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コスパ最強の教育方法トップ6

世の中にはさまざまな指導方法、勉強方法があります。どの親も自分の子供にはベストを尽くしたいと考えているはず。

しかし無尽蔵に教育費をかけられないため、少しでも低コストで最大の効果を発揮できる指導方法を知りたい方は多いはず。

そこで今回は

  • 低コスト

  • 効果が高い

  • データが豊富

という条件でデータを集めました。

データの条件

集めた条件としては次の通りです。

  • 子供一人当たり、年間で13,000円ほどで済ませられる方法

  • 効果は少なくとも年間を通して5ヶ月分以上の追加的な学力成長が見込めること

  • 今後、覆されることがない程度には信憑性の高い数多くのデータが集まっていること

これだけの厳しい条件を設定しました。

少しでも安く、しかも高い効果の指導方法や勉強方法があればどの親も知りたいはずです。

ただ、仮に予算と効果が目的に合うものであったとしても全くのデタラメである可能性が高い場合、意味がありません。信頼できるデータである必要があります。

もし間違った方法だったと後にわかるようなことがあれば、他に良い方法を試すための時間を犠牲にしているわけですから実質損をしていることになります。

そのためにも、ほぼ間違いと言える程度の信頼できるデータ数である必要があります。少なくとも、データの豊富さや信憑性の高さを5段階中の4以上であることが望ましいです。


追加的な成長月数とは

ここでは効果の高さを表す「効果量」の代わりに「成長月数」で表すこととします。これはつまり、実験に参加したグループとそうでないグループとで効果の違いを表すために、どの程度学力達成度が高まったかを数値化する必要があります。

仮にA君は実験に参加をしなかった場合の1年間の成長をシンプルに12ヶ月のみとした場合、実験に参加したB君は1年間に成長した学力達成度は元々の12ヶ月プラス7ヶ月の合計19ヶ月分、などと表すことができます。

イメージとしては、中学までの間に一生懸命に勉強して、中学を卒業する頃には高校の数学も全てマスターするのに近いかもしれません。

では、厳しい条件を設定すると一体どのくらいの研究が見つかったのか?

たった6種類しかない

先ほどの条件を満たす研究は全部で6つしかありませんでした。

もし条件を緩和すれば一気に研究の種類は増えます。その代わり、コストがかかり過ぎる、効果が低すぎる、データの信頼性に問題が出てくるなどのデメリットも目立ってしまうため妥協することはできません。

ではその六つは一体どのようなものだったのでしょうか?以下の通りとなります。

  1. メタ認知と自己調整

  2. 読解力の向上

  3. 口頭言語による介入

  4. フィードバック

  5. 仲間による教え合い

  6. フォニックス

それぞれ詳しくみてみましょう。

1.メタ認知と自己調整

最も効果が高かったのが、「メタ認知と自己調整」でした。

内容としてシンプルにまとめると「勉強の仕方を学び、適切な方法を選ぶ?」と言い換えられます。例えば、効率の良い学習方法、記憶に残る学習方法、試験に合格しやすくなる最適な勉強方法などを学ぶと言うことです。

「メタ認知」を学ぶことで、無駄なく少ない努力で最大の成果が得られるようになるため成績が上がると言うことになります。具体的な行動としては以下の通りです。

  • 学習の計画を立てる

  • 親や教師が監督して、最適な学習方法を適宜伝える

  • 試験の合格するための効率の良い学習の流れと抑えるべきポイントを学ぶ

特に効果が高かったのは小学生で、一年の間に追加的に8ヶ月分の学習効果が見込めました。中高生の場合は7ヶ月ですが、それでも十分な学習効果があります。

この勉強方法は数学や科学などに向いています。いわゆるSTEM科目に関連する分野なので、将来的に自分の子供がSTEMに親しんで欲しい場合は親や教師は「メタ認知」的な取り組みをしっかりと理解していることが重要になります。

小学校であれば、例えば繰り上がり計算をしやすくするために「さくらんぼ計算」を教えたり、タイマーを使ってタイムアタックさせて課題の解決速度を早めたり、実力が拮抗した仲間と競わせるような環境で勉強させると言うのも「メタ認知」的な学習です。

