが合わなかった)。つぎはスケッチもしようかなあ。

ちょっと前にあるいた時よりも、いっそう緑がもりもり、わさわさとしていて季節のながれをぐっと感じた。


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〈展望台からの景色のスケッチ〉



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初回のあとがき


今回から、PARK GALLERY のウェブマガジンのほうで文章を書かせていただくことになりました。イラストレーターの satsukim です。みなさま、いかがおすごしでしょうか。

都内から鎌倉に引っ越してきて半年ほどが過ぎましたが、この山のちかくで暮らしていることは、わたしの生活や作品の制作において、とても自然なことだと感じています。

秋、紅葉する山を見ながらあるくこと。冬、どんどん裏山の葉が落ちていって枝ばかりになると、住んでいるタイワンリスの様子がよく見えること。春、その山々が芽吹き始めて山桜があるのを発見すること。そしてこれからくる夏は、どういう表情になるのだろう。

ただ目の前にある景色なのに、1日1日少しずつ表情を変える姿に目が離せなくなりました。


すごく都会的でおしゃれな絵を描くことに憧れをもった時期もありましたが、わたしにとって自然な絵は、いま見えるものや感じたことをうつしとるようなことなんだと、感じています。

また5年後、言ってることが変わるかもしれませんが、その変化もたのしみつつ暮らしていこうと思っています。


そんな、わたしが暮らす中での記憶や記録を、絵と写真とことばで残していけたらと思います。今は久しぶりにフィルムカメラで写真を撮るのがたのしくって、本職を忘れそうになっていますが!

これから、絵も描いてきます。


少し夏の匂いが薫りはじめた日より


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satsukim
イラストレーター、デザイナー
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