猫背で小声 season2 | 第18話 | 例の礼
今年1月。
季節は寒く、気持ちは冷めてゆくけれど感受性が高まる日々を過ごしていた。ぼくはいつものように仕事をしている。いつからか仕事をさせてもらえている立場にもなった。
仕事が終わり、家へと帰るため電車に乗る。
いつも乗る電車は同じで、いつも同じ車両に乗る。
疾病からくる几帳面な横顔が車内全体に拡がっている。
車内に入ると時刻はまだ 17:40 。
隙を見て車内に座る。
毎度毎度仕事で疲れているので目を瞑(つむ)るひととき。
現実を忘れるためには必要な時間。
少し息を吐く