2.読解力の向上

続いて効果があったのが、「読解力の向上」でした。非常にシンプルですが、やはり最低限の国語力がなければそもそも勉強もできないと言うことです。学校に通う以上、必ず文字を読んで、言葉を聞いて学ぶ訳ですからこの能力は必要最低限であると言えます。

具体的には以下のような取り組みを行います

  • 文脈から意味を推測する

  • 要約や重要ポイントを特定する

  • 図形の活用や意味付けをする

  • 質問方法を開発する

  • 自分の理解度をモニターし、問題を特定し、解決する

さまざまな工夫をして文章を理解できるように学習を進めることで、基礎的な学力の向上を目指します。小学校低学年なら毎日のように国語の音読の宿題が出ると思います。子供が親の前で読んで親がサインする課題です。

この時意味がわかっていない単語があるかもしれないので、上手に音読できるか見てあげましょう。イントネーションや発音がおかしいと語句の意味をわかっていない可能性があるからです。その後、物語文なら登場人物は誰とか、どんな気持ちがどのように変化したか、親子で話し合ってみるのも良いでしょう。

このようなことを繰り返すと読解力や要約力に結びつくようです。国語の文章がしっかり読み解けるようになるとより簡単な日本語で記述してある他教科の教科書の理解が向上します。

ハイライトとしては、小学生よりも中学生の方が若干効果が高いようです。また、読解力を高めることで他の科目にまで良い影響を与えることも分かっています。

他には、学力が低い子に対してが曖昧なアドバイスよりも明示的なアドバイスをすることが重要となり、効果も大きく変わってきます。低学年であれば、「気持ちを直接指す言葉はどれでしょう」とか「気持ちを表す動作はどれでしょう」と簡単な指示をするのも良いでしょう。理解力が高い子ならあらすじを話させると良いかもしれません。子供のレベルに合わせて指示を分けたり、シンプルにして伝えることが出来れば学習効率が上がると言うことですね。

3.口頭言語による介入

続いては「口頭言語による介入」です。

こちらは、口に出して説明したり、相手が考えていることを汲み取って言語化を手伝うことなどが含まれます。

より具体的には以下の通りです。

  • 学習の内容やプロセスについて明確に話し合う

  • 学習者の語彙レベルに合わせて話す

  • 生徒の考えの明確か化、言語化の支援を行う

他には幼児を対象とした朗読やディスカッションを行い、なるべく子供が発言する機会を増やす、理解力を高めるために計画的に作られた質問カリキュラムを使用するなどで子供の国語力と読解力を高めます。

基本的には全年齢を通して効果はありましたが、その中でも特に未就学児への効果が高かったようです。やはり言語的な理解力は、早いうちに鍛えておくと良いのかもしれません。

また、週に三回ほどこのような取り組みをしている方が効果があるようなので、週に1〜2回だけでは効果は薄いでしょう。毎日本の読み聞かせをしている家庭で育った子供のほうが国語力や言語能力が高いのもうなづけます。

ちなみにSTEM科目に関して言えば、効果がとても低かったようです。

4.フィードバック

続いてランクインしたのが、「フィードバック」でした。

フィードバックの具体的な目的とは、生徒の学習の改善を目的に生徒自身の成長や成果を伝えることです。

フィードバックをする内容としては以下の通りです。

  • 課題のアウトプットや成果

  • 課題の手続きやプロセス

  • 学生の学習管理

  • 学生の性格や行動

これらを組み合わせることで学生が適切な方向に努力を向けられていることをモニターします。もし間違った方向性の努力をしている場合、せっかく頑張っていても水の泡になってしまいます。

ハイライトとしては、小学生が最も効果が高く、STEMを含めて全ての科目に効果的であったこと。また、元から学力が高い生徒よりも低い学力の子に対して効果的であったと言うことです。

おそらく、フィードバックと言うのは「学力の上乗せ効果」よりも「学力の追いつき効果」としての機能が高いのかもしれません。つまづいている子、勉強に悩んでいる子に対しては特にフィードバックをすることが望ましいと言えます。

