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猫背で小声 season2 by 近藤学

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猫背で小声がちょうどいい、会社員・近藤学による人気エッセイのシーズン2。人生の半分を『自分磨き』(ひきこもり)に費やした青年が、社会の窓を開いて外に出るまでの小さな物語をシーズン…
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2023年3月の記事一覧

猫背で小声 season2 | 第14話 | オカン、一言多い。 けど、一品多い。

ある日、 というか あの日、 オカンの誕生日が近づいていた。 今までプレゼントを何もあげてこなかったわけではないが、ふと、なにか印象に残るものをあげたくなったのである。 オカンの好きなものは「花」。 家のリビングには気づくと花が飾ってあったし、今ではオカンとぼくしか行かなくなったけれど、先祖のお墓にも花を買って添えるほど強い想いがあるのだと思う。 そんな姿を軽いタッチと深い気持ちで注視していたぼくはある人の顔が浮かんだ。 パークギャラリーでお世話になっている「

猫背で小声 season2 | 第13話 | コメディ No.1(下)

後編。 帰り道、店でお酒を2杯ほど飲んだのだが、いつもより酔いはまわっている。 いや、「酔い」というより今日の自分のはじめての一人飲みという行動と、とても愉しかった空間が、自分の身体を侵食しているのだ。 「宵」がまわる。 家に着く。寝る。寝れない。 お酒を飲んだのに。 そんな夜もあるさ。 そんな日もあるんだね。 浅い眠りの中、夜は明けた。 少し眠っても、数時間前の出来事を想い出す。忘れられない。 不登校。 引きこもり。 精神疾患。 昨日の自分。 これらはす