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「こんにちは」を流行らせたい。

パリに住む前のことだが、
フランスによく旅行するようになって
気づいたことがある。
フランスでは、
人と会う時だけではなく、
お店に入る時や、
道で誰かに何かを尋ねるときにも、
どんな時も、
まず必ず "Bonjour !" 
つまり、「こんにちは!」というのだ。
道ですれ違う見知らぬ人や、
ホームレスの人とも、
目が合えば、Bonjourと言う時もある。

これはフランスに限らないと思う。
黙ってお店に入るのは日本だけだろうか?

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それに気付きだしてから、
「こんにちは」がとても気になりだした。
日本で「こんにちは!」という言葉を
頻繁に使うだろうか?と・・・。
「おはようございます」は必ず言うけれど、
「こんにちは」ってどうだろう??
メッセージのはじめとか、
ほんの少し距離のある知り合いとか、
使う機会は、あまりないかもしれない。

思えば、
スターバックスが日本に上陸した頃、
銀座松屋の裏にある、
それまでにはなかった雰囲気の
いい薫りが漂うカウンターで
お店の女の子に「こんにちは!」
と軽やかに挨拶され、
どう答えていいやらわからず、
なんとも照れくさいような、
不思議な気持ちを覚えたものだ。
小学校の頃、これまたアメリカから
初上陸のデニーズに連れて行かれ、
「デニーズへようこそ!」と
迎えられたあの時の、
ちょっとした衝撃にも似ていた。

フランス人の友達が
ある日、私に打ち明けた。
駅の窓口で、列車の切符を買う
日本人観光客を見たらしい。
「その人ね、窓口の人に『こんにちは』って
言わなかったの。びっくりした」
と言うのだ。
さも、マナーの悪い人を見たかのように。
もちろん、私はすかさずフォローした。
日本では、そういう習慣がないし、
「こんにちは」なんて
窓口の人に言ったら、
逆にびっくりされてしまう、と。

友達は、それを聞いて驚いていた。
無理もないと思う。
お店に入ったら "Bonjour" と言うし、
出る時は必ず "Merci" というのが普通だからだ。
本屋さん、お肉屋さん、スーパー、
お花屋さんなど、どこでも。
たとえ何も買わなくても、
見せてもらったので 
"Merci !" と言って出る。
その後に、"Bonne Journée !"
(ボンヌジョルネ=よい一日を)とか
"Bonne soirée !"(ボンヌソワレ=よい夜を)
笑顔で言い合うので、なんとなく
「人と関わってる感」を持つことができる。

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「こんにちは」の語源を調べてみると、
「今日は、ご機嫌いかがですか?」が
省略されて「今日は」になったようだ。
そんな素敵な後半が隠されていたなんて。

それなら、これから使ってみよう!
そう思って、日本に帰った時、
スターバックスで「こんにちは!」と
今では笑顔で挨拶している。

今度は、新幹線の切符を買う時、
デパートのインフォメーションで
売り場を聞く時、
「こんにちは」から始めてみようかな。
それこそ、一期一会。
その一瞬はもうその時しかない、
何千分の、何万分の一の出会いだ。
同じ時代に生きているのも奇跡なのだから、
そう考えると、
単位がなくなって、何分の一かなんて
言えないくらいの出会いなのだ。

「こんにちは」って
誰にでも笑顔で言えたら
もっと素敵な世界が広がるかも!

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