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占星術、なぜハマる?

占星術は、天体の配置や運行パターンに基づいて人間の運命や性格を予測・解釈するという信念と実践の体系です。
 
その起源は非常に古く、古代文明から存在していました。古代メソポタミア、古代エジプト、古代ギリシャ、中国、インドなど、さまざまな文化で発展しました。
 
占星術の基本原理は、惑星や太陽、月、星座などの天体が地球上の出来事や人間の性格に影響を与えるという考えに基づいています。
 
天体の位置や関係性が記録され、それに基づいて個人の生まれた時の星座や天体の配置が解釈されます。
 
占星術は、個人の特性や運命の理解、自己探求、または娯楽として使用されてきました。
 

星座と惑星の関連性

星座と惑星は占星術において密接に関連しています。
 
星座は、黄道十二星座として知られる12の領域であり、それぞれに特定の惑星が関連付けられています。
 
例えば、牡羊座は火の元素を象徴し、火星が支配惑星とされています。
 
牡牛座は地の元素を象徴し、金星が支配惑星とされています。
 
このように、各星座には特定の惑星が関連づけられ、その惑星の影響がその星座の特性やパーソナリティに影響を与えると考えられています。
 
この関連性は、個人の出生図(ホロスコープ)を作成する際にも使用され、個人の星座と支配惑星の配置からその人の性格や運勢を解釈する手掛かりとなります。
 
星座と惑星の関連性は占星術の基礎となっており、人々はこれを用いて自己理解や運命の解釈を追求しています。
 

惑星の運行パターンと影響の範囲

惑星は太陽を中心に楕円軌道で運行しており、その運動には一定の周期やパターンが存在します。
 
この運行パターンは占星術において重要な要素であり、惑星の位置や相対的な関係が人間の生活や個人の性格に影響を与えるとされています。
 
まず、太陽を中心とした地球の公転周期は一年ですが、他の惑星もそれぞれ固有の周期で太陽の周りを回っています。
 
例えば、水星は約88日で太陽の周りを一回公転し、木星は約12年、土星は約29.5年の周期で公転します。
 
また、惑星の位置や相対的な配置も重要な要素です。
 
占星術では、12の星座を基にした十二宮と呼ばれる区分があり、それぞれの星座には特定の惑星が関連付けられています。
 
惑星の位置や十二宮内の配置は、個人の出生チャート(ホロスコープ)に基づいて解釈され、その人の性格や運命に影響を与えるとされます。
 
惑星の影響の範囲は広範であり、占星術ではさまざまな要素が考慮されます。
 
惑星のエネルギーは、個人の性格、感情、能力、対人関係、健康など様々な側面に影響を与えると信じられています。
 
例えば、火星は行動力や情熱を象徴し、金星は愛や美、社交性を表すとされています。
 
ただし、確立された占星術の科学的根拠といったものは存在しません。
 
惑星の運行パターンや影響の範囲が人間の生活に直接的に関連しているとは、科学的には考えられません。
 
占星術は主観的な解釈や信念に基づいており、個人の自己理解や方向性の探求に寄与するとされていますが、信じるかどうかは個人の選択の問題であり、この点で宗教と同様です。
 

占星術の科学的信憑性

占星術の基本的な前提となる「惑星の配置が人間に影響を与える」という仮説は、科学的に検証されたとは言えません。
 
現代の科学では、惑星の位置や星座の影響が個人の性格や運勢に直接的な関係を持つという根拠は見つかっていません。
 
惑星は遠くにあり、その影響が地球上の個人に及ぶメカニズムは、現状では考えられません。
 
例えば赤子を抱く母親に作用する、赤子からの重力の大きさは、火星が及ぼす重力の20倍です。
 
重力を介して、これほど微弱な作用が性格や運勢に何らかの作用を及ぼすとは考えられません。
 
では、重力以外で何か考えられるでしょうか?
 
現状ではそれも無理です。
 
さらに、占星術の予測は一般的に曖昧で汎用性が高いため、特定の情報や出来事を正確に予測することは難しいとされています。
 
同じ星座の人々が同じ結果を得るという一般化された記述は、個別の人々の多様性を無視していると言えます。
 
また、同じ星座の人でも異なる出生時刻や個人の経験によっても運勢は変わるはずですが、このような個別要素を反映することができないという批判もあります。
 
さらに、占星術は統計的な根拠を欠いています。
 
科学的な研究では、仮説や主張が統計的に有意な結果を示す必要がありますが、占星術はその基準を満たしていません。
 
一部の占星術師が的中率が高いと主張するケースもありますが、これらは個別の経験や主観的な評価に基づいているため統計の結果とは言えず、科学的な証明とは異なります。
 
これらの理由から、占星術は科学的信憑性の観点からは疑問視されています。
 
科学的方法や証拠に基づく信念体系とは異なるアプローチであるため、占星術の理解や評価は個人の信念や文化的な背景によって異なることもあります。
 
したがって、占星術を信じるかどうかは個人の自由であり、科学的な立場からは検証の対象外であるとされます。
 

限定的な科学的根拠

占星術の科学的な根拠は限定的であり、現代科学の基準には合致していないことを明確にしておきます。
 

  1. 人間行動の統計的な傾向の一致: 一部の研究では、人々の出生日や星座と特定の性格特性や傾向の関連性を示唆しています。例えば、ある研究では出生日と特定の職業の選択傾向との関連を示唆しました。しかしながら、これらの関連性は小規模なデータセットや特定の地域や文化に限定されることが多く、一般化するにはさらなる研究が必要です。

  2. 惑星の重力や電磁気の影響に関する研究: 一部の研究は、惑星の重力や電磁気が地球上の生物や大気に微弱な影響を及ぼす可能性を示唆しています。これは、月の満ち欠けが潮の満ち引きに影響を与えるように、惑星の位置や運行が微小な影響を生じさせる可能性があるという理論です。しかしながら、これらの影響が人間の個人的な特性や運命に及ぼす具体的な効果を及ぼすとは考えられません。

  3. 心理学的な要素の影響: 占星術が人々の心理的な側面に影響を及ぼす可能性も考えられます。例えば、バーナム効果(自己肯定的な一般的な説明が個人に適用されると信じる傾向)により、占星術の記述が多くの人々に当てはまるように感じられることがあります。また、個人の信念や期待が行動や自己評価に影響を与えることも考慮されます。


これらの限定的な科学的な根拠や研究結果は、現代の科学的方法や統計的な厳密さに基づいていないことに注意する必要があります。
 
占星術は、主観的な解釈や個人の信念に基づいており、科学的な根拠に基づく予測や証明を提供するものではありません。
 
占星術を科学的な観点から評価する場合には、これらの限定的な根拠や研究結果を客観的に分析し、その科学的な妥当性や一般化可能性について慎重な検討が必要です。
 
以上のような理由で、現時点では占星術の科学的な信憑性は一般的には認められていません。

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