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昆虫飼育メモ(チョウ・ガ編)

甲虫編に続き、チョウ・ガの飼育メモです。

蝶は見た目が鮮やかでその飛ぶ姿もヒラヒラとしておもしろいので人気の昆虫のひとつです。また幼虫から飼育すると葉っぱをモリモリ食べる姿はかわいらしく、サナギになりサナギから出てきて翅を広げる瞬間はちょっとした感動があります。

何回か飼育するなかで私も羽化の様子も撮影できました。

さて、私のチョウ・ガ飼育の始まりは昨年の12月にキャベツについていた青虫をモンシロチョウと思って羽化させたらヨトウガだったことに始まります。
このヨトウガは47日間生存していました。

その後、新宿中央公園で見つけたアオスジアゲハの越冬サナギが3月末に羽化して、1ヶ月ほど生存していました。
アオスジアゲハは羽ばたきが力強く、飼育用のネットの中でバサバサと飛んでいましたが、それゆえ次第に羽がボロボロになり、チョウの飼育は難しいと気付かされました。

その後、初夏になると近所の柑橘系の植木でナミアゲハの幼虫をみかけることが多くなりました。
アゲハ系は4齢までは鳥のフンのような姿で、5齢からはガチャピンのような姿など色々な姿になります。

幼虫をみつけるコツは、食草と食痕とフンを確認することです。食草があり食痕があればよくみると幼虫がいたりします。
例えば、足立区の図書館の庭や池袋のサンシャインの庭園などでも見つけられたので、チョウの行動範囲は侮れません。

それで、5月の後半に近所の道端で前蛹化して落ちているナミアゲハくんをみつけたので保護しました。
その後無事にサナギ化して保護ケースに入れたところ、10日ほどで羽化し、放蝶しました。

6月末に子どもが通う保育園で育てているハツカ大根に青虫が大発生していたので、引き取りました。12匹でモンシロチョウと思われました。
結果としては、飼育に失敗しており、寄生ハエが出てきたものもいましたが、ほかも羽化に至りませんでした。

今振り返ると、大部分は自分が用意したエサに成長抑止剤が含まれていたためかと思います。成長抑止剤とは、脱皮やサナギ化の際に体を硬くするキチンという物質を抑制する薬らしく、結果溶けたり黒くなったりします。

その後、同じく終齢のモンシロチョウをみつけ、サナギ化しましたが、羽化には至りませんでした。
こちらもサナギ化直前に食べたエサに含まれていた薬が原因と推察します。

モンシロチョウの幼虫たちを羽化させてあげたかったのですが、私の知識と経験不足でかわいそうなことになり、反省です。
とにかくチョウの幼虫飼育は食草確保が重要です。

7月に保育園の庭ではぐれもののツマグロヒョウモンの幼虫1匹を保護しました。
ツマグロヒョウモンの幼虫は、黒にオレンジ色の筋があり見かけだけのフニャフニャしたトゲトゲをもつ姿です。成虫は、端が黒いオレンジ色でヒョウ柄の姿です。東京でもよく飛んでおり、食草はスミレやパンジー、ビオラです。

しかし、夏はパンジーやビオラは咲いていなく、スミレも道端に生えているといわれてもどれがそれなのか知らず苦労しました。
色々探したところ、うちの妻がやっている園芸のプランターに生き残りのビオラがあったのでそれを与えて、その後たまたま近所でスミレをみつけ、3週ほどで無事にサナギ化までたどり着きました。
サナギ化のあとは1週ほどで羽化し、放蝶しました。

8月に群馬の実家に帰ったのですが、興味のあった「日本絹の里」という養蚕博物館に行きました。
こちらではちょうどカイコやヤママユの飼育展示があり、産業としての昆虫飼育の規模の大きさに圧倒されました。要するに、1、2匹といったレベルでなく数百匹規模と数が多かったです。また、エサも人工飼料があり安定した飼育環境が整備されていました。

