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7−1:三つの誤解

学校や病院、企業の中にある総務部やシステム部、おそらくどれも思うように成果を上げていないでしょう。それはなぜなのか説明できますか。

①企業のようにマネジメントしていないから?
②人材がいないから?
③目的や成果が具体的でないから?

こうした回答が浮かぶかもしれません。でもこの3つは全て誤解です。そもそも私たちは公的機関や企業内のサービス部門について上記のような3つの誤解をしています。

まず、これらの誤解について理解し、正しく理解しましょう。

◆◆◆

◆三つの誤解

①企業のようにマネジメントしていないから?
②人材がいないから?
③目的や成果が具体的でないから?

上記三つはどれももっともらしい理由ですよね。
でも、ドラッカー先生はこれらは理由ではない、言い訳だと言います。

公的機関不信の原因としてよくあげられるのが、次の三つである。①企業のようにマネジメントしていない。②人材がいない。③目的や成果が具体的でない。いずれも弁解にすぎない。

なぜなのか、三つの誤解について詳しく見ていきます。


誤解① 企業のようにマネジメントすべき

「公的機関が成果を上げないのは、企業と同じようにマネジメントされていないからだ」と言われれば、納得してしまいますよね。

しかし、同じ組織でも「企業」と「公的機関」は異なります。だから、企業と同じようにマネジメントをするべきではありません。

仮に、公的機関を企業と同じようにマネジメントしたとしましょう。コストを意識して、業務を遂行するようになり、効率を上げることができるかもしれません。でも効率が上げるだけです。成果を手にできるという訳ではありません。

公的機関の問題の根本にあるのは、成果を上げられないことです。

効率を上げたところで、成果は上がりません。

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誤解② 人材が欠けている

「公的機関は企業と異なり、人材が欠けている」というのも納得してしまいます。

しかし、それは企業も同じことです。どんな組織であれ十分に人材を揃えている訳ではありません。

もし仮に企業の人間が公的機関のマネジメントに任命されたとしましょう。
彼は今いる官僚よりも上手くやれると思いますか。恐らく数年後には今の官僚と同じような仕事をしているでしょう。

公的機関に人材が欠けていると言うのは言い訳です。


誤解③ 公的機関の目的と成果が具体的ではない

「公的機関は目的と成果がない」と言うのも納得いきそうですが、これもまた間違いです。

そもそも事業の定義は抽象的にならざるを得ないものです。
企業も公的機関もその定義は抽象的です。

企業の定義を見ていきましょう。
・アメリカの百貨店シアーズ社の定義:「一般家庭のためのバイヤーになる」
・イギリスの小売店マークス・アンド・スペンサー社の定義:「階層を破壊する」
どちらも具体的ではなく、極めて抽象的ですよね。

公的機関の定義も企業と同様に抽象的です。例えば、協会の目的は「魂を救済する」ことであり、学校の目的は「全人格の発達」なんて具合です。

企業も公的機関も抽象的な目的を持つと言う意味では同じです。

加えて、企業も公的機関も測定可能な目標を設定することはできます。
企業の目標は「女性顧客の来店人数を増やす」、協会の目標は「若い人を協会に惹きつける」、学校の目標は「小学三年生までに本を読めるようにする」などです。

企業も公的機関も抽象的な定義と具体的な目標を持つという意味で同じです。

◆◆◆

最初に提示した3つの問いについて考えていきます。

①企業のようにマネジメントしていないから?
→企業と公的機関は異なるので、企業と同じマネジメントは無意味です。

②人材がいないから?
→企業も公的機関も同じく人材はいません。

③目的や成果が具体的でないから?
→目的が抽象的なのは、企業も公的機関も同じです。

さて、これら3つの誤解は解けましたでしょうか。

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