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三嶋さつき 連載 『ひびときめき、きょうてりやき』 〈45〉

2022/06/09
木曜日



7時に起きて、いつものように犬の散歩。
今日はちょっとちがうコースを歩いてみた。
夜、散歩に出られないかもしれないと思って、すこし長め。(ほぼ抱っこ)

お昼から、熱海に行くのです。
半分仕事、半分くらいは小旅行の気分。
車の調子があんまり良くなかったので、電車でのんびり向かうことにした。
ぼんやり曇ってはいたけれど、そこまで暑くもなくちょうどいい。
小田原より先の東海道線に乗ったことがなかったので、景色が新鮮だった。
海のすぐ近く、でも高いところを走っていく。

熱海の2つ手前の真鶴で下り、今日案内してくださる鈴木さんと合流。
熱海の仕事でお世話になっているデザイナーさんです。
その仕事で描いた絵が熱海の街中にあるということで、見に来ました。
道は、なんだか地元を思い出すようなうねうねカーブがたくさんあって、なおかつあのあたりは坂が多いみたい。
先に向かった熱海の街は、巷の喧騒からはなれた空気があって、でもどことなく落ち着く不思議なかんじ。
ひと昔前はすっかり寂れてしまっていたけれど、最近また息を吹き返してきて活気付いているそう。
網代の港の方や街中をすこし散策したり、お昼には美味しい美味しいお刺身定食をいただいたり。
網代から見える海や山の景色がとっても良かった。
お昼過ぎだったので、港の仕事は終えられて静かだったのだけど。
そういえば、港町は朝がはやいのだな。

熱海のまちにある、魚たちは風になびいて泳いでいるみたい。
わたしはこういう仕事がしたかったし、したいと思っている、ということをこの絵で思い出した。
という話を、つい、してしまいました。
街に近く、生活に近く、馴染む、でも彩るような。
来れてよかったなぁと思った。


熱海を案内していただいたあとは、真鶴へ。
ずっと行ってみたかった場所。
なんせ最初は読み方もわからずだったけれど、知り合いのイラストレーターさんが移住していたり、今回案内してくださった鈴木さんもお住まいになっている。
あえてここを住む場所に選んだ理由が気になって、ずっと行ってみたかった。

熱海よりももっと細いうねうねうねの道を車で進み、歴史的な浜や、森や、石を見た。
真鶴の岬からは、三浦半島と伊豆半島と相模湾と、はっきりと初島が見える。
真鶴では、石の採石が活発で、今でも港には漁港と石の港が並んでいる。
石の名前は、、、わすれてしまいました。(小松石でした)

その後は車を降りて街中をすこし散策。
とにかく坂が多い!涼しかったとはいえ、6月の湿気で蒸し蒸しとしていたので、結構疲れてしまった。
でも、ここに住みつづけた人たちはこれがふつう。
いいなあ、と思った。

高いところから見下ろした漁港からの海は、すこし地元の海を思い出すような、懐かしくてやさしい景色だった。


夕方、すこし早い時間に駅前の居酒屋さんで、イラストレーターの山田さんも合流して乾杯。
お昼の定食が山盛りだったのでおなかいっぱいだったのだけれど、お店のおつまみが美味しくて食べてしまう。
しらすおろしや、焼き鳥など。
お店の感じもすごく好きだった。

すこし飲んだあと、今日は海で夜光虫が見えるかもしれないからといって、山田さんの奥さまの車で漁港にもどる。(お仕事終わりにありがとうございました!)
へりのところでさがすと、ほんのり光る夜光虫がいる。
はじめて見るものだからわたしは十分感動していたのだけど、もっとあるはず!とみんなで港の奥のほうに探しに向かうにつれ、街のこどもたちやその親御さん、おじいちゃんおばあちゃんも、どんどん増える。
気づくとちょっとしたお祭りのようになっている。
みんな、夜光虫がいる日のカンが働いたのだろうか?
その景色がすでにとってもよくて、にたにたしてしまう。
山田さんが持ってきた長い棒を使って、こどもが海をかき混ぜたりしている。
みんなが言うとおり、その日は港の奥のほうに夜光虫はたまっていて、刺激を与えるとチカチカと光った。
魔法みたいに神秘的で、宇宙みたいだった。
いつも見れるものではないから、こんなにたくさん見られたのはラッキーだったみたい。
大人もこどもも関係なく和気藹々と海を見ていた。