実家の庭を探すと、柚子の木からはナミアゲハの幼虫が4匹見つかり、またその辺からはナカグロクチバをみつけ、引き取りました。

ナカグロクチバは羽の真ん中が白黒のモダンな柄のガで、食草はコミカンソウです。こちらについては同定から覚束なく、Twitterで問合わせたところになります。
8月半ばに無事にサナギ化し、2週ほどで羽化しました。ちなみに先のツマグロヒョウモンくんと同日の同タイミング、同じケースで羽化したので、とても焦りました。

ナミアゲハはうちに引き取ったものの食草確保がやや難しかったため、近所の方にお願いして、葉っぱをいただきました。
いただく中でさらに2匹加わり、こちらは8月末から9月半ばにかけてサナギ化と羽化に進みました。

ちなみにイモくんも食べやすい葉っぱが好きらしく、柑橘系なら若い葉っぱ、クスノキかタブノキならタブノキといったように柔らかいものを選んでいるようです。堅いものも食べなくはないです。

この間に、子どもと足立区にある生物館に行きました。こちらは都内では珍しい放蝶温室がある施設で沖縄に生息するオオゴマダラというデカい蝶や暗い紫色が美しいリュウキュウアサギマダラなどをみることができます。
オオゴマダラは白黒の蝶ですが、人を警戒しないのが特徴で、指を出すと乗ってくれたりもします。

動画を作っちゃいました。

ところで、今どき蛾についても以前より世間の評判が変わったかと思っています。蝶とともに蛾も美しいとかカワイイとか紹介されることは多い気がします。
そんな蛾の仲間でも、カイコやヤママユは別格扱いですが、スズメガという種類はカワイイ系かと思います。

8月半ばに子どもと雑司ヶ谷の墓地を探検したところ、セスジスズメの幼虫をみつけました。幼虫は黒くて角のあるすらっとした姿です。
食草はイモの葉っぱやホウセンカですが、こちらはしばらくして寄生バチの幼虫が出てきたためそれ以上成長できませんでした。

9月になると実家からキアゲハの幼虫が送られてきました。
4匹でよいといったところ、20匹きました。実家では農作をやっているのですが、やっぱり幼虫の発生する数が多いんだなーと語彙力も失い思いました。

その様子、動画撮っちゃいました。

数が多いため、受け取りから放蝶までバタバタし、あまり一匹一匹への思い入れは薄かったかも知れません。
羽化する際も目を放すと羽化している、ちょっと様子をみると羽化しているといったところでした。

放蝶の様子も撮影しました。

キアゲハの食草はセリ系のパセリやミツバなどです。
実家から併せていただいた葉っぱでサナギ化したグループは無事に羽化していますが、途中からスーパーから調達した葉っぱを食べたグループは以前のモンシロチョウと同じく脱皮やサナギ化の失敗、サナギ化しても羽化できませんでした。
このことから、成長抑止剤というものを知り、食草は予め自分で用意するくらいでいこうと思いました。

現在は、再びはぐれツマグロヒョウモンの幼虫を2匹保護したことをきっかけに、食草探しでみつけた6匹、またサナギが4匹がいます。

蝶に関してひとことでいえば"飼育は難しい"となります。
少し整理していうと、食草確保を適切に行う必要があり、また飛翔する生き物なのでそれに合った飼育スペースを用意する必要があります。

さっそく作りました。

羽化したあとは放蝶がよいと思いますが、生態系への配慮といった問題も意識する必要があります。
要は放したあと生きていけるのかと他の生き物と競合しないかへの注意です。

例えば、外来の蝶としてアカボシゴマダラが有名ですが、こちらは人の手により移動してはいけない生き物なので、みつけたら触るだけにして持って帰らないようにし、またSNSにもあげない方が無難です。

最後に、もし興味があればこちらがオススメです。

庭で見つけた38個のキアゲハの卵、果たして無事に羽化できるのか、最後まで目が離せません。

また昆虫好きならこちらを読んでもおもしろいと思います。

日本の古典文学のひとつ堤中納言物語に収録されている「虫めづる姫君」のモデルになったという説がある人物です。

仕事よりも趣味に生きたようで、日記や随筆を遺していたら、もっと注目されていたかも知れません。


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