2022年 音楽ベスト25+α
毎年思うことですが、1年って早いですね。昨年の音楽ニュースとしては、Assaultの編集盤が出たとか、中島みゆきサブスク解禁で大歓喜! みたいなこともあったのだけど、GAUZEの解散が一番の衝撃でしょうか。なくならないなんてものはこの世に存在しないと思うけど、本当になくなってしまうんだとしんみりした出来事でした。ハードコアパンクを聴くようになって、ジャパコアに触れて最初の頃に聴いてかっこよさに痺れた記憶があります。ここ数年のことだと、スレイヤー解散より胸にポッカリと穴が空いたような出来事かもしれません。まあ、その分たくさんのパンクバンドが出て来ればいいなとか思っておきますか、ポジティブにね。暗くなってもどうしようもないので、年間ベストいつものやります。アルバム、シングル、スプリット盤ごちゃ混ぜです。2022年は頑張って順位をつけてみました! そのぶん次点が多いです。次点は先にジャンルごとで紹介。ぜんぶ大好きだけど!
※基本的にサブスクやbandcampへのリンクにしています。ネットでの配信がないものは、画像貼り付けです。
グラインドコア/パワーヴァイオレンス部門
EXTORTION - SEETHING
思わずギョエーーーってなるゴギブリジャケット。ただ、このギョエーーーってした顔がパワーヴァイオレンスに通じるものを感じる(は?)ライヴなどでパワーヴァイオレンスバンドを見ていると、いかに怒った顔やすごい顔したら優勝というか、それだけ感情が声にのっていて視覚的にもかっこよく聴こえるんですよね。
BRAIN TOURNIQUET- BRAIN TOURNIQUET Ⅱ
正統派パワーヴァイオレンス。めちゃめちゃピュアなパワーヴァイオレンスで、2022年(もう2023年だが)パワーヴァイオレンスを初めて聴く人ならここから聴いたら入りやすい気がする。
SOILED HATE - Nine Billion Names of Hate
TOKYOパワーヴァイオレンスSOILED HATEの1stフル。ツインボーカルでCROSSED OUTやらの90'sパワーヴァイオレンスに、現代パワーヴァイオレンスの流れも組みこんだ充実盤。
BLACK GANION - Ethnocentrism / End Time Dub(Earhammer Remix)
名古屋のグラインドコア。カセットテープで販売後、サブスク配信されました。3rdアルバムは土着性の強いグラインドコアというか、儀式じみたサウンドだったんですが、長年バンドを支えていたギターが脱退し、新メンバーを入れた体制に。これライヴだと顕著なんですが、ギターがハーシュノイズみたいになってきて、シューゲイザーかな?ってくらいビリビリした轟音かき鳴らすんですよね。もともとあった曲も低音ブリブリしていた印象があったのに、違う曲にも聴こえるですよ。これはフルアルバムめちゃくちゃ楽しみですね。またライヴ見たいっす。
Wormrot - Hiss
シンガポールのトリオグラインドの4thフル。これにてボーカルのArifが脱退らしいです。今後の活動にも着目したいすな。
パンク/ハードコア部門
GEHENNA - Negative Hardcore
汚ねえハードコア(褒めている)として理想なサウンド。ボーカルたぶんこのままウォー/ベスチャルブラックメタルのボーカルもやれそう。
羅生門 - ニンゲン
羅生門もひさびさ(でもないか?)、相変わらずなハードコアパンクで気持ちいいですな。
CANDY - Heaven is Here
なんだろう、ブルータルハードコアとでもいうべきだろうか。USのハードコアバンドの2ndフル。アルバムは4年ぶりでしょうかね。元々特徴あるボーカルでしたが、音作りのせいかより際立って聴こえますね。これもよかった。
KLONNS - Crow
KLONNS毎回変化があって聴くのが本当に楽しみです。インタビューもアップされているので、こちらもぜひに。
Decasion - Instilling the Decayed Obsession
名古屋のデスメタリックハードコアの1stフル。たいへんモッシーなハードコアで、ライヴもかっこよくて最高でした。
Zetton - Operated
岡山シティハードコアZettonの2022EP。めちゃ踊れるメタリックハードコアです。
暴力装置 - STILLBORN FUTURE
日本のハードコアパンク暴力装置の1stフル。やっぱりAnti Cimexよな? 骨太ハードコアで最高です。
ロック/メタル部門
Zabbeth - st
もうね、そのまま。ジャンルはBathory!!(こんなコメントでええんか)
Badsore / Mortal Incarnation - Split
Mortal Incarnation 1stよりちょっとプログレッシヴな曲展開になってきましたね。それでかつOSDM好きにはたまらん仕上がりに。
boris - fade
今年3作もリリースしたBorisですが、ひさびさの「boris」名義でのリリース! まるで魔王がやってくるかのような地響きドローンドゥーム。しかし、その窓口は決して狭すぎず、でも近寄らずの印象。年末のワンマンもよかったそうで、今年ライヴ一回くらいいけるといいなーと。
EARTHLESS - Night Parade of One Hundred Demons
前作『ブラックヘヴン』よかったのですが、でも今後どうなるんだろう? と若干心配になっていました。しっかし、完全に路線を戻してきましたね。相変わらずな気持ちのいいサイケデリック・ストーナー/ドゥームロックを奏でていて最高です。またライヴ見たいのでぜひ来日してくれ〜!
