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5−2:戦略計画とは何か

前回のnoteの中で、戦略計画にありがちな4つの誤解について説明しました。

①戦略計画は、手法をまとめただけのものではない。
②戦略計画は、予測ではない。
③戦略計画は、未来の意思決定に関わらない。
④戦略計画は、リスクを避けるためのののではない。

先に誤解を解いた上で、戦略計画について説明します。

◆◆◆

◆戦略計画とは

戦略計画について、ドラッカー先生はこう結論づけています。

戦略計画とは何か。それは、①リスクを伴う起業家的な意思決定を行い、②その実行に必要な活動を体系的に組織し、③それらの活動の成果を期待したものと比較測定するという連続したプロセスである。

①リスクを伴う起業家的な意思決定を行うもの
ビジネスとリスクは共存しています。リスクを最少にする、リスクをなくすというのはビジネスにおいてあり得ません。リスクを正しく認識した上で意思決定を行う必要があります。また、起業家的な意思決定も必要です。過去の成功に囚われず、常に変化する顧客の欲求に合わせて意思決定を行う必要があります。

②実行に必要な活動を体系的に組織するもの
計画を実行するために、必要な活動を決めて、適切な人員配置をしなくてはなりません。

③「事前に期待したもの」と「活動の成果」を比較するもの
戦略計画を立てたときに活動結果を予め予想しておきます。活動が終わったとき、その予想と結果を比較してみます。

戦略計画とは、上記①〜③のプロセスをひたすら繰り返し行うことです。

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◆既存の事業を捨てる

最初にすべきことは既存の事業を「捨てる」ことです。

まず、あらゆる種類の活動、製品、工程、市場について、「もし今日これを行っていなかったとしても、改めて行うおうとするか」を問わなければならない。答えが否であるならば、「それではいかにして一日も早く止めるか」を問わなければならない。さらに、「何を、いつ行うか」を問わなければならない。

ドラッカー先生は、企業家に対して「ここ半年であえてやめたことはありますか」という質問をよく投げかけていました。それは「捨てる意識を持つ」ことが極めて重要だからです。もちろん既存の事業をより拡大して取り組むべきである分野もあります。しかしながら、それだけでは未来の顧客が求めるニーズに応えることができません。

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今は顧客が多くいる事業であっても、顧客の欲求は変化し続けます。

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気付いたときには顧客の的外れの事業になっている危険があるのです。


◆何を、いつ行うか問う

未来の顧客の欲求を満たすためには既存のものを捨てて、何に取り組むか考える必要があります。加えて、いつ行うか問うことも必須です。それが結果的に取り組むべきタイミングを決めることになるからです。

「何を行うか」を問うだけでは、問題の一面を取り上げたに過ぎない。「いつ行うか」との問いも同じように重要である。何故ならば、この問いへの答えこそ、新しい仕事に取り組むべきタイミングを教えてくれるからです。

例えば、タピオカドリンクが流行ることを予想して、そこに新規参入することを決定したとします。しかし、参入が早すぎれば事業の維持費が余計にかかり、遅すぎれば市場は飽和状態となってしまいます。適切なタイミングで参入しなければ期待以上の成果を上げることは難しいでしょう。

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◆人材を割り当てる

仕事をするにあたり、人は欠かせません。仕事に適切な人材を配置することで、成果は生まれるからです。

最善の戦略計画さえ、仕事として具体化しなければ、よき意図にすぎない。成果は、組織のなかの主な人材を割り当てることによって決まる。


◆戦略計画の役割

企業家は例外なしに意思決定をしなくてはいけません。マネジメントは意思決定を伴うものだからです。ただし、企業家が行う意思決定には違いがあります。その違いは、「責任ある意思決定」になるか「無責任な意思決定」になるかというものです。

・責任ある意思決定:成果が出る可能性をしっかりと考慮に入れて行う。
・無責任な意思決定:でたらめに行うこと。

戦略計画を立てるのは、企業家が行う意思決定を責任あるものにするためです。

リスクを伴う意思決定を行いたいか、行いたくないかは問題ではない。マネジメントは、その責務と成功についての妥当な可能性を考慮に入れつつ行うか、でたらめに行うかだけである。

ただし、戦略計画が提供するものは答えではありません。
戦略計画は仕事を体系的に組織して、そこに知識を提供してくれます。
だから…

より適切なマネジメント上の判断ができる。
より適切に部下に指導ができる。
より適切なビジョンを掲げることができる。

戦略計画は強力なサポートです。

◆◆◆

戦略計画とは何か。
①リスクを伴った意思決定を行うこと。
②決定したことを実行するための組織を作ること。
③組織で活動した結果と予想を比較して①につなげること。

戦略計画は企業家がより適切なマネジメントを行うために役立つ考えです。

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