靴屋が団子屋をはじめた話
2023年8月11日、富山県富山市にあるわが社の店舗、Parade富山羽根店の一角に「菓匠 将満」という和菓子屋さんがオープンしました。直前の8月2日に行われた、年に1度の経営計画発表会の場で、社長からこのことが全社員に突然告げられた時には、ほとんどの社員は「え~?」「なんで団子屋?」と、さぞかし驚いたことでしょう。今回は、社長に代わって、オープンまでの裏話、「なぜ?」のところを書きたいと思います。
多角化したい
同業他社でも、わが社同様、地域の一番店として人気の靴専門店が何社かあり、その中には靴以外の事業を行っている企業もあります。例えば、愛媛県の㈱つるやさんは、靴店が35店舗に対し、100円ショップの「ダイソー」を72店舗、雑貨店の「プラザ」を6店舗も展開していますし、宮崎県の㈱テヅカさんは、靴店が22店舗に対し、「コメダ珈琲店」を1店舗、雑貨店の「アレーズ」を2店舗展開しています。
外出規制などの行動制限が度々起きたここ3年間のコロナ禍で、靴は非常に厳しい状況が続きました。わが社の経営計画書に記載されている基本方針には「経営を安定させるために多角化を行う」と、何年もずっと掲載されていますが、靴以外で何をするか、ということはなかなか決められずにいました。本気で何かを探して始めないと、コロナのような、思いもよらないことがまた起きるかもしれない、という危機感もありました。
ただ、不動産だけは地味にやっています。わが社の店舗だった自社物件を、閉店後に他社に賃貸したり、わが社の店舗の駐車場部分にコンテナ倉庫を建てて、一般の方向けに賃貸したりしています。不動産はいいですよね。安定感があります。わが社もコロナの緊急事態宣言下で、ショッピングセンター自体の営業ができないというのに、店舗の家賃だけは取られましたからね。一生、根に持ちたいと思います。
新規事業を考える
まずは情報収集ということで、社長が船井総合研究所(以後:船井総研)の主催する多角化セミナーに参加しました。船井総研さんが多角化経営のために選抜したお薦めの新規事業24種類を、一度に比較検討できるビジネスサミットです。
社長からセミナーの内容を教えてもらいました。すでにちらほら見かける「いちご農園」とか「クラフトビール」「コーヒー専門店」「インドアゴルフ」など。確かに流行っているし、高収益そう。だけど、どれも投資がかかりそうだな、という印象。わたしが一番いいな、と思ったのは「単品スイーツ」でした。この時のおすすめは「プリン」。うーん、プリンか~…。わたしはプリンをほとんど食べないので、乗り気にはなりませんでしたが、「単品スイーツ」は、新たな投資というよりも、お店の一角を改造したらできそうですし、なんかピンとくるものがありました。しかし、「タピオカ」とか「高級食パン」のように、一時のブームに左右されるものじゃなくて、長く愛されるものがいいな、とも思いました。
そんな時、社長の経営コンサルタントをしてくださっている方のお友達が和菓子やさんのフランチャイズをはじめたと、紹介してくださったのが「菓匠 将満」さんでした。わたしはとにかくおもちが大好物なので、すぐにいいな!!と思いました。それにおもちは、いつの時代も老若男女、みんなに愛される国民的スイーツですからね。
菓匠 将満の催事に行ってみる
本業以外とはいえ、せっかく始めるなら、納得のいくものをお客様に提供したいと思い、まずは、一番大切な「味」を確かめることにしました。
偶然、富山県の入善で行われる大人気イベント「ラーメン祭り」に菓匠 将満が出店するというので、行ってみることに。
すると、菓匠 将満のブースは、長蛇の列!!大盛況です。わたしも長い列に並び、大好物のみたらし団子や大福をたくさん買いました。大福は1個100円とかなりお買い得です。
「おいし~~い!!」おもち好きのわたしが認める、なめらかさ、そしてモチモチ感、そして伸び。どれを取っても、絶対的な信頼を寄せている地元の大好きなおもちやさん「石谷のもち屋」に負けていません!!
そして何よりも驚いたのは、欲張って買い過ぎて、その日のうちに食べきれなかった大福を冷蔵庫に保管し、翌日、翌々日にも食べたところ、なんと、なめらかさ、モチモチ感、伸び、すべてが初日と変わらない おいしさだったのです!!冷蔵庫に保管したのに、固くなっていないどころかです。本当に驚愕しました。そして、その秘密が、もち米の品種にあることを知り、納得しました。とんでもなくいい物を発見してしまった、と思いました。
店舗の設計を考えてみる
わが社では標準店と呼んでいる、同じ大きさ、同じ形をした店舗が数店舗あるので、1店舗で成功すれば多店化できる可能性があることや、1号店は目が届きやすい富山市内の方がいい、ということで、富山羽根店に白羽の矢が当たりました。さらに偶然、前職でパティシエの経験のある社員が在籍しており、菓匠 将満の担当をお願いしました。
店舗の一角を改造してできるかどうか、図面を眺めて考えてみます。靴店のレジの後ろ部分をおもち屋にしたら、たまたまあった大きなレジ後ろの窓を扉に変更でき、靴店とは別の出入口も付けられます。靴店の部分は、壁面の棚を2台削るだけで、ほとんど縮小せずに、できました。
初めっから、おもち屋をやるつもりで設計していたんじゃないか、と思うほど、ピッタリとハマったのです。
オープンまでは、スタッフの協力に感謝
Parade富山羽根店の一角に、菓匠 将満を開店させることが決まったら、ここからは、富山羽根店のスタッフがおもちの研修を受けたり、本わらび餅の修行を重ねたり、衛生関係の講習に出たりと、とってもがんばってくれました!!
「わたし、靴屋に就職したのに、このままずっと団子屋になってしまうのでしょうか…?」と不安げな社員たち。落ち着いたら、パートさんに引き継いでいけるので、大丈夫です。安心してください。
和菓子屋さんと靴店がコラボした、不思議なお店がこうして誕生しました。菓匠 将満のオープンチラシには、なぜかParade富山羽根店で使える靴のクーポン券が付いていました。
オープンから20日ほど経ちましたが、大盛況です。靴は買い物の頻度が低いので、年に数回しか店舗に立ち寄ってもらえませんが、菓匠 将満のおかげで、来店してくださるお客様が増え、靴店の方にも、とてもいい効果がありそうです。
社内システムの売上ベストに「みたらし団子」やら「本わらび餅」やら「黒豆塩大福」が出てきてしまうのが、うれしいような、悲しいような…。
今後は、本わらび餅ドリンクや、あんこ系など、もっとバリエーションを増やすようなので、とっても楽しみです。お近くにいらした際は、菓匠 将満&Paradeのコラボ店へ是非お立ち寄りください。
お団子と靴、全然違う商品ではありますが、地域のみなさんに豊かなライフスタイルを提供したい思いは同じです。どうぞよろしくお願いします!
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