satsukim 連載 『ひびときめき、きょうてりやき』 〈18〉

夏みたいに暑いが、カラッと涼しい風が吹いている日。


今朝、ゴミを捨てに外に出たら金木犀のあまい香りがした。
いつものごとく、いぬにはやくに起こされたので、とりあえず朝ごはんをあげ、二度寝してしまった怠いあたまがスッキリと晴れたみたいだ。

この土日は、ばたばたとしながらも仕事に集中した。
なぜなら先週の水曜日にワクチンを打ちに行って、休みを取ったりしていたので。
万が一何かあったらまずいと、実家から母がヘルプに来てくれて、いぬを見てくれたりした。
ワクチンを打つ前、不安と緊張でまったく仕事に身が入らずだったが、打ち終わってからの方がけろっとしていた気がする。
（人によって個人差がとてもあるよう。わたしはファイザー社のものでした）
思ったよりも軽い症状で済んだので、すこし掃除をしたり、仕事の絵も描いてみたり。
市役所に行って、やっと保険証や年金の手続きなどもできた。
大きいところから離れると、一つ一つ、じぶんのために手続きをするという感覚ができて、面倒くさいこともあるけれどなんかいいな。
会社にいると、税金のこととか保険のこととか、特に考えずに過ごしていたので。
必要なことなのかどうか、ちゃんと考えるきっかけにもなっている気がする。
あと、美味しいコーヒーが飲めるカフェにも行けたし、いい休みになった。

母が帰ってからは、いぬのご飯の時間と散歩以外のメリハリが特にないような、個展前のような集中度で部屋にこもっていた。
映画も観に行きたい、読みたい本もある、ゆっくりお風呂に入りたい・・・。
あれ？わたし何かに追われている？
と思い、夜寝る前に YouTube でお気に入りのヨガをやったら、知らない間に寝ていた。
わたしはちょっといそがしくなると、息をしなくなるし、せかせかそわそわしてそれ以外が見えなくなってしまう"たち"。
でも、いぬがうしろで大きいいびきをかいて寝ていたり、秋の虫の声が聞こえてきたり、空気の匂いが変わってきたり、そういうことではっとして、少し地面から浮いたたましいみたいなのを元に戻せるような気がする。


そういえば、前回の日記に書いたあたらしい手帳が届きました。

何かの雑誌で、フリーランスの人は赤い手帳をもつとよいと書いてあったのをみて影響されたので、赤いカバーの「ほぼ日5年手帳」を買った。
最近、予定はカレンダーのアプリに入れておくことが多く、荷物もなるべく少なくしたいので手帳は持ち歩かないことにして、大きめのサイズのものにしてみた。

5年前、わたしは愛知で芸大生をしていた。
5年後、わたしはどこで何をしているのだろう。
特に具体的なプランがあるわけではない。
森（いぬ）もいっしょに、健康にたのしく過ごせていたらじゅうぶんだなあ。


ワクチンを打った次の日、左腕が痛くて何もやる気にならず、横にいるいぬをスケッチした。

夏の虫の声と、秋の虫の声がまざる季節だ。
今週末は、パークのいのうえさんと企てたことをするので、たのしみだ。

satsukim
絵描き、たまにデザイナー
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