5.仲間による教え合い

続いて効果があったのが、「仲間による教え合い」でした。海外だとピア・チューターなどと言われています。年齢の近い人同士がお互いに教えあうことで、さらに学びが加速すると言うことです。

教え合いにも役割分担があり、先生役と生徒役に分かれます。そこには「固定」と「交代制」が存在し、先生役は必ずしも同じ人であり続けるという訳ではありません。

ハイライトとしては、低学力の子に対しての「平均への追いつき効果」が高いと言うことと、STEMを含めどの科目でも効果的であることが分かっています。

頻度は多い方がよく、週に4〜5回以上であれば高い効果が見込めます。逆に少なすぎると、知識の定着が進まず骨折り損となる可能性が高まります。

最大で10週間と短い期間で行うことで効果は十分にあります。10週間やっても20週間やっても効果に差がないのであれば、10週間で切り上げるのが一番合理的な判断ですね。

最も効果があった年齢差は3歳差までで、それ以上になると今度は年上が年下を教えるための自制心を鍛える側面が高まります。もし年上の自制心や経験を積ませたいのであれば年の差が大きかったとしても特に問題はありません。

6.フォニックス

最後にランクインしたのは「フォニックス」でした。

アルファベットと音を学び、それぞれブレンドさせて単語を読む練習をする訳ですが日本だとあまり馴染みはないかもしれません。

例えば、猫という意味であるCATもみなさんはキャットと読んでいるはずです。しかし、それは単語と発音をそれぞれ暗記をしたからであってフォニックスを学んで読めるようになった訳ではありません。

フォニックスを学んでいれば、初見の単語であってもかなり正確に読める可能性はありますが、アルファベットとして学んだだけであれば初見の単語を正確に発音できる可能性は下がります。

ハイライトとして、どの学年でも効果があるということ、少人数のグループよりも一対一の方が効果が高い事、単語と発音の丸暗記よりもフォニックスから学んだ方が効果が高いことは数多くのデータで裏付けられています。

また、アメリカ以外の国で行われたフォニックスの比較実験でも特に成果の高さは数多く報告されています。英語に対する苦手意識が高い人でも、フォニックスから学ぶことで初めて英語が読めるようになったという人もいるので救われる思いで学ぶ人は今後も増えると考えられます。

ただ、フォニックスを学べばSTEM科目の成績が上がるのかと言うとそこまで関係はないかもしれません。どちらかと言うと、国語力でしかも英語を学ぶことに特化している訳ですから、そもそも暗記が得意で英語をそれほど必要としないのであればフォニックスに力を入れる必要はないかもしれません。

まとめ

今までの情報をまとめると、次の通りです。

低学力の子に対して効果的な取り組み

  • 生徒の感情や考えの言語化の支援

  • 明示的で生徒の言語能力のレベルを合わせた指示を出すこと

  • 勉強方法や成績に関してのフィードバック

  • 同級生によるペアの教えあい

  • これらの取り組みをなるべく高い頻度で、最大でも10週間ほどの短期間で行うこと

STEM科目に活用したい場合

  • メタ認知的な取り組みを増やす

    • 学習計画を立てる

    • どの順序で学習すれば効率が良いかを考える

    • 理解するコツ、覚えるコツ、記憶定着率を高めるためのテクニックなどを全て活用する

    • 受験テクニックなども必要に応じて訓練する

    • 評価される基準を前もって理解し、基準を満たせることを集中的に学ぶ

  • フィードバック

    • 科学、技術、工学、数学などそれぞれ詳しい人からアドバイスをもらう

    • 一人で学習手順を組み立てられないのであれば、慣れた人にアドバイスしてもらう

  • ペアによる学習

    • お互いに模擬試験を作成し、解かせる

    • お互いが切磋琢磨できるような環境で資格勉強に取り組む

ソース
https://educationendowmentfoundation.org.uk/education-evidence/teaching-learning-toolkit?cost=0..1&impact=5..8&evidence=3..5 access 2022/11/11


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