この数時間だけで、真鶴という場所のことがとてもすきになった。

帰りがつい、遅くなってしまって家に着くと、めずらしく森に吠えられた。


熱海のまちなかに。うれしい。
夜光虫発光!!!!!鈴木さん山田さんありがとう



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2022/06/11から12
土曜日と日曜日



6時半に起きる。
日記をつけていても、えらい活動的だなあと感じるが、大阪に行ってきます。
今日は森もいっしょに。

朝ごはんは新幹線の中で、品川で買ったメルヘンのフルーツサンドとカフェラテ。
空は雲が重たく、富士山は見えず。

ルクアイーレで始まったイベントで販売するグッズを納品がてら、お店の方にご挨拶(ミーツニュースタアのスタッフさん、みんな良い方で本当に助かりました)。
森もご挨拶(どこ行っても人気者で何よりです)。
バタバタとしていたら、5月の企画展で作品を買ってくださったお客さんが偶然来てくれた。
会えて、笑顔がとっても素敵な方で、とってもうれしかった。帰り際に握手をした。
その後、高校の同級生たちが来てくれた。
ゆっくりお茶していたら、上の階からまきちゃんも来てくれた。
みんなひさしぶりで、嬉しい。
また大阪には来させてもらえそうなので、がんばります。

少しだけお店の前で居させていただいて、その後同級生たちと京都へ向かうことに。
当初は日帰りのつもりだったのだけれど、いぬも宿泊できる宿を見つけたので、ゆっくりすることにした。
目的は、Lenの皆さんに会いにいくこと。
2月の展示でお世話になった皆さんはお変わりなく、おかえり〜と迎え入れてくれた。
ちょうど、unpisさんの展示もしていたので少しだけ見させてもらう。
いぬを抱っこしていたので奥までは入れなかったけれど、可愛かった。
お昼ご飯を食べ逃していたので、はやめの夕ご飯。
2月はコロナと寒さでエントランスは閉めていたけれど、今の時期開放していてとっても気持ちが良い。
ご飯は言わずもがな、ぜんぶ美味しかった。
スタッフさんだけでなく、常連さんたちからもひさしぶりー!と声をかけてもらう。
みんな元気そうでよかったー。

ふだん人に会う機会が少ない分、こういう時間はわたしにとって貴重だし、ふわふわする。
栄養をいただいているような感覚になる。
雨の中夜の9時ごろ帰ったけれど、気持ちはふわふわ浮き上がっていた。

次の日は7時半ごろ起きて、はやめにチェックアウト。
鴨川を森と散歩したくて、歩いていく。
昨日とはうってかわって晴天!もう暑い。
高瀬川沿いも、鴨川沿いも、歩いていて気持ちよかった。
わたしは川沿いがすきなんだなあ。

お腹も空いたので、またLenに行ってモーニングを食べる。
クロックムッシュ美味しかった。
みやむーさんと少しおしゃべりして、出発。

kumagusukuの足立さんに会いに行ってきました。
ご挨拶できてよかったー。
場所の空気がとってもよくて、置いてあるものも素敵で、とってもすきになった。また行きます!

帰りの新幹線は、いぬも人間も熟睡。

まきちゃんありがとうー!


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2022/06/17
金曜日



6時半に起きる。
今日は、朝一で森の眼科へ行く。
7月に控えている手術の術前検診です。

9時に病院。
何だかいつもと違うぞ、というのを感じとったらしいのか、病院について抱きかかえてから森はしばらく震えが止まらなかった。
血液検査とかレントゲンとか、あといつもの目の検査とかをいろいろやって、大丈夫そうであれば次の手術に備えるみたい。

1時間くらい車で待機。
むしむしするから窓を全開にして、その間に溜めた日記を書く。

検査結果が出る。
目の状態は変わらずだが、血液検査とレントゲンで、肝臓(数値が高い、人間みたい)と膵臓(ここには良いか悪いかわからないが腫瘍があった)が良くないということがわかったみたい。
肝臓の方は、とりあえず薬(これも人間みたい、というか人間も飲む薬)で落ち着くか様子を見て、膵臓の方は目と一緒に手術することになった。
肝臓がよくならないと、麻酔を打つリスクが高くなってしまうみたい。
聞いたときはよくわからず、多分ふわふわとしていたけれど、改めて考えるととても怖くなった。
天国のランちゃん(ラブラドール、目が見えなかった)が、はやめに治した方が良いよと教えてくれたんだと前向きに捉えるしかない。

面談の後、もう一度採血など精密検査をしてもらって帰宅したら13時前だった。
いぬもわたしもすっかりくたびれた。

このままいぬと一緒に大いびきをかいて横になっていたい気持ちでいっぱいだったけれど、働かないと。
いぬの手術代は、当初の倍になった。
どうか森が、この夏もすこやかにすごせますように。 




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2022/06/19
日曜日



8時半に起きる。
久しぶりに朝から太陽が照っている気がする。
最近のズーンにより、朝が重たい。

昨日今日は、ひきこもって何かしら手を動かし続けている。
我ながらこの集中力、ずっとつづけばいいのに。
ハンカチを縫ったり、絵を描いたり。
いつもお世話になっている人たちにハガキも書いて送りたい。
ベランダの紫陽花を植え替えたい。
部屋に掃除機をかけたい。

ひとつひとつ、じっくりやっていくしかねーべなーあ。

ちょいと、あわただしい梅雨です。
縫い物をしているとき、瞑想のような感覚になるので結構たのしい。


三嶋さつき
イラストレーター、絵描き
http://www.satsukim.com/

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