SAIGAN TERROR - Destroy’em All! Thrash the Zombies
アルバムからもう3年経っているんだなーと、時間の経過に驚かされますが、こちら日本のクロスオーヴァースラッシュメタル(ハードコアのせ)バンド・サイガンテラーのEPです。レコ発も大賑わいでしたね。サイガンはこのインタビューが最高なので、回しながら聴きましょう!
IMMOLATION - Acts of God
USデスメタルの重鎮イモレイションの11th。
Illithilich - The Elder Brain
いきなりセコナンの某名曲リフが始まって戸惑いましたが、なんとも絶妙なオールドスクールデスメタル。ドラムポコポコしていてrawなんだけど、どこか別世界に迷い込んだようなヘンテコな魅力があります。その辺はアートワークがまさにこんな感じ!って捉えていると思う。
Undeath - It’s Time…To Rise from the Grave
USのオールドスクールデスメタル2年ぶりの2ndフル。腐敗臭はあるけど、キャッチーで聴きやすいバンドですよね。それと今年ライヴアルバムも出していて、それもかっこいいです。
2022ベスト25
25:Cyptworm - Spewing Mephitic Putridity
UK産ガビガビ腐敗デスメタルの1stフルアルバム。UNDERGANGファンならマスト盤のはず。8曲33分というコンパクトさもgood!
24:Birds in Row - Gris Klein
音作りの話だと思うんだけど、すごく音の抜けがいいんだよね。すーーーん、と頭の先の方を抜けていく音心地。空気が澄んでいて真冬の寒空の中で歩きながら聴きたくなるサウンド。これぞ、冬のハードコア。
23:Autopsy - Morbidity Triumphant
アルバムひさびさでしたね!USデスメタルの重鎮Autopsyの8th。ドラムがスカスカなんすが、これがたまらんってのとヘヴィながら踊れるストーナーロックみたいなパートあるし最高!
22:Cloud Rat - Threshold
USのグラインドコア2022フル。ブチ切れグラインドで最高なのですが、デスメタルキャリアのグラインドではなくポストメタル〜ハードコア的な音から生まれたようなグラインドコアで面白い作品ですね。
21:DESERVE TO DIE - st
岡山シティハードコアの1stフル。岡山のハードコア本当にかっこいい。ilskaといい、このDESERVE TO DIEといいフルスロットルでフロアを攻めてくる突進力・瞬発力は見事。サウンドの印象としては、Nailsあたりのグラインドおよびハードコアをベースに、パワーヴァイオレンスの影響も伺えるでしょうか。まわりのilskaやZETTONあたりの凶悪ハードコアと比べると、グラインド要素が強め。サブスク配信は一部のみとなりますが、CDのみ発売済みでアナログもそのうち入ってくるはずなのでぜひお手元に。
20:Wu-Lu - LOGGERHEAD
聴いていてめちゃくちゃだるくなる〜、けどもこの気怠さが誰かの生きている証。raw好きはぜひにですね。
19:SECTOR - The Chicago Sector
シカゴ・シティハードコアSECTOR待望の1stフル! 昨年MH CHAOSが1st出したときにIVOKEとのスプリット盤で出していた音と全然違くて戸惑ったのですが、SECTORはアルバムでも欲しい音鳴らしてくれていてナイス。
18:Universally Estranged - Dimension of Deviant Clusters
まるで宇宙みたいな音出しているけど、正真正銘のオールドスクールデスメタル Universally Estranged の2ndフル。宇宙感あるとBlood Incantationを連想してしまうが、このバンド音がクリアで聴き取りやすいのもポイントですね。
17:Soul Glo - Diaspora Problems
