1章⑥【猫の仕業か】パラレルワールドの事実 Season1 07/19/2018
猫の仕業か[平成30年6月19日(火)]
今日も朝から電車を乗り継いで病院に向かう。
白い巨塔の大病院には、売店があちこちにあり、憩いの広場があるから、今日は待ち時間をフラフラ歩き回って満喫できた。
帰りは、みんなで病院の近くのロイヤルホストに行ってランチして、
「たまには、こんなのもいいね」と笑みが溢れる中、
ケイトくんが
「笑うと傷口に響く」とヤクザな親分のようなことを言っているので、余計笑ってしまった。
この3日間、3人のお医者さんが、3人とも不思議だと首を傾げていた。
そして、口を揃えたように、
「本当に転んだだけなの?誰かに押されたり、突き飛ばされたりしなかった?」とケイトくんに何度も尋ねていた。
そしてボクたちにも話した。
「誰かに強く突き飛ばされたか、不意に何かがあったとしか思えないのですよ、じゃなかったら、こんな怪我にならないと思うのです」
お医者さんの目が、こっちに向かって、
「―もしかしたら虐待でもしているのでは」と心の中で問いかけているのがわかる。
訝しげに視線を向ける。
「―まさか」首を横に振りながら見返す。
お医者さんは、
「そうですよね」と深く頷いてから、苦笑いした後に、また首を傾げて考え込んでいた。
病院からの帰り道、ケイトくんに、どこで転んだのか、もう一度聞いた。
「何もないとこ、段差もないし、石ころも転がっていなかったよ、いつもの道で転んだよ」
「人も誰も歩いていなかったのだけど、誰かが横から押したと思った」
「だけど、転んでから後ろ見たけど、誰もいなかったよ。変だよね」
ケイトくんは首を傾げて、下唇を出した。
突き飛ばされたって、誰が突き飛ばしたのだろう?
ボクは考えながら、
「突き飛ばした可能性があるのは、いつも寝そべっている猫くらいだねえ」と言うと、
「猫がどうやって突き飛ばすのよ」母殿が苦笑いしながら口を挟む。
ケイトくんが言った。
「猫って何をするか分からないじゃん」
ボクとケイトくんは頷いた。
ケイトくんも猫のことを考えていたようである。
確かに、疑惑の猫は近所にいる。
うちの近くには野良猫なのか飼い猫なのかわからないが、いつも道路の真ん中に寝そべっている猫がいる。
他の猫が塀の上や、塀の中にいるのに、その猫だけは、どんな時でも道路のまん真ん中に寝そべっている。
猫は、通りかかる猫好きの高校生や子供やご高齢の方や、近所のおばさんにたくさん餌をもらって、ぶくぶく太っている。
「お前も、餌くれるのか」
猫は横柄な顔をするので、絶対に無視してやるのだ。
この猫、何考えているかわからない。
なんか悪いこと考えていそうな顔をしている。
まあそんなわけないけど、寝転がっている猫につまず可能性ないかなと思った。
しかし、よくよく考えてみると猫はうす暗くなる前に道路の真ん中から消えている。
夕方には家に帰るのだろう。
薄暗かった夕方に猫につまずく可能性は低そうである。
ボクが、
「別の次元の人がブラックホールから現れて、ケイトくんのこと突き飛ばしたのかもね!」と笑って言ったら、
「そんなわけない」って怒られた。
「でも、絶対に誰かに押された気がするよ」ケイトくんはボソっと呟いた。
SF映画みたいに、異星人が空中の穴からポッと地球に出てきたところに、丁度ケイトくんがやってきて、異星人とケイトくんが衝突してしまったのかもしれない。
なんて空想してしまった。
☆あれ?と思ったら転んでいたことってありますか?
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どうも未来から来たらしい
2018年の夏。 幽霊や宇宙人は相変わらず見えないけれど、ある日、世界が変わってしまった。 ある日から、ボクの周りが変わってしまった。 ど…
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