パワーヴァイオレンスみのあるポリティカルハードコア・パンクバンドの4thだけど、めちゃ面白い音。90〜00年代のハードコアとメタルの垣根が混沌とする感じをなんとなく音の印象に受けるけども、「BAD BRAINSが激情化〜」と評する言葉もわかるし、そうと思えば地響きのようなデスボイスみたいなのもあるし、そこにHIPHOPも入ってくる。意味わからん! しかし面白いしかっこいい! 過去を踏まえた上で新しい時代を感じる〜とランクインです。
16:Backslider - Psychic Rot
前作よりブリ度(ストーナー)は減少したけど、その分、攻撃性が増したUSのパワーヴァイオレンスBacksliderの2nd。Backsliderって聴いてて踊れるのが最高なんですよね。現代の速い/遅い(軽い/重い)パワーヴァイオレンスだけの音ではなくて、個性があっていいです。
15:Devil Master - Ecstasies of Never Ending Night
デビルマスターの2ndフル。今作もメタルパンクっちゃメタルパンクだが、ジャパコアにポジパンそして、世界観みたいなもんが付与された気がする。たぶん音作りレベルで色々変わっているんだろうけど、このあたりは専門家に期待して…(逃げ)。デビルマスターは本当に見たいので、ブッシュバッシュやムーンステップあたりでMOONSCAPEや、今回ベストにも選んでいる、Military ShadowやBildungsphilisterたちと組んでもらえないすかね誰か、、、
14:Volcano - FOOL2 THA GAME
アメリカはオハイオ州のビートダウンハードコア2022EP。ドラムのポコポコ飛び跳ねる感じが、なんとも最高なんです。
13:宇多田ヒカル - BADモード
「初めてのルーブルはなんてことは無かったわ」なんて歌詞がよく出てきますよね。私がルーブルにいったなら『はなればなれに』にかこつけて何かしら書いてしまいそうですが、自分の経験に基づいて、嘘偽りのない(と思われる)言葉で歌っている。これはやられてしまいますね。お気には「Somewhere Near Marseilles - マルセイユ辺り -」でした。
12:MILITARY SHADOW / BILDUNGSPHILISTER - Apocaliptik Mayhem
今年いちばんアツかった分割盤じゃないでしょうか? MILITARY SHADOWは1stから聴くようになりましたが、相変わらずメタルパンク・ジャパコアという感じで最高! そして初めて聴いたBILDUNGSPHILISTERこれはきた!ジャンル的にはスピードメタルといった感じなのでしょうが、90初頭のV系の音というか、「東のX、西のCOLOR」時代を彷彿させる。まだまだ安定感がないように聞こえますが、安定感がないのがまたいい。それと昨年ツアーしていたときの記録が、ゆまっちさんの写真集で生々しく描写されていますので、なんとかこれをセットで聴いて欲しいなーと思いました。
11:優河 - 言葉のない夜に
まるで真夜中の誰もいない道をひっそりと、歩くその道を確かめながらそっとこのアルバムを聴きたくなる。ゆるやかに引き伸ばされた時間の感覚がとても贅沢…というより、日々の生活の中でのほんの少しの豊かさ、と似ている。ぼやっと夜のひかりに照らされて夢心地になったり、そのまま夜に溶けてしまいそうな気持ちになるアルバム。
10:VINCE;NT - VAPID
東京のロックバンドVINCE;NTの1stフル。やっぱりハードコア成分が高いオルタナというかロックって大好きだなと再認識。
9:明日の叙景 - アイランド
観測している中で、今年ジャンル内外どちらからもいちばん話題になったバンドじゃないでしょうか。夏の終わりを感じさせる聴き心地。やっぱ私的にはポスト・ブラックメタルというより、ハードコア色が強いバンドに聞こえます。強い言葉でいえばenvyの『君の靴と未来』やDeafheavenの『Sunbather』と並べても引けを取らない名盤と言いたくもなるが、体感温度的には、むしろheaven in her armsの『白暈』あたりかなとか思ったりします。体感温度ってなんだって話ですが、もうこの際対バン見たい! よろしくお願いします!
8:Yambag - Strength in Nightmares
ファストコア/パワーヴァイオレンスくくりだが、どちらかというとファストコア成分高めの疾走型ハードコアパンクという感じで、この辺りのジャンルなら声の特徴含めチャールズブロンソンといった感じだろうか。どこか不安定なボーカルだがそこがいい。いわゆる今のパワーヴァイオレンスの流行りのズンズン落として疾走してといった感じ(速くて遅い、重くて軽いみたいな)ではなく、パンクベースに走っていって超ファストなパートがあるので、体感速度がずっと速い。ジャンルはちょい違うが、UNHOLY GREVEなんかも、ずっとブラストビートじゃなくてノリ重視したパートあって好きなんすよね、こーいった感じの。
7:Sex Messiah - Metal Del Chivo
Moenos氏以外のメンバーすべて変わった新生セックスメサイアの2022作。前作も同様に大好きですが、今作は恐らく現時点での最高傑作といえるのではないだろうか。イントロ終わりからのMoenos氏のまるで爬虫類かのような、まとわりつく声からしてなんらか尋常じゃないことが起きている! と予感させる。2022年でもっとも凶悪な一枚だろう。
6:老人の仕事 - 2nd
老人の仕事を聴いて思うのは、都心から遠く離れた霧がかった中国の山並みが広がる朝方。といっても、中国の山並みが広がるところに朝方行ったこともないのだけど。時間がまるで永遠のように、それでも確かに進んでいく心地よく間延びした感覚。「螺旋の旋に問う」ラストの笑い声その反響から最後のリズム! ここまできたか老人の仕事。恐ろしい傑作。
5:Tormentador - Morte Negra
レコードに針を落とした瞬間、ホンモノ来てしまった感がやばい爆風とともに戦がはじまった、、、IMPURITYでドラムを叩いていた人が結成したウォーブラックで、RAWなサウンドが邪悪さを際立たせていて最高。フィジカルはアナログしか出てないと思うけど、バンキャで聴けるのでぜひ。
4:MASSPRESS / MORIBUND PUNISHMENT - Split
極上のパワーヴァイオレンス分割盤! MORIBUND PUNISHMENTダブルvoたまらんちん、、、ちょっとスローパート入るとシャキッとしますよね。緊張感があって最高。俺はいま、MORIBUND PUNISHMENTを聴いているんだと思わせてくれる確かな実感がここにある。90’sドラストライクなサウンドよね。それに対してMASSPRESSは、現代パワーヴァイオレンスの流れを通過したサウンドに聴こえますね。どちらも2人体制ですが、それぞれの個性が出ていてマストバイな盤! さいこう〜!
3:Torikorona - 様々な困惑
今年いちばん面白い音! 1stと同タイトルでリリースと尖ったことをしているトリコロナの2ndフル。トリコロナを知りたい方は、昔みちのくさんがインタビューしていたので参照するとより面白いと思われます↓ インタビューにもあるけど、GaspやCombatwoundedveteranあたりのパワーヴァイオレンスは連想できるけど、激情〜エモバイオレンスの音も感じ取れるし、とにかく今年いちばん面白い音を出していたバンド!
2:DIR EN GREY - PHALARIS
実は、というか『THE MARROW OF A BONE』以降のエクストリームな方向のディルって、ぜんぜんノリきれなかったんですよね。ギリギリ『UROBOROS』はわかるって感じで。どうもエクストリームな方向は、ディルアングレイにとっていい面はないんじゃないか? とずっと思ってました。京のよさはグロウルでもホイッスルみたいなテクニックではなくて、なんか喉にねばりつくクリーントーンだと。なので、『ARCHE』はめちゃくちゃ好きだったんですが、また、すぐ離れていくディル。そんななかsukekiyoはすっごくよくて、ディルアングレイってもう聴かなくていいかな? とか考えていたところ、これはとんでもないアルバム出してきたと。オープニングから「13」までの流れ完璧じゃないでしょうか。ずっと彼らが見せてきた(魅せてきた)「痛み」が絶え間なく響いてくる。
1:Imeperial Circus Dead Decadence - 殯――死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える――。
煮詰めた鍋は絶品の味ですが、音楽は煮詰め続ければいいもんってわけでもないと思っています。Xは煮込みすぎて出汁がどっかいきそうだし…と思いきや、11年ぶりのICDD新作これはとんでもないものがでてきた。途中シングルは発売されてきましたが、「今年こそアルバムが出るのか?」と毎年思いながらもなかなか発表までには至らなく、肩を落とす年が続いた結果、このレベルの作品が出てきましたか。メロディックデスメタル〜V系目配せサウンドで最高です。特に1曲目「禊祓の神産は宣い、禍祓の贖罪は誓う。」あまりにもヴィジュでグッとくると思えば、フレッシュゴッド・アポカリプスよろしくみたいなメタルパートもあるし、今年の「メタル」アルバムの中でいちばん満足度が高かったのでナンバーワンです! 2023のライヴも期待しています!!
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